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第7話『噴火後の出来事』

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 午後9時。俺は今精神が瀕死に近い状態にある。廃人の一歩手前とまでは行かないが、こんな事が毎日あったら確実に廃人と化すであろう。その惨劇は遊園地から帰ってきた、6時から始まった。
 今日の昼1回家に帰ってきていた親父は、母さんに俺の事を聞き、もちろん母さんは出掛けてると答えた。しかし、その帰ってきた時間が悪かった。12時15分。昼時なのに俺は外をぶらついている。そこで親父の特殊効果発動。『俺は会社で辛い思いをして働いているのに、勉強もしないで遊びほうけて』簡単に言うと、祝日だけど自分は会社。けれども世間は休み。その妬みとイラつきを身近な絶好のエモノ、俺にロックオンしたというわけだ。そのことと絡ませて俺が帰って早々
「勉強もしないで、こんな時間まで何やってんだ!!!」
いきなり怒鳴られた。しかもこんな時間って…アンタ…まだ6時で、何やってんだと言われても…まだ夕飯を食べる時間にもなってないし、せめてあと1時間遅く帰ってきてからだろ、その台詞は。と言えたらいいのになと思った。言えるはずがない。キレてる親父は力加減とか理不尽かどうかを判断できない。言った瞬間バッコーン!!!鉄拳が俺に飛んでくる。ちなみに避ける術も残念ながら持っていない。
 そして二つ目の怒り。どこに行っていたか。冷静にこのことを読んでおければ、ウソもついてその場を凌げたのだが、俺はパニック状態でウソを考えておらず、普通に
「ゆ、遊園地…」
これもいけなかった。
「遊園地だと!!?お前そんな金どこにあった!?」
どこって…お年玉の残りですけど?
「お年玉の残り…」
「そうか」
お、納得したよ。これで終わりかと思いきや、いままで罵声スタンスだったのが冷静なスタンスに変わった。
 三つ目はそう。誰と行ったか。これが一番厄介だ。
「誰と行ったんだ?」
それはもう学校の友達ですけど?
「学校の友達」
「ソイツは東大を狙える逸材か?」
はぁ(゚д゚)!?コイツアホか!?拓人たちが狙えるわけないだろ!第一、そんなんで友達選んでたら友達誰もいないわ!ヴォケ!!
「い、いや、それは…」
「何回言ったら分かるんだ!?お前は東大に行かなきゃならないんだぞ?お前がそのバカ友達と遊んでる間にも東大を目指してる奴らはどんどん差をつけてるんだぞ?まだわからないか?」
だーかーらー、俺は東大に行く気ないって。それに行けないから。無理だから。アンタはその事を早く気づけ。
「これからは東大を狙える奴と付き合えよ」
なんだそれ。そんなことできるわけ…
「いいな!!」
もう強制だよ。守る気ないけど。
 その後も、勉強平日3時間、休日8時間がどうのこうの言ったり、この時期にそういうことで時間を無駄遣いするなとか言ったり。延々と3時間ストレス解消の的となった。(そのおかげでかなり静かになったけどな)

そして今に戻り9時

 説教が終了し、精神満身創痍となった俺は、腹が減ってる事も、風呂に入ってない事もどうでも良くなっていた。もうマジでギブアップッス…しかし、母さんから無理矢理連れて行かれ、嫌な雰囲気の中飯を食った。そしてさっさと風呂に入って、自分の部屋に戻った。
「ハァ…ホントにありえないよ、コレ…」
ついに言葉にだしてしまった。独り言とか気持ち悪っ!俺。
 テレテレテーン、テレテレテーン♪
 メールが来た。なんとカナちゃんからだった。嬉しいわ~。親父の説教がなかったらテンション激高だったのに。

今日は楽しかったネ((*^∀^))

今度は二人でどっか行こうネ(>∀<)

この娘めっちゃ優しい…親父からのダメージを癒してくれてるよ…ケアルをありがとう…
 テレテレテーン、テレテレテーン♪
 また来たよ。今度はと…あら戸田からですか。

明日はヒマかな?よかったら一緒にでかけよ♪

あなたも優しいね。それにね、惚れちゃうから、勘違いを生んじゃうから、マジで…でも、明日はヒマだからいいかな?また親父からの攻撃があるんじゃないかと思ったが、1回噴火しちゃえば2週間は安全のはずだ。例外に昔1回だけ2日連続噴火があっただけだ。よし出掛けよう。だけど明日は日曜日。さすがに親父がいるんだよなぁ…

あさってはどう?

送信と。あさっては祝日だから大丈夫。なはず。今日の惨劇が繰り返されない事を祈る。テレテレテーン、テレテレテーン♪返信が来た

あさってでもいいよ♪
じゃあ、あさってね♪

よっしゃ!なんだか今年のゴールデンウィークはとっても充実してるわ~。明日はとりあえず連休中に出た宿題でもするか。

そして月曜日、駅前

今日は親父の攻撃を回避するため午後から出掛ける事にした。1時にって約束だが、そわそわして落ち着かなかったから15分早く来てしまった。さすがにいないよなと思ったが、目を疑った。戸田きてるし。早く出て良かった~。
「ゴメン、待った?」
「ううん、ちょっとアタシが早く来すぎただけ。」
「ところでどこ行く?」
「アタシ服買いたいんだ。ちょっと付き合って」
「いいよ」
今気づいたが、私服姿の戸田可愛い~。ヤーバイ惚れそう…これ反則…

そして…

「どう?これ似合う?」
薄いピンクのワンピースを着て試着室から出てきた。
「凄い似合ってるよ」
待て、似合い過ぎだろ。鼻血出そう…
「本当!?じゃ、これ買おうっと♪」
「俺のセンスでいいの?あんまり俺センス良くないよ?」
「全然平気。だって二見良いセンスしてると思うよ?今日だって凄くカッコイイし」
…………え?なんて?俺が…カッコイイ……?な、何を言ってるんだ!待ってくれ!俺の恋心待て!先走るんじゃない!落ち着け…!落ち着け…俺…そうだ…戸田は、俺のことをじゃなくて、服装の事を言ったんだ。
 そう自分に言い聞かせたはずだった。
「服も買ったし。アタシの目的達成!二見どっか行きたい場所ある?」
「え?あ、ああ、とりあえず時間あるから、映画とかは?」
「マジで!?アタシ見たいのあったんだ~見ないでおいて良かった~」
映画を見たが、俺は内容の3割も覚えてない。さっきの言葉が頭の中で無限リピートされている。戸田の顔もろくに見れない。俺は今日を楽しい日だったと思う。が、ほとんど覚えてない。覚えられないのだ。頭の中には戸田の例の言葉でいっぱいだった。

夕方、駅前

「今日はありがとね。凄く楽しかった♪」
「こちらこそ」
「じゃあ、またあさって学校でねー!」
「バイバーイ…」

家、夜11時

 家に帰っても、俺の頭は復活しなかった。夜までずっとボーっとしっぱなしで、家族にも「大丈夫か?」と心配された。
「あんなの…反則だろ…」
また独り言。テレテレテーン、テレテレテーン♪メールだ。多分、戸田からだろう。

今日は凄く楽しかったデス!また今度もどっかに行こ♪

予想的中。適当に返信しておいた。ずっとメールを続けておくとマジで惚れてしまいそうです…
 頭の中で「戸田は俺の事好きなんだろうか」と議題を提出し、それを「絶対違う」と判決を出す。けれども、隅っこでは「絶対好きだって」と言っている。この事を延々と繰り返しながら、寝床についた。寝れないんじゃないかと思った。その通りだった。戸田のことで頭がいっぱいだ。どうにかしなきゃ…
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