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新規テキスト ドキュメント④

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 ……
 ぼくはため息とともにブラウザを閉じました。
 そして回想します。

 昨日の夕刻、ぼくは彼女に頼まれました。
『その……知識というやつを……』
 教えて欲しいのだと。

 ぼくは答えに詰まりました。
 だって!
 そんなこと、いままで想いつづけていた人の前で!
 できるわけありません! 
 できるやつは相当ぶっ飛んでます。MONOHONのHEN☆TAIです。
 なので。
 ヘタレなぼくはヘタレなりに脳髄をギュルりと回転させて、ある提案をしました。

「い、いいけど、ひとことでは、話しきれない」
「……ま、それはそうかもね」 
「だから」
「?」
「三日、待ってて欲しい」
 彼女は小さな首を傾げます。
 ぼくはいいます。

「三日後に、そういう内容の小説を書いて、もってくるから」

 そして急いでカバンをつかみ、教室を出て、あとはもうめちゃめちゃに走って家にたどりつき、パソコンを立ち上げてVIPに行って、スレを立てたのでした。



【非リア充が】自慰小説の書き方教えてくれ【訊く】


 
 うん。
 これでよし、と。
 小説、というか文章すらまともに書いたことのないぼくは、VIPのみんなを頼ることにしました。
 VIPPERならなんとかしてくれる。

 仮子さん(仮名)に小説を書く! と宣言したのは、たぶん彼女がまっしろけの本を読んでいたから。
 なぜか知らないけど、その本があまりにインパクト強すぎて、とっさに言ってしまったんだと思います。
 だけど前述の通り、ぼくは小説なんて読みもしないし、ましてや書きもしません。
 助けて! VIP王国の勇猛果敢かる戦士たちよ!!!

 んで、そこまで思いついてスレ立てたのが午前二時。
 内容……今日あったあの出来事を思い出せる分だけ思い出して、書き込む。
 それから八時まで寝て、学校行って授業受けて、居残りしないで家に帰ってくると、スレが奇跡的に残っていた。
 小説!
 ファオ!!

 期待して読んでみると、その全貌は……ッ!



 リレーしてました。
 カオスでした。 
 笑えるくらいカオスでした。
 要約するとこうでした。
 あのあと仮子さん(仮名)が手錠を出して、ぼくを束縛してSMプレイに興じるかと思いきや、何故か完結。はやっ。
 だけどなんか知らんけど、平行世界のぼくがいて、仮子さん(仮名)を押し倒そうとする。そのとき現れた第二の仮子さん(仮名)! いやそれは第一の仮子さん(仮名)らしいけど。
 んで、ぼくは頭を殴られたらしく、徐々に意識がフェードアウト。
 
 ……
 こんなもん見せられますか!
 やばい、気持ちは凄い嬉しい。
 涙でディスプレイが見えないほど。
 書いてくれたやつ本気でサンキュー!

 だけど。
 その内容を全然活かす余地がないってところに、人は無常であるという越境者の声がひびいたんだぜ……
 

 やっぱVIPPERに頼まないで、自分でやろう。
 そう決めた、十五の秋。
 
 
 けれどもやはりお手本がないといけません。
 素人が素人なりに頑張っても、たいした結果は出せません。
「あ!」
 都合よく姉が、同人活動をしているということを思い出しました。
 
「ふうん。小説、ねえ」
 姉はその綺麗なブロンドの髪を書き上げ、ぼくのひとみを見据えました。
「確かに夏コミは終わったけど、今は部誌の編集で忙しいのよ」
 彼女は大学で漫研に所属しています。
 昔は小説も書いていたそうなので、お願いしてみたのですが、否定的な答えにがっかりします。
「そこを、なんとか」
「無理だってば。……ちなみに、どういうジャンルの小説を書くの?」
「自慰」
「は? G?」
「いや、つまりさ、自慰。あの、オナニー」 
「は???」
「教えてくれっていわれてさ、口に出すのはつらいから、小説で伝えてみようかと思って」

 そのとき姉は、
(え? 何それ? オナニーを教える? 誰に? いや女子じゃないよね。この非リア充にそれなんてエロゲ?みたいなイベントがあるわけないし……だとすると……………同性か)
 という顔をしましたが、ぼくはまだ何も知らない子供だったので、その表情が何を物語っているのか知りませんでした。
 一拍の沈黙の後。


「お姉ちゃんに全面的に任せなさい」
 
 
 心強い言葉が吐かれました。
  
  
4

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