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第六章:熾烈なる

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――――放送席

「ハァ~~~イ!?みんな元気してた?みんなのロビーのお出ましだよ!一回戦は上からの圧力で
放送できなかったけど、今回からはきっちり放送しちゃうよ!?ってディレクターさん怖い顔しない
でってばぁ!?」

「解説の竹下です。さっきも散々余計なこと言うなって言われていたのに、平気で言い出すロビー
さんに痺れるけど憧れません」

「憧れたら負けだと思っている。解説の藪口です。何やら正式にレガシー担当にされちゃいました。
腹いせじゃないですけど、私も本格的にレガシー始めてみましたw」

「・・・君達なんかひどくない!?」

「ほほう、藪口さんも始めましたか!デッキは何を?」

「ドラゴン・ストンピィです」

「MU・SHI!!」

「ほほう、レガシーの中では低額で組めるし、結構強い、良いデッキ選択ですね」

「ありがとうございますwさて、そろそろロビーさんが可哀想になってきたので、二回戦について
語ってもらっちゃいましょうか」

「藪口ちゃん、愛してるぜぇ!」

「・・・やっぱりここは竹下さんに」

「おっとぅ!?さ、さっそく二回戦について語っちゃうぜ!まずは対戦形式についてだが、これは
トーナメント形式だ!各ブロックごとにチームで勝ち抜き戦を行い、そのブロックの代表になった
チームが決勝戦に進む!」

「実質、準決勝ってことですね」

「まあ、そうなんだが、今回の大会は「その後」も用意されているらしいぜ!?きっと規制入って
放送できないけどね!?ってゴメンナサイ!つまみ出さないで!」

「ま、まあまあディレクターさん、ここは穏便に・・・」

「ふ~、危なかったぜ!ノリで話すとある事ない事つい喋ってしまうよね!?」

「まあそれは置いておくとして、今回も面白い戦いが見れそうですねぇ。特にこのCブロックの対戦
は見応えがありそうです」

「そうだなぁ~、『回転MOKUBA』と『アングルード』いきなり一回戦がコレとは見応えたっぷりだぜ
ぇ!」



――――Cブロック・デュエルスペース


「『アングルード』って、手塚さんが最初に言ってた・・・」

「うむ、強敵だぞ?全くいけ好かん奴等だが」

「クック・・・相変わらずだなぁ手塚?一昨年の全国大会以来か?」

 こちらの会話が聞こえていたらしい。しかし不気味な男だ。

「宮下か、久しぶりだ。できれば会いたくなかったぞ」

「あの大会は残念だったなぁ?俺と当たらなきゃ賞金に手が届いただろうに・・・」

「賞金についてはどうでもいい。だが、確かに残念だったよ。貴様のような輩に敗北したのはな」

「!? 手塚さん、この人に負けたんですか!?」

「ああ」

「クック、言い訳はしないんだなぁ?アレは俺から見ても仕方なかったと思うぜぇ?」

「・・・過ぎた事だ。とやかく言う気は無い。ただ、貴様と当たる事があれば全力で叩きのめす、
それだけだ」

「ハッハッ!それでこそ我がライバルだぜ!せいぜい俺まで回ってくることを祈ってるさ!」

そう言って宮下という男は自分のチームの方へ戻っていった。

「手塚さん・・・」

「何、気にするな。君たちは全力で奴等を倒してくればいい」

『ええ、大変長らくお待たせ致しました!これよりレガシートーナメント二回戦、第一試合を始め
たいと思います。ルールについては先ほどお知らせしたように、5vs5の勝ち抜き戦です。形式に
ついてもこれまでの試合と同様になります。また、デッキは先ほど登録頂いた一つ以外は使用
できません。試合中に登録デッキの変更が確認された場合、没収試合となりますのでご了承願います。
それでは、第一試合、始め!』

「山田君、先鋒は重要だ、がんばってくれたまえ」

「了解、手塚さん!」


――――そして、戦いは始まった。




――――放送席


「さあ、いよいよ始まりました!」

「『アングルード』の先鋒、天王寺選手はコンボデッキの名手ですね。今回はどんなコンボデッキ
が飛び出すやら・・・?」

「コンボ!俺は嫌いだなぁ!?ところで藪口ちゃんはどんなデッキが好き?」

「私も頭使うようなコンボより、一気に走り抜けるようなデッキが好きですねぇ」

「自分には聞かないんですね・・・」

「拗ねるなよ!?竹下ちゃんとは何回もやってるし、聞くまでも無いからだよぅ?」

「わかってますよ!っと、そんなことより戦いほ方は・・・」


――――Cブロック・デュエルスペース



「セットランド、『Tropical Island』、『敏捷なマングース』をプレイ」

「・・・青緑スレッショルドか。嫌なデッキを使う」

「レガシーじゃ普通だろ?」

「プロの試合ではな。どうやら手塚に色々手解きされている見える。素人だと甘く見たのは良く
なかったな」

 天王寺は2ターン目、キーカードとなる『適者生存』をプレイ。それに対し山田は『Force of Will』
、天王寺も同様に『Force of Will』で対抗するが、山田はそこから『目くらまし』をプレイし、
見事に打ち消しきった。

「俺は『極楽鳥』をプレイしてエンドだ」

「じゃあ、俺のターン、ドロー、セットランド『Underground Sea』、『タルモゴイフ』をプレイ」

 タルモゴイフ緑1、無色1でプレイ可能な強力クリーチャーだ。その性能は墓地にあるカードタイプ
を参照したパワーとタフネスを持つこと。正確にはタフネスはカードタイプ数+1だが。

「まあ、そうだろうとは思っていた。今はソーサリー、インスタント、エンチャント、土地か。
4/5、うっとおしい・・・」

「まあ、そう言うな!幸いなことにマングースはまだスレショしてないぜ?アタックしてエンドだ」

 『敏捷なマングース』緑1マナで被覆(呪文や能力の対象にならない)を持ち、スレッショルド
(自分の墓地に7枚以上カードが在ると発動する能力)で+2/+2修正を受ける。順当に行けば次の
ターン当たり3/3で殴ってくるだろう。

「セットランド島、『ヴォルラスの多相の戦士』をプレイ」

「!? まさか、Full English Breakfastか!」

「その通りだ。知識も中々だな?」

「・・・手塚さんに一度見せてもらったからな。」

「だが、次の『適者生存』が通らなければ俺の負けだろうな。さて?」

 Full English Breakfast、『適者生存』と『ヴォルラスの多相の戦士』を主軸としたデッキだ。
『ヴォルラスの多相の戦士』の能力は、自分の墓地の1番上のカードがクリーチャでである限り、
そのクリーチャの完全なコピーになる事(正確にはそれに加え、カードを捨てる能力を持つ)。
『適者生存』で好きなクリーチャを持ってき、『ヴォルラスの多相の戦士』をそのクリーチャに
変化させることで色々な攻め方をする事が可能。『貿易風ライダー』でのコントロールや強力な
クリーチャによる即死コンボも搭載しているため、2枚が場に揃うと対処が難しい。

「なるほどなぁ、この状況でもフェイジに化けちまえば、確かに俺の負けだ。当然通すわけには
いかねぇなぁ。ってことでそっちのエンド前に『渦巻く知識』。んで俺のターン、ドロー、セット
ランドして『思案』をプレイ」

「カウンターは無かったのだろうが、それだけ回されると厳しいな・・・」

「どうだかねぇ?タルモでアタック!まあ通すわなぁ?んで第2メインで『冬の宝珠』をプレイし
エンドだ!」

「『冬の宝珠か』!?これは参ったな、確かにそうゆうタイプも存在しなくは無いが・・・」

「念には念を、だ。アンタは何か油断できないタイプに思えるぜ」

「・・・ドロー、セットランド、『適者生存』をプレイ」

「『Force of Will』だ」

「・・・投了しよう」

「ふぅ~、なんとかなったか・・・」

「ああ、『冬の宝珠』が効いた。2枚目のカウンターを封じられたし、『適者生存』の起動マナも
捻出できない。お手上げだ」

「こっちも冷や冷やしたぜ?ドローでかき集めれなかったら死ぬからなぁ・・・」

「そうだったか、まあ仕方が無い。ちなみに、次からは口の利き方に気をつけろよ?俺はいいが、
残りの4人は性格が歪んでいる。後から嫌がらせを受けるぞ?」

「おっと、すいません。手塚さんから色々聞いてたからつい・・・」

「・・・まあ、悪評は認めよう。ではな」



――――放送席



「決まったようですね」

「『回転MOKUBA』の山田がしっかりと封殺したなぁ!?だがぁ!?かなりギリギリの戦いだった事は
確か!」

「山田選手はドローで『Force of Will』引き込みましたしねぇ。引けない確率もあったわけです」

「そして天王寺選手の手札には『怒りの天使アクローマ』、『適者生存』を2回起動すれば、『触れ
られざる者フェイジ』持ってきて捨てる、という流れで勝てたわけですね」

「その通り!一手の差による名バトルだったわけさぁ!?」

「1戦目から見応えのある戦いですねぇ・・・」

「さあ!次の対戦はどうなるぅ!?」

「『アングルード』は大場選手の登場ですね」

「大場選手もプロの中でもトップクラスの戦績を誇っています。しかも相手のデッキを知った上で
出てきたのですからねぇ・・・」



――――Cブロック・デュエルスペース


「よろしく山田君」

「よ、よろしくお願いします、大場さん。雑誌とかで何回か見たことがあります」

「ほう、私を知っていますか。なら知っていると思いますが、私は容赦無いですよ?」

「の、望むところです」

「良い返事です。ダイスは私の勝ち、先攻はもらいますよ?セットランド、『金属モックス』を
プレイ」

「OKです」

「では、『霊気の薬瓶』をプレイ」

「!? それは『Force of Will』!」

「そうですか、では仕方ない、『ゴブリンの従僕』をプレイ」

「・・・!?」



――――放送席



「これはまずい!」

「でも、今のってどうにもなりませんよね・・・?」

「そうですねぇ、初手『Force of Will』2枚+青カード2枚とかじゃなきゃ防げない」

「これは山田選手、苦しくなってしまいました」


『ゴブリンの従僕』、プレイヤーにダメージを与えるたび、自分の手札にあるゴブリンカードを1枚、
場に出すことのできるカードだった。
40, 39

  



――――Cブロック・デュエルスペース



「セットランド、『溢れかえる岸辺』、起動して『Tropical Island』持ってき、『思案』をプレイ」

「・・・おやおや、これは従僕を止められそうにありませんねぇ」

「・・・確かに厳しいです。サイド視野に入れたデッキで、相性どうこうするのは難しいですね。
しかも初手を誤ったのが痛かった」

「『思案』でも改善は出来なかったようですね。では私のターン、ドローしてセットランド山、
従僕でアタックします。・・・まあ、通りますよねぇ?では、『包囲攻撃の司令官』を出させて
頂きましょう」

 『包囲攻撃の司令官』、ゴブリンには似つかわしくないほどのカードパワーを持つカードだ。
その能力は、自身2/2のサイズに加え、1/1のゴブリントークンを3体引き連れて場に登場するという
もの。また、それだけでなく、無色1、赤1マナ払ってゴブリンを生贄に捧げる事でクリーチャか
プレイヤーに2ダメージ飛ばせるという能力を持つ。

「どうです?サイドボード前の青緑スレッショルドには厳しいクリーチャでしょう?しかも、貴方の
青緑スレッショルドはタッチが黒のようです。しかもそれはサイドを視野に入れた上での選択、恐ら
くは爆薬の為と言ったところ。どうです?」

「・・・」

「無言、ですか。肯定とも取れるし、何か隠しているようにも思える。まあ、いずれにしろ、まだ
戦いは捨ててはいないようですね?面白いですね。では、これでどうです?『ゴブリンの群衆追い』
をプレイ」

「・・・投了です。そいつぁ無理ですわ」

「・・・まあ、そうでしょうね。『思案』でシャッフルを選んだ以上、カウンターは無いだろうと
思っていましたが、『ゴブリンの群衆追い』まで通りましたからね」



――――放送席



「これは早く決まりましたねぇ・・・」

「エターナル環境のゴブリンは異様な速度を持ってますからねぇ」

「ロビーさん、あの最後に出てきた『ゴブリンの群衆追い』ってなんなんですか?」

「アレはなぁ!プロテクション青なんだぜ?それだけでも青にはキツイんだが、他の所有能力も相当
イカツイ!自身は1/2と小ぶりなサイズだが、ターン終了時まで、他の攻撃中のゴブリン1体につき
+2/+0修正を受けることになる!つ・ま・り!さっきの状況だと、次のターンは従僕、トークン、
指令の5体攻撃で6点ダメージ、従僕は+10修正受けて11/2で殴る。これで17点食らう事になる!」

「お、恐ろしいですね」

「さらに、それだけでは終わらないんですよ藪口さん。あの時、山田選手はフェッチランドを起動
したでしょう?あれで1点既に失ってるわけです。つまり、残りライフは1」

「あ!司令官の能力で死んじゃう!」

「そう、ビートダウンでありながら綺麗に3ターンキル出来てしまうわけです。土地が置けていれば
フェッチランドを起動していなくても死にますし、従僕の能力でさらにゴブリンが増えるかもしれ
ません。恐ろしく凶暴なデッキです・・・」

「他にもぉ!?『ゴブリンの戦長』っていうゴブリンのコストを無色1減らしつつ速攻持たせる奴も
いれば、ゴブリンをサーチするものや、マナを生むなど、その動きは実に多彩!」

「スタンダードにももちろんゴブリンは居ますけど、過去には半端じゃない性能を持ってるものも
いたんですねぇ・・・」

「ゴブリンに関しては今でも優秀なのは多いですよ。ただ、昔のゴブリンと組み合わせると拍車が
かかるのは確かですね」

「ゴブリン、嫌いなんですけどねw可愛くないしw」

「おっとぉ~!?コレは差別的発言!?」



――――Cブロック・デュエルスペース



「すまねぇ、手も足も出なかった・・・」

「いや、あれは厳しいだろう・・・」

「ふむ、確かにアレはな。私も昔やられた事があるが、クリーチャ対策が完璧に近いデッキでないと
倒すのは困難だ」

「クリーチャ対策、か・・・」

「なんとかなるでしょう?行ってくるわ」

「ふむ、まかせたぞ、ポワトリン」

行った瞬間、手塚は空を舞った。



――――放送席



「さて、『回転MOKUBA』の次の選手は、え~、ポワトリン選手???」

「な、何ですかそのふざけた名前は・・・」

「ん~~?ポワトリンちゃんは補欠選手だったみたいだけど、あの胸はなんだか見覚えがあるんだが
なぁ~!?」

「む、胸って・・・」

「ハッハ!胸を見れば誰かくらい普通はわかるもんだぜ!?」

「・・・女の敵ですね」

「にしても、冬目選手はどうしたんでしょうねぇ?」

「ま、色々あるんでしょう!?今はあのボインちゃんを目に焼き付けるのが最優先!」

「・・・コレって軽いセクハラですよね」

「・・・軽いんですか?」



――――Cブロック・デュエルスペース



「おやおや、次は女性ですか? クク・・・、随分悪趣味な格好ですねぇ」

「カンジの悪い男ね。これだけ中身も外見も悪けりゃ救いもないわ」

「・・・口の悪さとカンジの悪さなら貴方も負けていないと思いますがね」

「御託はいい、始めるから」

パピヨン仮面の女がダイスを振るう。



――――放送席



「しかし、こうしてマジマジ見るとその見事さがわかるぜぇ・・・」

「何がですロビーさ・・・いえわかりました。それから少し離れてもらえないでしょうか」

「そう言うなよ! コレは男のせいrゲバ!」

「すみません藪口さん・・・。ロビーさんには後で自分からキツイのをお見舞いしておくので」

「・・・今のってキツクなかったんですか^^;」

「火力で表すなら『ショック』くらいです」

「・・・『稲妻』より痛い気がしたぜぇ」

「え、え~と、気を取り直して解説解説♪ 個人的には同じ女性であるポワトリン選手を応援したい
所です。早速マリガンしちゃったようですけど・・・」

「ふむ、マリガンは、まあ仕方ないですが・・・。初手『ミリーの悪知恵』ですか。あえてコレを
採用してるということは・・・」

「エンチャントレスかもなぁ!?」

「エンチャントレス・・・?」

「今はなきクリーチャータイプ、エンチャントレスをドローエンジンに用いたデッキ全般のことです」

「藪口ちゃんも『メサの女魔術師』とかは知ってるだろ?」

「・・・ああ、あのなんとも微妙な性能の・・・」

「はは、まあ実際使用されてるのは『アルゴスの女魔術師』という緑1、無色1で被服を持った
クリーチャですね。それから同様のドロー能力を持つエンチャント、『女魔術師の存在』辺りが
使用されます」

「エンチャント呪文をプレイする度、1枚引くって若干地味に感じるかもしれないが、見てみると
凄いぜ?」



――――Cブロック・デュエルスペース



「セットランド、『エレファントグラス』をプレイするわ」

「なるほど、エンチャントレスと来ましたか。コレは少々厄介ですね・・・」

 『エレファントグラス』、このカードは黒のクリーチャの攻撃を封じ、他の色のクリーチャは
無色2マナを払わなければ攻撃に参加できない、という制約を加えるエンチャントだ。似たような
性能の『プロパガンダ』等とは違い、緑1マナという格安のコストで使用可能だが、累加アップ
キープという毎ターン維持コスト(しかも倍加する)が必要となっている。しかし、軽い
エンチャント呪文を連発するのが強みであるエンチャントレスデッキには、コストが軽い事こそが
重要となる。

「赤でエンチャントに対抗できるかしら? 焼きに来てもいいけど、私が『独房監禁』を張るのと
どっちが早いでしょうね?」

「クククッ、そこまで分の悪い勝負ではありませんがね? まあ、悪知恵を張った上にエンチャント
レスが揃ってしまっては、コチラが速度で勝てる可能性は低いですが・・・」

「フン、さっさと棄権なさい。残念だけどコチラの作戦勝ちよ」

 戦う順番、使用デッキについては、全て手塚の指示によるものだ。手塚は相手の仕様デッキの傾向
や順番をある程度予測していたらしい。
『アングルード』のリーダーである宮下の性格から考え、最初はコンボの名手、天王寺から来ること
が予想された。デッキについては想定外だったが、コンボに対して相性の良いクロックパーミッショ
ンを当てることで無難に勝ちを狙いにいく。続いて予測されるのはZooなどの純正ビートダウンと、
同じくクロックパーミッション。万が一コンボが来れば有利だし、クロックパーミッションとも互角
となる。負けるとすれば純正ビートダウンだが、その後に控えるエンチャントレスはビートダウン、
クロックパーミッションが相手であればかなり戦いやすい相手となる。

「なるほど、初手から読まれていた、ということですか。相変わらず良く頭の回る男ですね・・・」

「こっちは半信半疑だったけどね。さあ『独房監禁』よ。どうする?」

「・・・仕方がありません。投了しましょう」

 『独房監禁』は毎ターン維持に手札のカードを1枚捨てる必要がある。その上、ドローステップも
飛ばす為、維持は困難だ。しかしその分効果は絶大、自身は呪文や能力の対象にならなくなり、
さらには与えられるダメージも軽減されるようになる為、ダメージで勝利を狙うデッキは、コレを
破壊しない限り勝利は不可能となる。相手のデッキの性質上、この状況を打破するのは難しいだろう。



――――???


「・・・どうやら、お前が抜けた所でチームの強さは変わらないようだぞ?」

「嫌味のつもりですか?」

「クククッ、そんなつもりは無い・・・」

「・・・・・・」

「そう睨むな、いずれにしても、選んだのはお前だぞ?」

「・・・分かっている。俺はそろそろ行くぞ」

「ああ、行くがいい、息子よ・・・」


(手塚さん、そしてみんな、悪いが全力で叩き潰させてもらう・・・!)


                                           完
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