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〜VIPPERよ!窮地の凹を救え!そして聞こえるスネークの鼓動〜その1(09/06/14うp)

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 鉄火が俺を叱り付けてドア大解放で出て行った次の日、
俺は実家に帰り親父の長らく使われていなかった軽トラックを駆り、バイクを取りに行った。
そして帰宅後はパー速で報告と情報整理を住人と行い、事態を好転させるべく作戦会議を行った。
自分の事も理解してない俺に、他人の心情まで汲み取る事など出来るわけも無い。
そういう意味ではVIPPERやパー速民の存在は、俺にとって必要不可欠な存在になっていた。

住人は手を出さなかったという点は問題にはせず、
セクロスに関しては気長に行けという意見でほぼ統一されていた。
中には『もし手を出していたら凹られていた』という意見もあり、リアルにその様子が想像できた為、俺は戦慄を禁じえなかった。
どちらにしろ、『やってしまおうと思った』という報告はしたものの、
俺自身手を出す「気」も「機」もなかった訳だが。

また、何故鉄火はキレていたのか。
それについては、俺が人の目を見て話さないことが原因だとか、
向井が自分を使って俺を試そうとした事が原因だとか、
俺を本当に大切に可愛がっているからこそ、「凹を向井の指示で試そうとした自分自身」に苛立ちを感じ、言うなれば八つ当たりのような感覚で俺に接してしまったから、などという意見があった。

その辺りの真偽は判らないが、とりあえず俺はまず人の目を見て話せ、ということでFAらしい。
まあ、その辺りは反論のしようも無いため大人しくしておいた。
ついついATフィールドの如く「心の壁」を展開するのは自重しなければ。

鉄火ルートが消滅したという意見も多かったが、俺の体感ではそう捨てたものではないと思うんだが、
住人が言うには結構厳しい状況らしい。
住人は、とりあえず様子を見ながらこの降って沸いた素敵な状況を無理せず楽しみ、悔いの無いように行動してればいい方に転がるかもしれないと指南してくれたので、取り敢えずここは焦らずに鉄火たちと楽しく過ごそうという結論に至った。

また、鉄火と向井どっちがかわいいのかと言った質問もあったが、
そんなものは適当にはぐらかしておこう。
鉄火は背中まで伸びたストレートヘアと、全てを見透かす様な深い印象を持った瞳、
化粧っ気は無いが地肌の美しさがひたすら目を引く小田茜に似た和風美人と言ったところか。
逆に向井は現代風というと逆に古くなってしまうのだろうか、コンビニに置いてあった「JJ」から飛び出してきたような、くるくる巻き髪のキュートな「女の子」という感じだ。
TVを見ていて山本梓に似ているなと思っていたが、その事は当分はスレでは話さないようにしておこう。向井ファンが予想以上に増えても困る。

このような感じで住人と遊んではいるものの、俺は今悩んでいる。
今日、会社で俺には到底処理出来ないような難題を突きつけられたのだ。
その事を住人との対話中に思い出し、途端に気分が落ち込んでしまった俺は、堀北真希のアイコラでお握りを済ませた後早々にパソコンを落とし、床に突っ伏したまま永眠した。

「こんなモン出来る訳無いやろうが!何を考えとるんじゃ?今からでも客先行って頭さげてこんかい!」

現場のプレス工のおじさんに怒られ、俺はすごすごと事務所に向かっている。
ホレ見た事か、やはり無理の助さ。

火曜日。楽しかったイベントも終わり、また一週間が始まっている。
しかも工場長から片しておくよう命令されていた大きな客先からの受注が終わらず、
俺は途方に暮れている。元の日常とのギャップがやはり心境的に疲れる。
昨日俺はこの仕事を終わらせるよう工場長から任命され、こんなものはやっつけ仕事だと、高をくくっていた。だが、現状こうして俺は悩みに悩みきっている。

客先から頂いたのは、鋼板の曲げ依頼。
12mmのSS400(俗に言う鉄)の3800mm×420mmの板の3800幅部分をを500t門型プレス機で押し、
L型に曲げ、アングル構造の長い梁を作成するというものだった。
だが、受注した時点で俺を含めた我が社の事務所メンバーは、誰一人として気がついていなかった。
我が社の500t門型の最大幅が3750mmしか無いということに。

つまり3800mmの板を曲げようとして門型プレスに入れようとしたところで、
プレス機の材料を置く場所の幅が3750しか無いので入らないのだ。
鉄工所経験者ならすぐに、1900長さの板をアングル状に曲げ、溶接で繋げば良い、と閃くであろうが、
この部品に関しては溶接構造が不可との注記があった為、溶接も出来ない。
しかも我が社の劣化したプレス機で曲げきれる程のパワーがあるかどうかも分からないのだ。
しかも外注業者に頼むにはあまりにも予算的に厳しい物件。
正に現状では八方塞りの状況。

俺は昼休みになっても悩んでいた為、昼飯も喉を通らない。
鉄火と向井は外でランチとしゃれこんでやがる。このスイーツどもめ、俺の叫びに反応しやがれ。

呪いを込めたところで板が曲がるはずも無く、休憩時間は刻々と過ぎていく。
ふと、そこでなんとなしにパー速民に助けを求めてみようかという思いに至った。
wikiでVIPPERについて調べた時の記憶が蘇る。

『時折、特定の分野に並外れた才能を示す者が出没することがある。』

俺にしてみればVIPPERもパー速民も大差は無い。
孤男板と喪男板の違い程度のものだろう。パー速民は更にヌクモリティを持ち合わせている。
そう思った俺は会社のPCから俺のヴェーダ(パー速VIP)にハッキングを試み、
自分のスレを開き、その事を相談した。

>>これは
>>凹頑張る
>> ↓
>>TIG男、横であざ笑ってる
>> ↓
>>凹、鉄火姉と共同で不可能を可能にする
>> ↓
>>TIG男、くやしいけど凹を見直す
>> ↓
>>凹と鉄火姉、一緒に協力した時間を共有し自然と愛が芽生える
>>定番ラブコメストーリーへの道筋ができたでないか。
>>でも実際はそんなに簡単ではないな。

>>続きw
>> ↓
>>TIG男、くやしいけど凹を見直す
>> ↓
>>TIG男、自然と凹に愛が芽生える
>> ↓
>>そして伝説へ

>>じゃあ俺も続きw
>>そんなわけで 帰り道にある 公園のトイレに やって来たのだ


>>マジな話しプレスに入らないものはどうやっても曲げられないよ
>>2分割で曲げておいて溶接で繋ぎ合わせ可なら出来ないこともないが
>>曲げ位置の精度がでないと段差ができるし、そもそも不可なんだろ

>>職人さんが無理だっていうことは、諦めた方がいくないか?
>>参考になるか分からんが、自分の知ってる職人さんは出来る事を出来ないとは言わない人なんで
>>凹ん所の職人が出来ないってのを、キツイ言い方だけど素人の凹ができるとは思えない
>>もし皆のお陰で出来たとしたら、それはそれでプライド高い職人との関係が
>>悪くなったりしないかな?
>>自分が無理して取った契約じゃなかったら逃げる方が無難な気がする

>>これは逃げではない・・・
>>冷静に判断した上での、撤退だ!

>>無理だな
>>トン数が足りないなんて問題外
>>機械と職人が揃った外注に出せよ

>>うん、無理
>>プレスに入らないじゃないか
>>外注しろ

>>プレスについては全くわからんが
>>会社のプレス工が無理って言ってる
>>凹は出来ない
>>外注は出来ない
>>この状況で意地張るメリットなんてないと思うぞwwwwww

>>おまえさん。入社何年目か知らんが会社にスケープゴートにされてるぞwwwwww
>>変に責任取らされる前に上司に丸投げしといた方がいいんじゃね?wwwwww

>>特急な仕事を時間をかけた挙句、出来ませんじゃ済まされないよな
>>早めに断れば依頼元は他に依頼する時間もあるだろうに、それすら潰しちゃうんだし

>>ここでなんとかすれば男が上がるとか変な気を起こすなよー
>>無理なことは無理としっかり判断できなきゃ駄目だぜ
>>凹ッキーは客観視が苦手みたいだから不安だぜ


やはり、無理なのか・・・?
俺は工場長にこの図面を突き返し、

「すいません、出来ないみたいです。ボスケテ下さい」

と頭を下げるしかないのか?
というか何故工場長は、こんな仕事無理なのに気付かないまま、俺に丸投げしてしまっているんだ?
ここで俺はキレても文句を言われる筋合いは無いんじゃないのか?

すいません、キレるなんて出来ません、やっと拾ってくれた会社です。本当にあり(ry
誰か、本当に・・・・・・・・助けて下さい・・・。
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