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ディスプレイの中には、肌の白い、肉付きのよい女がいる。豊満な乳房で男の陰茎を挟み、上下にゆっくりと擦り上げる。

俺はそれを食い入るように見つめる。自らの陰茎を左手で優しく包みつつ、右手のマウスで動画の再生速度を調節する。

女が肉棒を擦り上げる速度を上げる。男の息遣いが荒くなる。俺もそれにシンクロし、左手を動かす速度を上げる。脳の快感神経が歓喜するのを感じる。

動画の視点がが切り替わる。真正面。女がこっちを見ている。見ている。見ている。視点を外さない。おい。見るな。こっちを見るなよ。おい。なぜそんなに悲しい目をしている。その憂いを含んだ目はなんだ!なんだよ。「私はお金がどうしても必要で、仕方なくこんな仕事してます」って顔するなよ。腐っても女優だろ!おい!「こんな汚い仕事をしている私を見て、オナニーをするお前らが一番汚い」って顔するな。悪いか!?はじめて作ったクレジットカードで、届いて早々にエロ動画を購入する俺が汚いか!?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


濁りきった思考の狭間で、しっかりと精液は排泄。快感の残り湯に浸かりながら、俺は「Selected Ambient Works, Vol. 2」をiTunesで再生する。
一曲目の「Cliffs」がスピーカーから滲み出すと、一瞬にして空間が拡張されるような感覚に陥る。
平穏。風一つない草原にひとり佇む。見上げる空には雲ひとつない…そんな感覚だ。

まるで高等遊民にでもなったかのような達成感…。しかしそんな幸せも長くは続かない。
空間に不協和音が鳴り響く、携帯電話の着信だ。画面をのぞくと「母から着信」の文字だ。

「はい、もしもし」
「ジュンかい?アンタねー、学校はしっかり行ってるの?大学から連絡がきたわよ」
「何の連絡だよ」
「知らないわよ。ただ学生課に来なさいって連絡。ジュン、あんたが学校に全然行ってないから呼び出しくらったんじゃないの?」
「んなことねーよ、連絡はそれだけ?」
「あんたねー、ちゃんと将来のこと考えなさいよ。ちゃんと単位取って、ちゃんと卒業して、ちゃんと良い企業に入りなさいよ。授業料だってそんなに安くないんだから。」
「はいはいはい、わかりましたわかりました!それじゃ!」
「…ッ」電話を無理やり切る。

一気に気分が奈落の底へ。真っ暗闇の世界へこんにちはだ。
もちろん、大学になんて全然行ってない。行く気もない。微塵も。

そう、俺はダメ学生。正直なところ、辞める気満々だ。
辞めてどうするかって?さあ、知らないよ。

旅にでも出るか?その金は何処から?起業でもするか?この不況にか?
どうせフリーターあたりに落ち着くんだろ。

あー不況不況、落ちこぼれ。
死にたくなるよなぁ。

もう、いっそ狂ってしまおう。そのほうが楽なんだなこの世の中じゃ。
あーそうだ、最近ネットで見かけた合法ドラッグ。あれを買ってみよう。

テクノやエレクトロニカなんかにも相性がいいって2ちゃんのスレにも書いてあったしなぁ。
よーし、買っちゃうぞ~。パパ、合法ドラッグ買っちゃうぞ~。

あひ。







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