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憩いの気持ち

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何かやりたかったってわけじゃない。
逆に何もやりたくなかったってわけじゃない。

そんな曖昧な気持ちでずっと過ごしてきたからかもしれない。
俺は、未だに、恋人はおろか、友達さえいなかった。

現代人なんてみんな、憂鬱に怠惰に毎日を過ごしている。
俺もそれに習って、無気力に生きていた。

それなのに、俺だけが30人単位のクラスで一人ぼっちだった。
休み時間は、寝たふりか、携帯をいじって過ごし、昼休みは、学校の外を購買で買ったパンを喰いながら、散歩して過ごした。

放課後なんて、何もやることがなく、直帰し、夕飯を食べ、寝て、次の日になる。
これを俺は中学校生活でずっとやり続けていた。

だが、こんな辛い毎日だったのにリストカットや自殺をしようとは思わなかった。

自然と、ああ俺はこんな毎日がお似合いなんだろうなぁと理解していて、これ以上を求めなかった。
最初のころはほしかった、恋人も友達もいらなくなり、同級生が恋人をつれて歩いてるのを見ても、キスしてるのを見ても、俺は嫉妬は愚か、何も思わなかった。

三年間という月日は俺の一つの欲求を奪い去っていった。
でも、俺はそのことについてさえも、何も感じなかった。
漠然と思った。
俺はこの都会の中に埋もれ死んでいくのだ。
結婚もせず、子孫さえも残さず。生きる意味さえもわからないまま死んでいく。
少しだけ悲しくなった。
この悲しい気持ちもいずれは消えてしまうのだろうか。
そんな鬱々としたことを毎日考えて、痩せこけていた俺を心配したのか、親父は養生のために親父の実家の那市の田舎へと俺を送りつけた。

どこにいても、俺の「病気」は変わりはしないのに。
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