静寂遊戯
ある男が唖の子を引き取った。それはたいそうかわいがっていたが、しかしただひとり、その男を否定する男がいた。その男は物陰から、砂場で遊ぶもうひとりの男と唖の子を見て笑うのだ。
「もうすぐだぞ!」男が叫ぶ。
「すぐにその子は口を利く。そうしてお前を否定するのさ。誰からも嫌われやがって、そんな独りよがりの善行で、いまさら救われると思うなよ!」
男が顔をあげると、そこには誰もいない。袖を引っ張られるのを感じて下を見ると、養い子が心配そうに見上げてくる。しかしそれは、誰を気遣って? 私を、それとも自分を? 男にはわからない。時間が進み、砂場の城が少しずつ崩れていき、二人はいつまでも遊んでいる……どちらかが口を利くまで。