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俺の名は森川健一、年齢は永遠の17歳。
趣味はサッカー、特技もサッカー、好きな食べ物はコラッタとピカチュウの俺風中華炒め。
これはマイケル冗談、嫌いな食べ物は、…さぁな。自己紹介はここまでとしよう。めんどいからな。
ところで今日は俺にとっちゃある意味最低で、ある意味最高の一日だった。一生忘れられない、そんな一日。
今日は朝から頭が痛かった。授業中もずっと痛かったが保健室にも行かずにずっと耐え忍んだ。
俺って何て健気なんだろうかとか、今日のお夕飯のメニューは何がいいかしら?とか変なことを痛い頭で考えていた。
休み時間になるとベランダに出て、外の空気をたらふく食べながら、座り込みずっと頭を抱え込んでいた。
教室の中にいるバカ共の能天気な笑い声が時折俺をムカつかせる。
「うっせぇんだよ…」ぼそっと呟くが、余計自分を空しくさせる。
異常だった、こんなに長く続く頭痛はあるのか?俺は頭をフル回転させて考えたが、分かったのは自分は生きているんだということぐらいだった。
昼休みに保健室に行った、久しぶりだった。何十年ぶりだろう??まぁそんなことはどうでもいいとして、熱かもしれないと思って体温計をちょっくら拝借して熱を測った。
結果良好だった。良好?何だそれ、まぁいい。昼休みはここで過ごすとしよう。。。
「ふぅ…」
いつもの場所にタバコを吸いに行こうと思ったりしたが少し遠いから、ベッドの上に勝手に横にならさせてもらい安らいだ。
頭がグラングラン揺れた、私は誰?ここはどこ?パンツの色は?今日うんこしたっけ?
とりとめのないことをグルグル考えていた、いづれ思考停止。。。
何分か経ったのだろうか…
「こんにちは、えっと、どうかしたの?」
どこからか声がした、重い頭を無理に起こした。声がするほうを向くと保健の先生がいた。確か名前は…、、忘れた。前まで覚えてたのに、まぁしょうがない。
「ちょっと頭が痛かったんで勝手に休ませてもらってます。」
「そうなの?大丈夫?熱は測ったの?ちょっと待っててね。」
先生はそういうと体温計が置いてある棚に向かって歩き始めた。後ろから見ると相当お尻が大きいことに気がついた。ぽっちゃり体系だから仕方ないか、別に可愛くもないし、魅力も感じない、どうでも良かった…
「熱はさっき測りました、結果は良好です。」
そういうと先生はこちらを振り向いた。
「良好?何度くらいだったの?もう一度測ってみましょうか?」
うざい。今の俺はそう思ったが口には出さなかった。俺は常に平和を望んでいるつもりだ。
その後適当に誤魔化して保健室を後にし、よろよろと歩いた。
俺は最近疲れている、朝は新聞配達のバイト、夕方からは一つ隣の街でスーパーのバイトをしていた。俺の家は母子家庭だった、俺が小1の時、親父が自殺したからだ。まぁそんなことはどうでもいい。
母が独りで俺を育ててくれた、感謝はしているつもりだ。でも母の前ではそんなそぶりは恥ずかしくて見せない。あんまり手伝いもしない、悪いことばっかしして迷惑をかけているばかりだ。
ところで俺は何故今こんなことを考えている、もう俺はダメなのか??
「ふっ」
鼻で笑った。廊下にいた数人の生徒がこちらを見る。ガンをつけてやった。
そうだ、屋上に向かおう。俺はそう思った、そしてタバコを吸おう。この学校の屋上は常に鍵が掛かっっている。鍵は職員室にしかないし、特別な理由がない限り貸してもらえない。
だが俺は屋上の鍵を持っている、去年職員室の鍵置き場からこっそり盗んだからだ。鍵がなくなったと一時期少し問題になったが、予備の鍵があったらしくいづれ新しく置かれた。
内心新しい鍵に変えられたらどうしようなどと餓鬼らしく悩んだ。

-ガチャ

屋上の扉の鍵を開けた、痛い頭なりにも誰にも見つからないように細心の注意を払って屋上まで辿り着いていた。
扉を開けると少し心が安らいだ。ここが俺の居場所、そうここは全てを受け入れてくれる。
俺はすぐに屋上で横になり、空を仰いだ。
頭を抱え込んで、少し目を閉じる。世界が揺れている、頭がグラングランしているせいだろうか、それとも世界が揺れているせいだろうか、そんなことすら分からなかった。
俺はポケットからタバコを取り出すと、口に咥えライターで火をつけた。
あんまり美味しくはなかった、体調がすぐれないせいだろう、そう思った。
ちょうどタバコを吸い終わった時ぐらいだろうか、人の気配を感じた。やばいと思ったが、身体を動かす気力もないし、何か言い訳でもすればいいと思い、そのまま扉と反対側に体を転がし寝た。
「ケンちゃん?」
やっぱり誰かいたか、、、誰だ?そう思った、一度は無視する。
「ケンちゃん大丈夫?みんな心配してたよ…?」
はぁ、誰なんだよ。俺は上体を起こし扉の方に顔を向けた。
そこには同じクラスの真弓がいた。驚きと安心そんな感情が同時に芽生えた。
「なんだ真弓かぁ」
心配そうな顔をしている。
「何で俺がここにいるってわかったの?」
頭痛を我慢しながら聞いた、少し声が小さかったかもしれないそんなことをふと感じた。
俺は真弓が好きだった、昔は良く遊んだ。高校も3年になってからはバイトが忙しくなり、最近は一緒に学校に通っていない。幼馴染だから好きになったのか、それとも単に真弓が素敵だから好きになったのかは俺自身もわかっちゃいなかった
恋なんて勝手に始まって、勝手に終わる、そんなもんだと思っていた。
「付けてきたからだよ、ていうかケンちゃんが時々ここに来てたことしってたし。」
やばい頭が働かない…
「ここでタバコも吸ってるでしょ、さっきも吸ってたし。でも大丈夫だよ、ケンちゃんがここにきてること知ってるの真弓だけだから。」
頭が痛い、もしくは眠い?ぼーっとしていた。
「なに?」
真弓が何故ここにいるのか知りたかった。。。
「何って…、もう。」
真弓が少し怒った表情を見せた、俺はそれを認識するとどこか安らいだ、いつも通りのままがまだ屋上以外にもあったのが嬉しかった。
「ケンちゃん最近バイトとかで疲れてたし、今日もずっと調子悪そうだったから、ちょっと心配になって。本当大丈夫…?」
「あぁ、、何か頭が凄く痛いけど、でも大したことじゃないから」
「本当に?」
「うん。」
おれは心配してくれた真弓にろくに感謝も現せず、ただ頭の痛みに負けて体育座りをしたまま頭を下に向けた。
くそっ、何でこんな時に。。。疲れてなければ…、色んな想いが頭の中を巡り、軽く唇を噛んだ。

数分が経っただろうか、真弓がまだ近くにいる気配を感じる。離れようとしない気配を感じる。まだいる…、まだいる…、まだいる…。。。
真弓が何故こんなにも俺のことを構ってくれているのかが本当に分からない、ただでさえ気になるのにこんなことされると余計気になってあまり眠れない。
時間の流れをかなり遅く感じた、もはや今ここは特別な空間に化しているような錯覚さえ起こしていた。真弓はどう思っているのだろう、そんなことを微弱な意識でうっすらと思った

-サッ

そんな時だった、、何かが俺に触れた、温もりを感じた。優しい感じだった。
いつのまにか真弓が俺の横に座ってもたれかかってきていたからだった、手は俺の腰辺りに軽く触れられていた。
「本当に心配なんだから…」
真弓がか細い声でそう囁いた。
真弓に触れられた俺の身体は今までにないような感覚を感じていた。それと同時に理性の方ではこんな大胆な真弓の行動に少し驚くと同時に、男としての不甲斐無さを少し感じ取っていた。
「ありがと…」
俺はそう囁く。何となく変な雰囲気だった。真弓はもっと身体を俺に預けてきていた、俺は壊れ物でも触るような感覚で真弓の腰にそっと手を回してそえた。
すごく愛しい。優しい気持ちが溢れ出しそうだった。
「ごめんな」
俺はそう言った、真弓がこっちを見る。俺は意を決した
「あのな…、最近こんな俺だけど、、俺…、真弓といるといつも落ち着くんだ。。。何かドキドキするし…、恥ずかしいけど、真弓のこと守ってあげたいとか、ちょっといじわるして怒った顔みてみたいとか思う…。えっと、多分、好きなんだと、、思う…。」
身体が熱くなってきたのが自分でもわかった。
「真弓のことが好き、多分ずっと前から、好き。大好きだよ。」
頭が溶けてしまいそうだった、もしくは溶けているのか…
真弓は小さく泣いていた、何故かはわからない、いやずっと前から分かっていたのかもしれない。
「ありがとう。」
真弓はそう言ってくれた。俺はまたごめんなと優しく囁くと真弓を引き寄せて顔を向けた、お互い恥ずかしさで顔から火を噴きそうだったのかもしれない。
何とも言えない特別な空間の中で見つめあう中、真弓はやがて目を閉じた。そして俺は優しいキスをした。軽く唇が触れるくらいの短いようで一瞬、永遠を感じさせてしまうほどの。


その後お互いしばらく屋上に寝そべっていた。一言も喋らず手を繋いで空を見上げていた。
昼休みの終わりをつげるチャイムが遠くの方で聞こえたような気がする。いや本当ははっきりと聞こえていた、でもこの時をもっと大事にしたいという気持ちが俺と真弓にはあった…

ホームルームが終わった、頭の痛みはもう消えていた。先生に俺と真弓は授業に遅れたという事でこっぴどく怒られた。
だけど別にそんなことどうでもよかった、全く持って先生の声は俺の耳には入って来なかった。
放課後、みんなそれぞれの部活へ向かっていた、俺はサッカー部だが顧問の先生に家の事情を話して、特別に自分の都合に合わせて部活に参加してもいいという事になっていた。
今日もバイトだ、でもその前に真弓をバスケ部の部室まで見送った。
真弓の楽しそうな顔が印象に残っている。俺はバイトに行くためにバス停に向かった。
いつもより何倍もいい気持ちでバイトに向かえそうだった。
その途中ふいに屋上の鍵を閉め忘れたことを思い出した。
「ちっ」
バイトにあまり遅刻はしたくなかった、だから学校まで走り出した。車が通過したあとの隙を見つけて道路を横断しようと試みる。なかなか隙間が出来ない、向こう側の信号が赤になったのが見える、横を見てみると、駐車している車があり確認しにくいが車が来ている気配がなかった。俺は道路を横切りはじめた。だがその時だった、道路わきに駐車されている車の後ろから急に車が飛び出してきた。確認を見落とした、一瞬世界がスローモーションに見える。俺は物凄く無念な気持ちになった。

-ズドンッ

何かが宙にまったかと思うと、地面に叩きつけられた。
肺が破裂したのだろうか呼吸ができない、頭が割れて血がどくどく流れ出している感覚がある。内臓はどうだろうか、無事だろうか。
「真弓…」
俺の瞳から最後の涙がこぼれ落ちた。
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