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1話 藍原と入阿

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誰だって過去に恥ずかしいことを隠し持っている。
時にそのトラウマは意味無くトラウマの所有者に牙をむく。
そして人はこう思う。
「またこうなりそう。」「ああなりそう…。」
コレが重なり不運な結果に、又は最悪の事態に…なんてことも少なくない。
むしろ多い。
「ばれなければ犯罪じゃない。」をモットーにしてる軍団だってよほどの狂人じゃなければ罪の意識、又は恐怖が生まれる。結果的に自首へと導かれる。

ソレを取り除くのが彼の仕事だった。
”羞恥消去人生快楽保護人”通称”羞恥人”
其れが彼の仕事の名前…。

「と、まぁなんか重い始まり方だけど勘弁して。」
「…誰に話しかけてんだ。」
「読者だけど?」
「…。」
居酒屋に二人若い男がいる。
このなんか軽い奴が”入阿 充”(いりあ みつる)
この俺が”藍原 翔”(あいはら かける)
(ってか俺も誰に話しかけてんだろ…。ま、いいや。)
「ってか翔、仕事は?」
「今日の分は終了。ってかいい加減俺の労働時間覚えろ。」
「客来た?」
「一人だけ。」
「一人だけって…法外な値段ぶん取ってんのによく言えんな。」
「うっせリア充。」
そういって俺は充に店出るぞの合図をした。
俺は充が好きだ。アッー的な意味でもなく友達と言う意味で。
だが気に入らない。こいつに恥ずかしい過去がないからだ。
充相手に商売しようって言う意味じゃない。なんか俺の商売が否定された感じで。
いえば過去を消去するなんて催眠術。かかりやすい奴とかかりにくい奴がいる。
以前充に催眠術で心を読もうとしたが、裏表がない完璧な人間だった。
自分で言うが俺の自論で言うと裏表がない人間なんてない。
しかも俺の催眠術はかなり高度だ。テレビに出てる奴よりも何百倍も。
いつか、充にボロを出させてやる。正直そんな思いもあるのが本音だ。
「おい、きいてんのか翔さんよォーーー。」
ハッとして充に顔を向けた。
「え?あ。うん。」
充がなんかいってたのか?思考した。
その瞬間俺の額に暖かい感覚がした。汗を拭われたのだ。
「この味は嘘をついてる味だぜ…。」
「…ゴメン。」
よく考えたら友人の汗をなめるなんて変態か?まあ某ギャングよかマシか。
「で、何の話?」
「…忘れた。」
怒りがこみ上げてきた。こうドス黒い何かが。
「…。」
「…。」
「………。」
「…そうだ!」
「思い出したか!」
「ルカジ最終回読むの忘れてたわww。」
(大先輩ぞーーーーーーーーー!!)
とか言ってたら路地裏についてた。
なんかサングラスかけたスーツの人居たけどスルーした。
「おい!そっちに田中いるか?」
とかいってたけど別に気に留めなかった。多分借金取りかなぁとか考えてると家に着いた。
俺には家族が居ないため充の部屋に居候中。
二人でアパート暮らし。(生活費俺が全部払ってるケド)
悪い気はしない。
「明日早いし寝るわ。」
「おう。」
まだ僕らはあの田中に頭悩まされるのは知る由も無かった。




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