トップに戻る

まとめて読む

単ページ   最大化   

白く光々とする円の食器は、爪でキイーキーと鳴らされていた。その白い十センチほどの小皿には、赤花咲くチンパンジーがあった。何年間も切れ荒れて研がれてもない指の刃先は小皿キイと鳴らすためであるようだった。赤黒く染まったチンパンジーは四肢と五臓六腑が離れ赤く白い花が咲かれており…目があってしまった。あのニヤリと笑う顔が忘れられない。忘れてはならぬ。ギギギっギギギギギギいぎっぎぎ。あぁ。憂いているさチンパンジー。赤く花咲くチンパンジー。親指を折りたたんで後に四本の指で包み込む。私の目にも全てにもヘルプと叫んでしまうが、私にチンパンジーのヘルプなど全く聞こえない。聞こえちゃいかん。私は欲望の塊だから。ぴとぴと涙を流すが、安心せい。私があなたに手を欠けることなど、そんな効率的なことはしないだろう。私は服の中から爪切りを出そうとした。チンパンジーは銃だと勘違いしてぴとぴと涙を流した。安心せい。私がそんな効率的な人間かい。もう動かぬ四肢の関節動かし、爪切り終え。
私は耐えきれず、自分のこめかみを…
私が倒れると、ききききぃと言って、私をチンパンジーが食い漁った。何人、何万ともね。
1

いーな 先生に励ましのお便りを送ろう!!

〒みんなの感想を読む

トップに戻る