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第2章

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 第4話

「T・ブレイク」
「わぁーん!また負けたぁーっ!」
 快晴の昼下がり、ソラは店に来た子どもたちとデュエマをしていた。
 店には数人の子どもとソラ、店長を除いて誰もいない。
「兄ちゃん、そのデッキ強すぎ!他のデッキでやろうよー!」
「俺はガーディアン一途だからね」
「何言ってんの?これガーディアンじゃないよ?」
 1人の子どもがソラのカードを1枚指差す。
 そこには金色の翼を纏うクリーチャーが描かれていた。
「これは俺の大切なカードなんだ。だから特別さ」
「でもガーディアン一途じゃないよね」
「……あぁ、訂正しよう」
「嘘つきだ!大嘘つきだーっ!」
「ええい、うるさーい!……ん?」

 ソラの目にいつの間にいたのか、男の姿が映った。
 髪を短く切りそろえた体格のいい青年だった。
「客っすか……いらっしゃい」
「いや、君に用がある」
 その男はソラを指差す。
「……決闘っすか?」
 ソラは立ち上がり、店の奥から決闘用の台を出そうとする。
 それを男が慌てて制した。
「何も賭ける気は無いんだ。ただ戦ってほしいだけだ」
「なんだ、そうっすか」
 肩から力を抜き、ソラはテーブルに座った。
 その男もそれを見て向かい側に座る。
「自分はキニシ、よろしく頼むよ」
「ソラっす。……じゃ、遠慮なく」

 デュエルはキニシの先攻から始まった。
 序盤、ソラは軽量ブロッカーを展開し、キニシはマナをブーストする。
 ソラの5ターン目。
「ソル・ガーラをグレナ・ビューレに進化、W・ブレイク!」
 キニシのシールドは残り2枚になる。
「お?S・トリガーでデーモン・ハンドだ。グレナを破壊しようか」
「グレナは破壊される、でもグレナは相手のS・トリガー発動時に山札の上をシールドに加える!」
 ソラのシールドが6枚に増える。
「こりゃまいった。……君もだんだん戦闘モードになってきたようだね。」
「……よく言われるっす」
「じゃあこちらのターンだな、ドロー」
 ソラのバトルゾーンには蒼天の守護者ラ・ウラ・ギガ、時空の守護者ジル・ワーカ。
 一方でキニシのバトルゾーンにクリーチャーはいない。
「……よし、こいつだ。コアクラッシュ・リザードを召喚!」
「それは……相手のシールドを墓地に送る効果を持った……」
「その通り、君の右端のシールドを1枚墓地に送るよ」
 ソラは指定されたシールドを表向きにし、墓地に置く。
 S・トリガーだった、しかし墓地に置かれるため発動はできない。
「勘が鋭いな……。俺のターン、サイバー・ブレインでカードを3枚引き終了。」
「ふ、ならば冥府の覇者ガジラビュート召喚。効果はコアクラッシュと同じだ」
「……!また……!」
 ソラのシールドは残り4枚。
「こちらはターンを終了する」
「シールド焼却デッキか……。俺はミスト・リエスを召喚する!他のクリーチャーがバトルゾーンに出るたび、1枚引ける効果を持つ。」
「ほほう、うーむ……」
 キニシの手が止まった。
 ミスト・リエスを除去できるカードが手札に無いのだ。
「仕方ない、こうなったら先に大型獣で場を制圧するのみだ、進化V!」
 コアクラッシュ・リザードと冥府の覇者ガジラビュートが重ねられる。
「召喚だ、暗黒凰ゼロ・フェニックス!そのままシールドを焼き尽くせ!」
 スーパーレアの大型クリーチャー登場に、ソラの近くにいた子どもたちが焦り出した。
「兄ちゃん、ブロックだよ!ゼロにブレイクされたシールドも墓地にいっちゃうよ!」
「分かってるって、だがブロックはしない」
「な、何で!?S・トリガーがあるかもしれないのに!」
 ソラのシールドが残り2枚になり、両者のシールド数が並ぶ。
 キニシは子どもたちの反応を見てくすりと笑った。
「こっちは君の読み通りシールド焼却デッキだからね、ソラ君はS・トリガーが発動できる機会は無いと思ったんだろう?」
「そうだな。それに……クリーチャーの数を減らすわけにはいかなかった」
 ソラがゆっくりと手札のカードに手を伸ばす。
「ラ・ウラ・ギガ、ジル・ワーカ、ミスト・リエスを今1つに」
「あ、それって兄ちゃんがさっき言ってた……」
「超神星ヴィーナス・ラ・セイントマザー!ゼロ・フェニックスを攻撃だ!」
 パワーはヴィーナスが500上回っている。
 ゼロ・フェニックスが破壊され墓地に置かれた。

「……ふぅ、なかなか楽しかったよ」
 戦いが終わり、キニシは深呼吸をした。
「いつかリベンジしたいね、また来ていいかい?」
「お客さんは誰でも歓迎するっすよ」
「ははは、じゃあ今日はこれで失礼するよ」
 キニシは背を向け、店の外へ出る。
 ソラは子どもたちとまたデュエマを始めた。

 店を出たキニシは携帯電話を取りだした。
 その表情は冷めきっており、口元だけが笑っていた。
「……もしもし。えぇ、キニシです。……はい、トイ・PPは大丈夫ですよ。あの程度の実力なら何も問題ないです。これで8人揃いましたね」
 それからしばらく相槌を打つ声だけが聞こえ、やがて電話を切る。

 青空はいつのまにか灰色の雲に覆われていた。
4

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