ゲームって言うのは難しいものだ、と感じる。
自分で作ってみて、の感想だ。
いいゲームって言うのは、クリエイターが「こうすれば面白い」と思って実装したものと、
ユーザーが「こうなれば面白いなぁ」と思った要素が合致したものである。
や、クリエイターが意図しないところでユーザーが面白味を感じて話題になったゲームも無いわけではないが……。
その場合いいゲームと言っても、「ネタゲー」「笑えるクソゲー」と言った嘲笑を含んだ評価を受ける確率が高いだろう。
当然ながら、クリエイターの意図がユーザーに微塵も伝わらないゲームは大抵の場合、笑えもしないタイプのクソゲーになると思われる。
基本的には、クリエイターはユーザーに合わせないといけないのだ。
わかりやすい所で言えば……そうだな、難易度設定を例としてみよう。
ゲームの難易度についての調整でよく言われるのが、【クリエイター側の想定する難易度よりも低めにしろ】と言うものだ。
作る側は遊ぶ側の何倍、何十倍、下手をすると何百何千倍もの時間、そのゲームに関わっている。
当然ながら、何度も同じところをテストプレイするし、仕様は(自分の担当する範囲は)知り尽くしている。
ゲームが世に出る前から既に攻略本を持っている状態だ。と言うか、ゲームどころかその攻略本すら作る側の立場である。
よっっっっぽどゲームの実力に差が無い限り、そのゲームにおける理解度、習熟度はクリエイター側がユーザー側に劣るはずがないのだ。
簡単に言うと、【クリエイターにとってのノーマルはユーザーにとってのハードかそれ以上】。に、なるのが当然。
だから難易度を一種類しか用意しないゲーム……特にアクションゲームなんかは、テストプレイヤーに意見を求めないととんでもない高難易度になったりする。
そしてそれがゲームを進めていかないとエロシーンが見られない同人エロゲなんてことになったら……あな恐ろしや。
かくいう俺もアクション苦手マンだからキレ散らかしたことがございましてね……。根性でクリアしましたけど。
ここからは持論も混じるんだが……そもそもゲームって言うのは、【クリアさせないといけない】のよ。
どんなに全米が泣くような最高のエンディングを作りあげたとしても、どんなにエロ過ぎて思わず職場でオナニーしてしまいそうなエロシーンを作ったとしても。
そしてその自負が、客観的に正しかったとしても……。
【そこにたどり着くまでプレイしてもらえなければ、正当な評価は得られない】わけなんすよね。
「序盤がクソほどつまんない」ならまだいい。
いやあまり良くはないんだけど、進行自体が可能でさえあればいくらクソでもプレイした人の何割か、何分か、何厘かは頑張って苦行を乗り越えてくれるかもしれない。
「難しすぎて先に進めない」はまずい。
レベルを上げればどうにかなるタイプのRPGならともかく、成長要素の薄いアクションだったりするとなおまずい。
いくらプレイするうちに慣れると言っても、人によっては限度がある。
【いくらアドバイスを聞いていくら練習を重ねても難しい所の操作がおっつかなくて断念】するのは、本当に苦しいぞ。マジで。
単純に【プレイヤーの腕前】でボーダーが引かれてしまうあたり、ある意味バグで進行不能よりもひどいとも言える。
バグは万人に平等だからな。
だから、いいゲーム、素晴らしいゲームを作り、そしてそれを全人類にプレイしてクリアしてもらいたいと思った場合。
例え美学を曲げてでも、【IQ3でもクリアできる難易度を実装しなければならない】と思うんですよね。僕はね。
難易度の話と少し被りながら外れるが、演出についての話もしたい。
ラストバトル！ 第二形態！ 前世からの因縁！ 強敵との死闘！
大いなる力に倒れ伏す主人公！ 仲間との友情！ 愛！ 絆！ 再起！！
……みたいな、感動的なシーンがありますね。ゲームには。
長めの尺で良いBGMが流れて声優の縁起が素晴らしくて、そんなシーンですよ。一つくらい思い当たるでしょう。
俺は思うんだよ。
【そういう絶対勝たないといけないようなシーンが流れる戦闘は、絶対に勝たせなくてはないけない】と。
例えそれがどんなにいいシーンだったとしても、それをいいシーンだと感じるのはプレイヤーである。
ゲームに没頭し熱中している時におかんの掃除機に電源コードを引っこ抜かれたらテンションもダダ下がりだ。
もう一度同じシーンを見ても、同じ感動は味わえないだろう。
そう、どんなにいいシーンだったとしても……【長ったらしいイベントを二度三度も見せられると熱量はみるみる下がっていく】のである。
イベントをスキップして戦闘だけに集中できるならまだいい。
感動的なシーンが流れて、これはなんとしても勝たねばなるまい！ と言った空気でね。
敵の第三形態まで追い詰めたところで主人公が必殺技をスカり、味方の回復魔法が一手遅れて、全滅。
「はいじゃあもう一回第一形態からやり直してね」。
これで確実に、そのプレイヤーからの評価はストレート勝ちの時より何段階か落ちることになるだろう。
たとえその状態でこっそり命中率を弄ったり、無限復活モードになるよう設定されてても、俺は責めない。むしろよくやったと思う。
ここはほぼ確実にいったん詰まるな、と言うポイントはあってもいいが、そこは大盛り上がりするところにしてはいけないのだ。
大盛り上がりするところで冷や水をぶっかけるような事をされて喜ぶプレイヤーはいない。
と、言うわけなのである。
かくいう俺もねぇ、今作ってるゲームの方がねぇ……。
ラスボス強くしたいんだけど、イベント長くなりそうなんだよねぇ……。
コンティニューくらいはつけるべきかな……。
ああ、それにつけても。
ゲームって言うのは難しいものだ。