遺伝子の中の龍
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『遺伝子の中の龍』とはいくりによるWeb漫画である。『週刊ヤングVIP』にて2019年8月12日より連載。
遺伝子の中の龍 | |
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作者名 | いくり |
掲載誌 | 週刊ヤングVIP |
概要 | 戦争、バトル、シリアス、SF |
掲載期間 | 2019/8/12〜連載中 |
サイトURL | https://saquasohuh.web.fc2.com/index.html |
概要
- 毒の雨に汚染された大地で、二つの民族間の戦争に巻き込まれた少女の物語。
- コピー用紙、鉛筆、サインペン、ボールペン(ジェットストリーム)によるアナログ作画で、WEB漫画作品では珍しく、850px×600px程度の横長原稿で構成されている。原作は作者が過去に執筆した小説作品であり、内容を加筆修正し漫画版としている。
また、作者の趣味や日常の出来事を題材に、本編の台詞を差し替えた1P漫画が副産物として掲載されている。それによると雑誌掲載時点で500ページほどのストックがあり、定期的に更新しつつ追加分を執筆しているとのこと。
あらすじ
- 千年前、架稟(カヒン)大平原の北西に降り注いだ「毒の雨」は、河や湖、地下水を経て大地の全土に広まり、そこで暮らす零氏(レイシ)族の人々に甚大な被害をもたらした。
- 零氏族の国である爾江陀(ジェダ)皇国の合紫帝は、父親であった先皇帝を殺害し皇位を簒奪した後、山脈に囲まれ「毒の雨」による被害を免れた禰普來(ネフライ)自治国の清浄な地を零氏族のものとするべく侵攻を開始する。
- 禰普來の桃氏(ペルシ)族であった柘榴(ガーネ)は、故郷の虞江斜(ゲーサ)村を追われ、皇軍に殺害されそうになるも、同じ桃氏で「雨降らしの御使い」であった光彩(ラスター)に救出され、爾江陀にある秦那(シンナ)疎区の秘密基地で生活することになる。そこでは皇軍から迫害された零氏族が桃氏族と分け隔てなく寝食を共にしていた。やがてとある一件から自身も「雨降らしの御使い」となった柘榴は、民族間の戦争とその背景にある壮大な計画に翻弄されていく。
登場人物
- 柘榴(ガーネ)
- 本作の主人公である桃氏(ペルシ)族の少女。一人称は「私」。故郷の虞江斜(ゲーサ)村を追われ、皇軍に殺されかけたところを光彩(ラスター)に救出された。
- 先端の尖った短髪であることから少年と間違われることがある。自身を救ってくれた光彩に淡い恋心を抱いている。
- 救出された後は怪我の治療をしてくれた祢莉(ネリ)と良き友人となるが、祢莉が土の毒による腫瘍の悪化で命を落とした際に何も出来なかったことから己の無力さを痛感し、仲間を護るための力を強く欲するようになる。その後爾江陀(ジェダ)へ亡命してきた岱沙(タイシャ)猊下一行を保護すべく皇軍と対峙した際に、天烈南(テレナム)から渡された符号符を装着し、「雨降らしの御使い」となった。
- 普段は裸足で行動しているが、芙柚沙(フューシャ)の住む雲抜塔(クラウドタワー)に赴く際は、土の毒の影響を受けないようにと芙柚沙に貰ったブーツを履いていた。
- 光彩(ラスター)
- 禰普來(ネフライ)の科学者であった桃氏(ペルシ)族の青年。一人称は「ぼく」(目上の者に対しては「私」)。秦那(シンナ)疎区にある秘密基地の年長者の一人。
- 禰普來内地の仙境庭園(ヘヴンズガーデン)にて芙柚沙(フューシャ)博士の助手として働いていたが、芙柚沙失踪の際、他の科学者とともに捜索隊を結成し爾江陀(ジェダ)へ下ったところ、巡回兵に襲撃され唯一の生き残りとなった。その後天烈南(テレナム)に救助され、以降秘密基地で生活することになる。
- 天烈南が所有していた符号符の1つを受け取り、符号符の仕組みを解明するという名目で自ら実験台として「雨降らしの御使い」となる。
- 禰普來の内地生まれで髪色が薄いため、呉留土(ゴルド)の市場に赴く際は桃氏と気付かれないよう墨粉を使って染髪している。爾江陀皇国の九里(クリュ)護将と内通しており、呉留土の市場にて爾江陀の孤児達を秘密裏に引き取っては保護している。
- 爾江陀の土壌再生施設である仙境模球(ヘヴンズスフィア)にて研究員として在籍していたことがある。
- 御使いになってからは「善意で他人を救った後の代償が大きすぎる」として、符号符の力を自分と周囲の僅かなものを護るためだけに使っていたが、柘榴と天烈南の補給部隊襲撃作戦を機に「手を差し伸べなかった場合の後悔は、善意で他人を救った後の代償よりずっと重い」と考えるようになり、合紫帝の符号符性能試験による虐殺を阻止すべく、単身玖夫(クォツ)村に潜入することを決意する。腰まで伸びる長髪が特徴で中性的な容姿をしており、玖夫村に潜入した際は、桃氏の女性の亡骸から民族衣装を拝借して女装し、捕虜に扮していた。
- 祢莉(ネリ)
- 秦那(シンナ)疎区にある秘密基地で暮らす零氏(レイシ)族の少女。膝下まで伸びる長い髪を2本の三つ編みにしている。父親が徴兵を拒否したため皇軍に家族を殺害され、自身も命辛々逃げ延びたところを天烈南に助けられた。秘密基地に運び込まれた柘榴(ガーネ)を介抱し、回復後は秘密基地での仕事を教えていく過程で柘榴の良き友人となる。基地では主に農作物の栽培を担当している。
- 土の毒に侵されており、柘榴が秘密基地に来て間もなく頭部の腫瘍が肥大して病室に隔離されるも、治療の甲斐なく帰らぬ人となった。死因は肥大した腫瘍に気道が圧迫されたことによる窒息死だった。
- 天烈南(テレナム)
- 爾江陀(ジェダ)皇国に仕えていた元軍人。一人称は「おれ」。炳李(ヘイリ)狩将の弟で、兄と同じく登楼富(トロープ)に師事していた。
- 在軍時は著名な功績により兄の炳李を抑えて出世し、合紫帝より符号符を授与されたが、土の毒や飢えに苦しむ自国民を全く顧みず、徴兵と軍備増強を進める合紫帝に不満を爆発させ、合紫帝の持つ残り2枚の符号符を奪い皇軍を離反した。秦那(シンナ)疎区にある秘密基地の年長者の一人。皇軍や合紫帝に非常に強い敵愾心を持ち、秘密基地を襲撃する皇軍兵に対しては一切の慈悲を持たず惨殺している。
- 常に顰め面であり、粗野な言動と筋骨隆々な体格も相まって近寄り難い印象を与えがちだが。秘密基地で暮らす仲間のことは肉親のように想っている。
- 爾江陀に亡命した岱沙(タイシャ)猊下一行を追跡する皇軍兵を迎撃するにあたり、柘榴の覚悟を見極めるべく符号符を渡した。
- 芙柚沙(フューシャ)
- 禰普來(ネフライ)の科学者であった桃氏(ペルシ)族の女性。一人称は「あたし」。毛先のカールした長髪を後頭部でシニヨンとポニーテールにしている。禰普來内地の仙境庭園(ヘヴンズガーデン)にて岱沙(タイシャ)猊下の下で自然科学研究に従事していたが、ある時単身で地質調査に行くと言い研究所から失踪する。その後爾江陀(ジェダ)の怜毘(レピ)死区にある雲抜塔(クラウドタワー)を拠点に、孤児たちを保護しつつ盗賊としてで生計を立てていることが明らかになる。秦那(シンナ)疎区にある秘密基地へは頻繁に物資の差し入れに来ており、芙柚沙を捜索しに爾江陀へ下った光彩(ラスター)ともその縁で再開した。但し禰普來を抜けた理由については最後まで語ることはなかった。
- 作中では皇軍の巳華(ミカ)工区への補給物資を強奪するために秘密基地を来訪するも、夜間に何者かの襲撃を受け背中に重傷を負ったことで計画を断念し、柘榴(ガーネ)と天烈南(テレナム)が作戦を引き継ぐことになった。作戦終了後は捕虜となっていた桃氏を救えずに意気消沈する柘榴に檄を飛ばし、符号符の秘密を知りたければ雲抜塔に来るよう伝え、秘密基地を後にした。
- 気が強い典型的な姉御肌で、治療の為とはいえ上半身の裸体を周囲に晒した際も全く気にする素振りを見せなかった。
- 片奈(ヘンナ)
- 秦那(シンナ)疎区にある秘密基地で暮らす零氏(レイシ)族の少女。一人称は「私」。手先が器用で呉留土(ゴルド)の市場で売るための手工芸品を作成している。苓土(レド)の悪戯には手厳しく対応する。眼が半開きで感情の起伏に乏しいが、柘榴(ガーネ)が芙柚沙(フューシャ)に会いに怜毘(レピ)死区に赴く際は人一倍気にかけ、見送り時に桃氏(ペルシ)の御守りである祈祷旗を自作し手渡した。
- 苓土(レド)
- 秦那(シンナ)疎区にある秘密基地で暮らす零氏(レイシ)族の少年。一人称は「おれ」。坊主頭の腕白盛りで、事あるごとに悪戯を仕掛けては片奈(ヘンナ)に怒られている。母親とは死別している。
- 太厘亜(タリア)
秦那(シンナ)疎区にある秘密基地で暮らす零氏(レイシ)族の少年。一人称は「おれ」。おかっぱ頭で後ろ髪を束ねている。苓土(レド)の寝像の悪さの所為で度々被害にあっている。
- 杼洲(ヒース)
秦那(シンナ)疎区にある秘密基地で暮らす零氏(レイシ)族の少年。天然パーマ。太厘亜(タリア)とともに見張り役をしていたところ、皇軍に追われる岱沙(タイシャ)猊下一行を発見し、急いで天烈南(テレナム)に伝えようとして梯子を転げ落ちた。
- 乞斗(コット)
秦那(シンナ)疎区にある秘密基地で暮らす零氏(レイシ)族の少年。一人称は「ぼく」。基地の子供の中では年長だが比較的臆病な性格。天烈南を「さん」付けで呼ぶ。
- 岱沙(タイシャ)
- 主玲逗(スレイズ)
- 不玲逗(フレイズ)
- 合紫帝(ごうしてい)
- 炳李(ヘイリ)
- 九里(クリュ)
- 胡琥(ココ)
- 真戸(マルト)
- 登楼富(トロープ)
- 永璃(エイリ)
地名
- 架稟(カヒン)
- 爾江陀皇国と禰普來自治区をまとめた呼び名。『閉じた土地』という意味。
- 爾江陀皇国にかぎっては平原にあるので、架稟大平原という呼び方もある。
- 爾江陀皇国(ジェダこうこく)
- 零氏(レイシ)族の国。千年前に毒の雨が降って以降、衰退の一途をたどる。
- 秦那疎区(シンナそく)
- 秘密基地がある場所。『土の毒』に侵されつつあり、退去命令が出されている。
- 怜毘死区(レピしく)
- 毒の雨が降った場所。毒素値が限界突破している。雲抜塔がある。
- 呉留土市(ゴルドし)
- 物流の中心地。生活に必要なものはだいたいここで入手できる。
- 玖夫村(クォツむら)
- 怜毘死区に近い集落。最寄りの河川が汚染され住民は全滅。
- 迩都(ニト)
- 『土の毒』に侵されていない場所。乾燥地帯。“特区”と付く場合もある。
- 禰普來自治区(ネフライじちく)
- 桃氏(ペルシ)族の国。山岳に囲まれた高地で、毒の雨の被害を免れた。
- 仙境庭園(ヘヴンズガーデン)
- 禰普來自治区の内地、中心部。汚染されていない清浄な土地。
- 虞江斜村(ゲーサむら)
- 山岳地帯にある小さな集落。柘榴のふるさと。焼き討ちで消滅。
- 清乍河(セルサがわ)
- 禰普來に始まり、架稟を突っ切る大河。たくさんの分流(支流)がある。
用語
- 土の毒
- 毒の雨が大地に浸み込んで残留し続けているため、呼び方が自然に変わったもの。
- 符号符(ふごうふ)
- 謎の板切れ。身に着けると“雨降らしの御使い”に変身できる。
- 雲抜塔(クラウドタワー)
- 謎の塔。芙柚沙たちが暮らしている。
- 双僧会(そうそうかい)
- 謎の組織。不玲逗がかつて所属していたが、主玲逗に追い出されたらしい。
- 仙境模球(ヘヴンズスフィア)
- 迩都にある研究所。土壌再生施設。
- 里亜馬(リャバ)
- 架稟では一般的な家畜。爾江陀産のものは不細工らしい
歴史
- 2019年8月12日、掲載開始。