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ハロー・ガイズ

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ハロー・ガイズ。

僕の名前はサムソン武田
趣味は自分探し。
今度電車に乗って遠くまで行きたいな。

友達はいないよ。
酒と煙草と、ドラッグだけが僕の理解者さ。

懐かしきはシシリー島で漁師をしていた青春時代。
恋人の名前はマルクっていって、
農民の娘で、とびきっりのブスだったよ。
でも大好きだったんだ。
はにかんだ笑顔が、素敵でさ・・・

ある日、俺はマフィアの金に手をつけちまったんだ。
その金で、恋人のマルクと二人で駆け落ちしようと思ってな。
途中まで、上手く行ってたんだ。
500万ユーロという大金を手にし、車と、しばらくの生活品をそろえたんだ。

いざ、
さあ、どこまでも逃げていこうよ
この狭い、腐った世界から・・・
ってカッコつけたセリフを彼女に言って、キスをしたんだ。
・・・したのはいいけど、彼女が突然泣き出したんだ。

俺は「おいおい子猫ちゃん、いきなり泣き出すなんてどうしちまったんだい?まさかロブスターのスープにザリガニが入っていたわけでもアルマーニ・・・」

って慰めたんだけど、どうやら彼女はこの駆け落ちが上手くいかないと思ってたらしい。

「武田さん・・・無理よ、逃げれるはずないわ」

「そんなの逃げてみなきゃわからないだろ?」

俺は精いっぱい、ママンの作ったレモン・タルトくらいの甘い声で囁いた。

「無理よ・・・逃げれっこないわ!」

彼女はつづけてこう言ったんだ。

「だってここ、島よ!どうやって車で逃げだすのよ!」

って。

HAHAHA!
こいつぁしまったぜ!
確かにシシリー島は島だ。
パノラマが海!マリンブルーさ。

「こいつぁハンズ・アップだぜ・・・」

「私たち・・・もう逃げれないわ」

仕方ない、もうマフィアからは逃げれないし、捕まったら二人仲良くシシリーの魚介どもの餌になるのが分かり切ってる。

だから思いついたんだ。
この右手の銃で、彼女を殺して、俺も死のう、と。

俺はだまって愛しの彼女の重厚なブロンドヘアに銃口を向けた。
シャレさ。
彼女は相変わらず下を向いて泣いていたっけ。
神様にお祈りをして、十字を切って、俺は引金を引いた。

スカっ

あ・・・あれ?
「なんてこった、弾がはいってねーぜ!ボロネーゼ!」

「呆れた人wwwうふふwwwそんなあなたが大好きよwww」

彼女は笑った。
今まで見せたことないくらいのエンジェルスマイルだった。

「ふふ・・・・ははは・・・あはははははwwww」

太陽だけが、俺たちを見ていた。

「ファックしようぜ」

「お断りよ」

「キスしようぜ」

「三回死んで生まれ変わって出なおしてきな!小便垂れ小僧!」

彼女は隠し持ったデリンジャーで俺を打ち抜いた。

と思ったら、それは振りだけで、
いきなり俺の唇を奪ってきやがった。

それはもう甘くて、ママンの作ったメロンパンのはじっこの堅い生地よりも
とろけるチーズは雪印!かと思ったくらいだ。

そうさ、俺は夢を見ていたんだ。
結局、夢は現実まで追っかけてはくれない。

二人は、ただ抱き合って、

「生まれ変わったら、また会いましょう」

と言って、それからまた抱き合って、
また抱き合って、最後に一緒に寝たんだ。




朝起きると、二人の車の周りには50人くらいのマフィアが囲んでたんだ。

俺は観念して、煙草のガラムを吸い始めたよ。

マフィアのボスが俺に言った。


「お前の行き先は二つ、耳をそろえて100000万ユーロを返すか、天国かだ」

「ヘイメーン勘弁してよ、俺はそんなに盗っちゃいねぇ」


バン!


「うぎゃあああ!!!」


足を打ち抜かれた


「冗談はよしこさん」

「わ、分かった返す・・・返すから!」

「はやくしろよ、そろそろ飽きてきたんだ」

「じゃあもうやめでいいですか?」


バン!


「ぐげごおおおおおおおお!!!!!!」

「冗談はソメイヨシノ」

「ちょwwおまwwww今心臓撃っただろ?死んでる!俺死んでるから!www」


心臓から血が流れる・・・というより、心臓ごとぶっ飛んだ。


「アッチャー・・・サッチャー・・・ブッチャー・・・」

薄れゆく視界の中、マフィアのボスがマルゲリータの上のバジリコソースより笑えないジョークを吐いてた。


彼女は・・・最後に、マルク・・・君が見たい・・・



彼女は助手席で丸くなって寝ていた。

ははは、マルク、丸くなってたか・・・そうか・・・


そう・・・・・・・・・・・・か・・・・・・・・・・・・・・・・
5

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