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6月3日

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彼女の時間は確実に減っている。
俺にはそれが見える。
俺の時間はずっと止まっている。
そして・・・


―今日も俺たちはここにいる―



いつの間にか俺と彼女が出会って1ヶ月が過ぎていたらしい。
相変わらず彼女は崖に来ていた。
今日も彼女は尋ねる。
「もし、ここから飛び降りたら楽に死ねるのかな。」
そして俺も飽きずに応える。
「さぁな。死にたければ飛べばいいさ。止めて欲しけりゃ止めてやるよ。」
そして彼女は今日も飛べなかった。

俺は彼女に自分が不死であることを言っていない。
何故だかは知らないが俺は言わないと自分の中で決めた。

「ねぇ。」
ふと呼ばれた気がした。
きっとそれは気にしなければ聞こえない程度の声だった。
「あなたは・・・何年生きた?」
それは俺にとってももっとも覚えてないことの一つだった。
「神無は?」
「え・・・? 私は16年・・・」
「じゃあ俺もそのくらいだ。」
また適当に応えた。
「そうなんだ。」
心なしか彼女はうれしそうにつぶやいた。
「私・・・私ね・・・」
そしてまた彼女はゆっくりと話し出した。
「そろそろまた入院するんだ。」
また・・・か。
「今度はきっと還って来れないかもしれい。」
「そうか。」
俺は特に感情も込めずに言った。
「あの・・・私死ぬ前にやりたいことがあるの」
「そうか。」
俺はもう一度同じように応えた。
「一つ目は神様に文句を言ってやりたい。二つ目は死ぬときはここで死にたい・・・。」
「それは死ぬ前じゃないだろ。」
思わず突っ込みを入れてしまった。
「それで・・・それでね・・・三つ目は・・・まだ・・・・・・死にたくないよぉ・・・」
「・・・・・・・・・そうか。」
その日初めて少女が声を上げて泣くのを見た。
俺はその姿が何故だかとてもいとおしいと思ってしまった。
3

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