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面接→講習→入店→ガン付け!

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いつもどおり、ペンギンの総合ディスカウントストアの前に女の子が立っている。

顔を見て、「即、採用!」と心の中で叫び、彼女に声をかけた。

「あのぉ、お電話はいただいた末岡さんですか?」
僕の問いかけに軽くうなずくだけの彼女。

緊張しているのであろう。仕方がないと思う。だって彼女は今、
『風俗店の面接』を受けようとしているのだから。



10分前ぐらいにSHIBUYA駅からかかってきた電話では、

 風俗未経験
 面接も初めて
 年齢もまだ19。

緊張しない方がおかしい。



店へと誘導する間、必死に話しかける。
「SHIBUYAには良くこられたりするんですかぁ?」
「駅から迷いませんでした?」
「そこの角を曲がってちょっと行ったとこがお店なんですよ」
反応は最悪。ほぼ返しなし。

「僕、関西出身なんですけどSHIBUYAって人多いですよねぇ」
なんて勝手に自己紹介なんかしてみてもムダ。



まったく和ませることも出来ず店に到着。



早速、面接に入ろうと彼女を部屋へ通す。
(といっても受付をカーテンで区切っただけのスペース。女の子へのギャラ渡しもここでする。)

彼女の顔を見た1つ年下で先輩の店長が、
「片岡くん!絶対来させてよ!」と僕をつつく。

顔は可愛いしルックスもたぶんいい。この業界の人なら絶対に欲しがる逸材の彼女。

「当然です!」という言葉の代わりに親指を立てて返す。



そして

ササッ

とカーテンの中に入り、
「これ、履歴書なんで書いといてくださいねぇ~」なんて笑顔で伝え、

ササッ

とカーテンの中から出る。



カーテンの中からボールペンを擦る音。
ちゃんと書いてくれている様子。

その音が止まるころを見計らって、再び、

ササッ

とカーテンの中に入る。
「どうですかぁ?書けましたか?」常に笑顔。彼女は若干テンション低め。

履歴書を横目でチラリ。

大体埋まっているが、空いている1箇所を指差して、
「雑誌とか、ホームページの顔出しってOKですか?」

実はここが大事な場所で、顔出し出来るか出来ないかで彼女のお給料が変わる。
(顔出しとは、その文字どおり顔を掲載するということ。)

もちろん顔出しOKならお給料は高く、NGなら若干低い。
「若干程度なら顔出ししなくても」と思いがちだが、この若干が丸1日働くと、
大きな金額になってくる。

相変わらず返事のない彼女に、
「ネットとかに出ると予約も入りやすいし、バックも高いし!
お店としては、可愛いから是非とも出て欲しいんですけど!」
とはっぱをかけると、驚きの答えが返ってきた。



「私、芸能活動もしていて、ネットのグラビアとかしてるので、顔出しは絶対できないです!」



そらそうでしょ。どうりで可愛いと思った。当たり前やね。
そら今までほとんどしゃべらんかった彼女でも、はっきり断るわな。
そらそうよ。

と、そんなことを思いつつ、口から出た言葉は、

「そうなんですね」

また沈黙。



「では、お給料の話しますね。」再び必死に笑顔。
コース内容とバックと言われるお給料の話をし、納得の様子の彼女に最後の質問。

「うちの店はマットヘルスになるんで講習があるんですけど、今から大丈夫ですか?」
(マットヘルスとは大きなビーチマットの上にローションを塗りお客にサービスするヘルスで、
 ソープの様なもの。ソープとの違いは本番があるかないか。)

履歴書には「今日から働きたい」と書いてあったが、この言葉には特別神経を使った。
ここで断って帰る女の子が多いからである。



「お疲れ様で~す!」
いつもどおりさわやかな笑顔で登場する佐野店長。

佐野店長は5分ほど離れたグループ店の店長でありSHIBUYAのエリアマネージャーでもある方で、
同じ店長という呼び名でもこの店の店長より地位は高い。

「講習」は誰でも出来るのではなく、女の子と直接プレイする為、店長もしくはエリアマネージャーの様に、
地位の高い人しか出来ないのである。

それ以外の男子従業員が女の子とプレイすることはもちろんご法度。

ちなみに、講習が出来るのはこの佐野店長しかSHIBUYAにはいない。



プルルルルッ

講習の部屋からコールが鳴る。
(女の子との連絡、女の子の安全の為、部屋にはカラオケボックスの様にフロントにつながる内線が付いている。)

佐野店長が戻り一言。
「いい子入ったね!」
そのまま自分の店へ帰っていく。

その言葉を聞き店長が僕に
「彼女今日22時までだから、今、17時でしょ。じゃあ5本ね!」

つまり17時~22時までの間の5時間、待ち時間を出すことなく60分コースの客を5人付けろと言う指示だ。
そうなれば彼女のお給料は今日だけで5万円になる。
もちろん彼女を辞めさせない為に。

「あ、もちろん全部指名ね。」笑顔で言葉を付け足す店長。
それは、立番とよばれる接客担当の僕に対するプレッシャーで、お客に彼女を指名させろということだった。
指名になれば1人に付き1000円お給料が増える。



「立番」と呼ばれる風俗の接客担当にとって1番やりがいがあり、楽しい時間が始まる。

プルルルルッ

再び彼女の部屋からコールが鳴る。

「はい、フロントです」恐る恐るコールに出る店長。

まさか「今から帰る」とでも言い出すのか?

店長の顔が笑顔に変わる。

コールを切った店長が、



「片岡くん!彼女の名前『サラ』さんで!」



これが後に当店マットマックスのNO.1になる『サラ』の誕生である。
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