「天使のキス♪もう一度〜〜♥」
平日昼間のカラオケルーム内…。
リストラされてしまった私
大平嘉良末(おおだいら からまつ)は先月42歳を迎えたピチピチおぢさんだ。
「センキュー!!!」
ドリンクバーで並々と注いできたメロンソーダを一気に飲み干しながら
最後のシャウトを高らかに歌い上げた。
「はぁ〜やっぱりアイドルって天使だなぁ……♥崇拝すうはい♥すーはーすーはー♥」
深呼吸をして、その場でブリッジをする私。
ふと便意が込み上げてくる。
「うーん、トイレ行こうっと……」
立ち上がり部屋を出て、廊下を突き当たり左へ曲がったところにあるトイレ個室に入りズボンを脱ぎ下ろしたその時だった――
バタンッ!!!
勢いよく扉が開かれ誰か入って来た。
驚いて振り返るとそこにいたのは、金髪のショートカットがよく似合う美少女だった。
彼女は目をキラキラ輝かせながら言った。
「わぁーっ!本物のうんこおじさんですねっ!?」
「う、うんこ……おじさん……?」
「はい!あたし、うんこ大好き女子中学生の田中ハナコです!」
「た、田中ハナコちゃん?君いくつ?」
「14歳です!」
「じゅ、じゅうよんさい……」
「はい!ところでうんこおじさん、あなたはここで何しているんですか?」
「え、ええと……うんこしようと思って……というかここ男子トイレ……」
「ちょっと待ってください!あなたはさっき歌を歌ってましたよね?あたしも聞いていました。そしてあなたも知っていますね?歌うことはすなわちうんこすることだってことを!」
「えっ?あぁ……ええ?どうゆうこと?」
「つまり、あなたも立派なうんこ仲間ということです!なので一緒にうんこしましょうよぉ♪」
ちょっと待ってくれ……
歌を歌う事とうんこをする事が同じとはどうゆう事だ?
何かの謎掛けか
あるいはスピリチュアルな問いかけだったりするのかな……?
考え込みすぎて、うんこが引っ込んでしまった。
…すると、開け放していたトイレに
もう一人、背の高い大男が入ってくる。
「健康なる腸内環境…そして歌や芸術などの表現活動は、どちらもセクシャルチャクラ(यौनचक्रम्)に起因する」
大男は神妙な面持ちでそう言った。
「俺たちは…アイドルになるべきだ」
こうして…
大平嘉良末(オオダイラ唐松)
田中ハナコ(タナカハナコ)
吉田継注(ヨシダツギツグ)
の3人でアイドル活動をスタートした。
信じられないかもしれないけど
本当に、こんな感じで結成しちゃったんだよ。