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はじめ

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‐overture‐

あぁ、友よ
その調べは耳障りだ
もっと安静と、望郷に満ちた調べを私に。



「それで結局、君はまだふてくされているのかい?」

男は笑う

少年のように頬を緩ませ
捕まえた虫けらを弄ぶ指先が
悪意無き軌跡を辿らせて

あたりまえの純粋が頬笑みを鮮やかに


「やめろ!ファウエレン
 おまえに何が分かる、おまえに何がわかるというのだ」

硝子の床は空を映して
だた色の無い空を映して
それは地平の先まで手を伸ばし、広がりは無造作に

「あぁファウスト、僕は分かるよ
 君は、とてもとても、つまらないやつさ」

何を語る、何故語る
未だ境界の畔で佇む人たりえる私に
魂までも己の手から逃し零したそのおまえが
いったい何を語り聞かせることができるというのだ

 「たった一度のおさらばに
 たった一度の失くしものに
 君はずっと籠りきり、僕はずっとつまらない

 月は満ち欠け、万物は流転
 周り巡る車輪が轍の上で身を以て明滅の全てを証し示すのならば
 君でさえも創造の糧にその身を流し交るべきだ」

光よ、溢れるな
太陽は未だ広大な天を駆け
情熱は人々の心に生き続けているのだから

数多の世界が
際限なく浮き重なる泡の如く
未だその薄皮に映しえて、それらは確かなのだ

私はそれを望まない
おまえもそれは望まない

そうだ、だから結局は
輪廻へ還えれないおまえのために
私の限りある時間で
おまえの限りない好奇の杯を満たせというのか

「それに僕は疲れたよ
 君への恋路を阻まれた
 陰気な悪夢の戯言を、何千年も聞き飽きた」
 
男は笑う
少年のように頬を緩ませ
新しい玩具をねだる眼差しが
星の彼方の父の愛さえも我がものとせんばかりに

「ファウエレン
 ならばおまえの好きにするといい」

空を映す硝子の床は
ああ、そうか
焦がれて幾千夢

私もおまえも地平の先まで無造作に

おお、友よ
快い、喜びに満ちた調べに声を共にあわせよう。

「ファウエレン!私は願う
 綺麗なOL風の美人なおねいさん(パンスト必須)と
 失神するまでにゃんにゃんしたい」






2, 1

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