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蛍の光

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■ 蛍の光
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傷ついてボロボロの男が二人、川原に寝転がっていた。
「結局最後は俺ら二人・・・か」
ひげを生やしたほうの男が言った。
「なぁに、俺らももう終わるさ。」
眼鏡の男が言った。

「この分だと、他の奴も死んじまったな」
「俺らは傭兵だからな。金のために戦い、金のために殺す。最後は思う様悪態をついて終了さ。」
そうい言うと、眼鏡の男は胸から煙草を取り出した。
カキン、金属音を立て、ライターで煙草に火をつける。
「けっ、結局賭けの儲けは回収できず、か」
眼鏡の男は悔しそうにつぶやく。否、それは諦めとも見て取れる表情だった。
「ま、どの道俺らもこのままお陀仏さ。向こうで回収し・・・」
ヒゲの男が虚ろな目で空を仰いだ。
「・・・蛍?」

空には数匹の蛍が飛んでいた。
「この辺に沢なんて無いのにな。」
「はっ、お迎えが来たのかもな。」
眼鏡の男が吐き捨てるようにつぶやいた。
ヒゲの男は
「お前も蛍みたいだな。」
煙草の火を見ながら言った。


ヒゲの男も煙草に火をつけた。そしてつぶやく
「そういや、昔故郷でさ、ものすごい数の蛍を見たんだよ。」
「ほう」
「ばあさんと一緒でさ。もう目の前まで蛍が飛んでくるんだな。」
「そいつは・・ロマンチックだな・・・」
「でよ、一匹の蛍が頭の上のほうを飛んでて、俺は他の蛍には目もくれず、そいつだけを追ってたんだ。」
「・・・」
「そのうち見失っちまってさ。そしたらばあさんなんて言ったと思う?」
「さあ、な・・」
「『蛍が星になったんだよ』だってよ。」
「・・・」
「星が綺麗でさ、ちょうど少し前まで蛍がいたところに星があってさ。俺はずっと信じてたんだ。蛍は寿命が尽きると空まで飛んで星になる、ってな。」
「・・・」
「笑っちまうだろ?ハハハ・・・・」
「・・・・」
「マーカス?」


ヒゲの男は隣の男を見遣った。いつの間にか煙草の火は消えている。
マーカスと呼ばれた眼鏡の男は返事もしない。
「おい、冗談だろ?マーカス!」
ヒゲ男の目から涙があふれる、が、数瞬後、それは笑みに変わった。
いつしか男は大笑いしていた。
「ハハハ!マーカス!てめぇも星になりやがったな!」
ヒゲの男は煙草の火を消し、空を仰いだ。
「俺も・・すぐ行くよ・・・」

「ばぁさん、蛍が死んだら星になるって、本当だったんだな・・・」


そしてもう一匹、蛍は星になった。
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