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計算等価

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 失敗すれば逆流することはわかっていた。記憶を掘り起こし、新しい知識に変換する以上、泥を鷲掴みにするような乱雑さで脳に損傷が出るのは確実だった。舌が痺れ、目が泳ぎ、呼吸は浅い。俺は死ぬかもしれないがそんなことはどうだっていい。今更惜しくも思えない。欲しいものはただ新しいもの、次の階段でしかなく、ほかのものすべてがどうでもいい。俺は自分を何かに変換し尽くして、それから思い切り死ねばいい。それまで死ねない。他人がどれほど犠牲になろうと俺の知ったことじゃない。そのために俺は魂を売った。もう取り戻せないし、魂とやらがどんなものだったのかも思い出せない。俺は魂を売ったのだ。その重さに釣り合う対価は支払ってもらう。たとえ何人犠牲にしてでも。たとえどれほど見逃したくても。もはや涙は熱でしかない。腫れぼったい瞼の重さだけが俺に残った悲しみだ。掃いて捨ててやる。
 悲しみで何が買えるんだ?




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