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 パクッ、パクッ、大きく口を開けて柔らかい花びらごとほおばる。それは驚くほどおいしくて、一輪また一輪とかぶりついた。そのうち花の香りが体に染み付いた。あんまりの嬉しさに頬が緩む。あぁ、これならあの人は喜んで抱きしめてくれるはず。また一輪、一輪とかぶりつくと、今度は唾液が花の蜜のように甘く感じた。あんまりの嬉しさに笑い声が上がる。あぁ、これならあの人は喜んで口付けてくれるはず。そうやっていくつもいくつも花を食べる。あの人の好きなその花になるために。
 だけれども、幾度繰り返しても決して花になれはせず、あの人の姿も映らず、あぁ、私は花のように枯れ果てる。しなびれ、枯れて、腐り、色褪せる。あぁ、あるいは美しい腐敗ですら短い輝きにしかならず、あぁ、私は土となる。

 「綺麗な花だ。」

 青い空に負けず劣らず輝く、あなた。
 あぁ、色褪せ始めて花となれた。
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