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【うんこ味のカレー屋】

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うんこ味のカレーと
カレー味のうんこ。

二種類のメニューが楽しめるここ「咖喱屋ウンウン亭」は
テレビの取材が来たり芸能人がお忍びで来店するほどの超人気店だ。

グルメリポーターの尻麿(しりまろ)は、この日…店の期間限定メニューをレポートする為開店前から並んでようやく入店。

席に付き、冷たい聖水を渡されグビッと飲み干す。

「うんこ味のカレーひとつ」

「あいよ!うんこ一丁!」

元気な店主が厨房で声を上げる。
調理が始まるようだ。

「はわぁ…今日も美味しいものが食べられて幸せだなぁ〜……」

尻麿は頬に手を当てうっとりした表情を浮かべる。

「お待たせしました。こちらうんこ味のカレーになります」

目の前に置かれた皿には、茶色いルーの中に山盛りになった黄色い物体があった。

「わぁ~これが噂のうんこ味ですねぇ♪では早速いただきまーすっ」

スプーンを手に取り、いざ食べようとしたその時だった――

「やあこんにちは。取材の方ですか?」

突然声を掛けられ振り向くとそこには、白いタキシードに身を包んだイケメン男性が立っていた。

「えぇそうですよぉ?あなたも食レポ希望の方ですかぁ?」

「いえ違います。実は私こういう者なのですが……」

彼は名刺を差し出して来た。
『月刊ウンコ』
そこにはこう書かれていた。

『あなたの知らない世界の神秘に迫る!!世界ウンコ協会広報担当:大竿 龍之介(おおさおりゅうのすけ)』

「……」
尻麿は無言のまま名刺を見つめた。
すると大竿と名乗る男は続けた。

「私は世界を股にかける一流の冒険家であり、冒険家のかたわらこうしてウンコの魅力を伝える活動にも勤しんでいるのです。どうかお見知りおきを……」

そう言って頭を下げる男に、尻麿は少し考え込み言った。

「あなたは…うんこってぶっちゃけ、
何だと思います?」

男は答えた。

「そうですね。ウロボロスの尾とゆうべきでしょうか。始まりであり、おわりである。うんこを食するとはつまり生と死の輪廻の縮図です」

「ブラボー。いい答案だね……ほんとにウンコ好きみたいだ」

尻麿は感嘆し、男と握手を交わして店を後にした。


これが後の
阿形(あぎょう)の仁王 吽形(うんぎょう)の仁王である。

二人の仁王は対となし、阿吽(あうん)
すなわち万物の始まりと終わりを指す言葉となった。
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