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第1話・子供な男

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「なんで誰も私の事、分かってくれないの?」
俺の隣で彼女は悲しげに言った。
この女は俺に面倒くさい事ばかり言う。
この女は面倒くさい女だ。

だから俺は心の中では彼女を「面倒くさい女」と呼んでいる。


「ねえ、私の彼氏でしょう。少しは慰めてよ。」


そう、
この面倒くさい女は俺の彼女である。


つきあい始めた理由は
よく覚えていない、ただ
「遊びの関係」のつもりで、つきあい始めた事だけは覚えている。

だが、きっと面倒くさい女は
この事に気付いていない

俺もそれなりに気を遣っているからだ


面倒くさい女の面倒くさい発言に
適当に相槌ちを打つ
そんな事をしている内に、

1週間、1ヶ月、そして5ヶ月が経ってしまった。


どうしてこんなに続いているのだろう、
なんだかんだで心を惹かれてしまったのだろうか。

「みんな、影で私の事、馬鹿にしてるのよ。」

「考えすぎだよ。」
相槌ちを打つ

「本当に?本当にそうかなあ?」
「ねえ?」

この言葉を言ってしまおうか、
少しためらった。

「・・・面倒くさいよ、面倒くさい女さあ、考えすぎなんだって、彼氏相手にならなんでも言って良いと思ってんの?」

言ってしまった。

彼女の顔が
強ばるのが分かった。

「…ごめんね」

少しドキッとした。

「…俺も言い過ぎたよ」


こういう時面倒くさい女は
ヤケに素直だから気にくわない


なかなか離れる事の出来ない理由が
少し分かった気がする


いや、多分気のせいだろう。

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