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焦燥感

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「次のニュースです、高校生の少年が通り魔を・・・」


最近テレビをつければこればかり。
一人も死んでないってのにマスコミもなんでこんなに騒ぐやら。

不満に口を尖らせながらリモコンでテレビの電源を落とすと
女は座っていたソファーへと身を投げ出した。
一人暮らし、お世辞にも綺麗とはいえない部屋の中
彼女は何かに追われる日々をすごしていた

時間に追われ、ノルマに追われ、時には人に追われている。

彼女の少ない楽しみといえば
ニュースを見ながら世間へと毒を吐くことだったのだ。

しかし最近はどうだろう。
さほど面白くも感じないニュース

「高校生の少年が通り魔をして何人かに重傷を負わせる」

ただの一人も死んでいない
これが何故こんなにも取り上げられるのか。

その理由は。犯人の高校生、彼はどうやら「狂人」らしいのだ。
このフレーズを自分で使い出したマスコミ、それが気に入ったのか
兎に角それを繰り返している。

始めの頃は面白がってみていたが、最近はもう食傷気味だ
うんざりしている。
本当に、マスコミは煽りすぎだ。

とにかく不満なのだ。

「大体・・・。自分の人生を対価に誰かの人生奪うって
 そんな変な理由があるかっ・・・」

見えない誰か、主に天井にそうぼやくと
言い知れぬ不快感にだんだんと襲われてきた。

「全くなんだっていうのよ・・・」

最後の言葉は、少しか細い響きになっていた
不意に、ツンと鼻の奥に熱い物を感じると。涙が一粒零れた。

何かに追われるだけ、趣味という趣味もない
唯一の趣味はニュースを見ながらいっちょまえにぼやくだけ
こんな自分の人生に意味があるのか。

果たして、その高校生が私の人生に対して
奪う価値があると思うのか
そういう考えがあのニュースを見るたびに湧き上がる

だから早く、時間がたてば良いと思う

三十路も近い女には、その時間さえも惜しいと思うのだが
この惨めな気持ちから逃れられるのなら
早く時間が進めば良いと思う。
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帰ってきた生物筆頭 先生に励ましのお便りを送ろう!!

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