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にーまる編

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「あ、あああーー!!江國香織さん可愛いおおーー!!あ、ああ愛!愛愛愛愛アイラビュー!!ひゅーー!!はぁ、はぁはぁ・・・ふぅ・・・え?なになに?江國香織さんの何がそんなに可愛いのかって?いちいちそんなの説明しないと駄目なの?ほんっと駄目だなお前は!このウスノロが!!まぁいくらでも説明してあげるけどね。まず言うまでもなく文章自体が可愛いよね。当然ながらね。この辺のことは説明するまでもないよね。え?じゃあ他に何が可愛いのかって?顔に決まってんだろ。そもそも数々でまわってる江國香織さんの写真のなかで一体どれが本物なのかっていうね。あきらかに違う顔だからね。全部。全然違う人だから写ってるの。別に俺としてはどうでもいいんだけどね。全部可愛いし。つーか、顔とかどうでもいいし。江國香織さんだったら別に顔がゴリラでもいいし。え?さっきと言ってる事が違うって?わかってねぇなお前は。俺の言いたいことが全然つたわってねぇなお前には。いいか、大事なのはな・・・HとJの間にあるものなんだよ。そうあれね・・・あれのことね・・・」


 はい。これですね。以上で大体私が言いたいことは伝わったと思います。上の文章を見てもらえば大体の人は面白い小説を書けるようになると思います。でも中にはね、お前のように読解力がなく、常に周りを見て他人に合わせるだけで自分で考える癖がついていないような人間もいますから一応説明してあげるとします。上の文章の何がポイントかと言いますとね、「江國香織さん」について書かれた文章であるということです。これがもし「江國香織さん」ではなく、「イチローさん」について書かれた文章であったなら、だいぶ意味がかわってきますよね。「イチローさん」について書かれた文章であったなら、それは「面白い小説の書き方」ではなく「面白い野球のやり方」になってしまいますからね。
 飲み込みの悪いお前でもだいぶわかってきたようですね。そうです。面白い小説を書きたいと思ったら、小説家を愛せということです。え?なになに?「ぼく(わたし)は既に小説家を愛している」って?「それなのに面白い文章が書けない」って?嘘つくな!!お前どっちかっていうと文章読むの嫌いだろ!!包み隠す必要はないですよ。私にはお前のことは手に取るようにわかります。どうせお前は体力的に充分なときでないと進んで小説を読むことすらできないでしょう。もしかしたらお前のことだから体力的に充分なときでも特別なきっかけでもない限り読んでいないかもしれません。だから駄目なんだお前は。いや、駄目ではないよ。人として駄目って言う意味ではないよ。うん。お前が頑張ってるのはわかるけどさ。でもお前が今のままで面白い小説を書こうとしたって無理なんだよ。なんでかって?
 それはね、お前にはまだ面白い小説を書こうとするのは早いからだよ。お前にはね、「憧れ」が足りないの?分かる?子供がイチローさんを見て、「ああ、格好いいなぁ。僕もああいう風になりたいなぁ」っていうのがお前にはないんだよ!!そりゃ無理だわ!!え?なになに?「俺は充分小説家に憧れている」だって?ノンノンノーン!!お前それは小説家に憧れているんじゃなくて「小説を書ける人」に憧れてるだけだっつーの!ただなんとなくこれこれこういう風にできたら格好いいなーって思ってるだけじゃまだぜんっぜん駄目。そもそも漫画とかアニメとかドラマとかを手本にして小説を書こうとしてる時点で駄目だよね。本っ当こういう人多いですから。自分で気づいてないだけで。お前は馬鹿かと。お前がやってるのは空手の試合を見て「ああ、格好いいなー。俺もああいう風に闘えるようになりたいなぁ」っつって殺し屋目指してるようなもんですから。無理だろ!!殺し屋になりたいんだったら殺し屋の仕事見てとりあえず形だけでも真似してみるしかないだろ!!あ、一応言っとくけど、空手家と殺し屋を比べて殺し屋のほうが上位の関係にあるとかそういうことを言ってるわけじゃないからね?わかるよね?俺が言いたいのは空手を見て殺し屋になりたいと思ったとしてもそれは空手家に憧れてるわけでも殺し屋に憧れてるわけでもないってこと。ただ「かっけー」って思ってるだけなんだよそれは。それじゃ駄目なんだよね。いや駄目って言うか、殺し屋になるには程遠いって訳なんだよね。


 色々厳しいこと言っちゃったけどね。俺は頑張ってほしいんだよね。お前にね。とりあえず面白い小説を書きたかったら、自分が憧れを抱けるような小説家を見つけろってこと。まぁ言うほど簡単なことじゃないけどね。難しいですよ本当。小説を書くっていうのはね。だからまずできることをやるべきなんだよね。そうね、今から小説を手にとって、色々と想像してみるとかね。あ、想像してみるって言っても情景とか登場人物の心境とかじゃないよ。そんなん想像するのは当たりまえだっつーの。想像しなきゃいけないのは、その小説の中の今読んでるその文章を、作者はどういう風な心持(こころもち)で書いたのかって言うこと。むしろ、その作者の心持(こころもち)をお前自身も味わってみろってこと。むしろその作者になれっていうこと。え?「そんなこと無理」だって?んなことねぇって。お前ならできるって。応援してっからよ。マジ頑張ってくれよ。自分自身を変えてみろよ。今しかねぇってマジで。大事なのはさ、ほら、HとJの間にあって、うえの上にあるものだよ。

 そう、Iだよ、愛・・・。
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