Neetel Inside 文芸新都
表紙

世界一巨大なチンコを持つ人の生涯
就職直後編

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ドアを開けると、山岡が座っていた。山岡と俺以外、誰も居ない個室だった。パイプイスが並べられていて、山岡が端に座っている部屋だった。
山岡は俺に「詰めて座れだってさ。」と言ったので、俺は山岡の横に座った。山岡は、「僕は山岡龍司、君は?」と言って来た。当たり前だが、口が臭かった。
俺は、「僕は金内大、君同じ18だよ。」と言い、軽く握手した。手が臭かった。あまり記憶には残ってないが、ここに来た理由を話し合っていた。
山岡は、「うんこが食べたいから。」俺は、「ちんこがデカいから。」お互い単純な理由だった。

このときに山岡からいろんなことを聞いた。実家は有名な陶芸家の家であるということ。小さい頃に母親が過労死し、父親から厳しい教育を受けていたこと。
初めてのセックスは高校生の時に、侍女とだったということ。その時に挿れる穴がわからずに、間違えて尻の穴を掘ってしまったこと。
その時に侍女のうんこを舐め、スカトロに目覚めてしまったということ。ある日いつものようにセックスをしていると、父親に見つかり、追い出されて職を求めてここへやってきたということ。彼の人生の全てを聞いた。
俺も全てを話した。幼稚園から陰茎が巨大だったこと。それが原因で女の子を泣かせてしまったこと。小学校後半はいじめられていたこと。先生との初体験、そして死、引き篭もり。そしてここへ来たということ。全てを話した。

30分程度の語り合いだったと思う。それまで、誰も入ってこなかった。ただ二人で笑いあって、話していただけだった。
俺と山岡は、すぐに気が合い、会話の途中から煩わしい敬語を止めて、まるで友達のように話していた。いや、そのときには既に友達となっていた。

一通り語り合いが終わり、待ちくたびれかけていた頃に、俺達の入ってきたドアが開いた。
そこから、面接官であった男、チョコレート三津と、受付譲が入ってきた。チョコレート三津が、頬を膨らましながら大きく息を吹いていたのを覚えている。
そして、チョコレート三津が咳払いをした後に言った。「これで全部だ。つまり、お前ら二人だけ、合格だ。今日からこの社で働いてもらうから、宜しく頼むぞ。」と言った。そっけない挨拶だった。
そしてチョコレート三津が、「じゃあ、後はお前がやれ。またな。」と言い、受付譲の肩を一度叩き、去っていった。あまりのそっけなさに俺と山岡は、軽くチョコレート三津に会釈をするだけで終わってしまった。

     

チョコレート三津が去っていった後、受付譲が俺と山岡に向かって深くおじぎをした。俺と山岡は、座りながら軽くおじぎをした。

受付譲は、「私はこの会社での人事、及び女優の担当をしております、秋目ララ(あきめ らら)です。宜しくお願いします。」といい、手を伸ばしてきた。
俺は、「金打です。」といい、握手をした。ひんやりとした、機械のような手だった。そう思いながら俺は一歩遅れて、「宜しくお願いします。」と言った。
秋目さんが手を離した時に、何か寂しい気持ちがしたのを覚えているが、理由は今も解らない。秋目さんは、謎の多い人だった。

その後秋目さんは、山岡に手を向けて、俺のときと全く同じ台詞を言った。そして、山岡も彼の臭い手で握り返し、俺と似たような台詞を言った。
そして、秋目さんは不似合いなメガネを外し、括っていた髪を下ろして言った。「ついてきてください。今から寮に案内します。」そう言って振り返った。
腰まである秋目さんの黒髪は、動くたびにさらりと揺れ、まるで水のようだった。俺と山岡は、少し赤くなった顔を見合わせて、秋目さんの後を追った。

     

俺と山岡と秋目さんは、エレベーターに乗り込んだ。手際よく秋目さんは一階のボタンを押し、扉を閉めた。
人生二度目のエレベーターは、全くの無言であった。そして、その後、1階へ辿り着いた途端に、秋目さんは開いたばかりのドアをくぐりぬけ、一直線にビルの入り口へと歩いていった。
山岡は「速いよあの人・・・。」と愚痴をこぼしていたが、俺も同感だった。引き篭もり生活から抜け出したばかりなので、ついて行くので精一杯だった。

秋目さんについて行き数分後、バス乗り場に辿り着いた。そして秋目さんは、「あと15分です。」と言った。俺と山岡は、「はい。」と言った。
皆が黙りこくっていたので、俺が秋目さんに、「あのー、秋目さん?でしたっけ?今から僕達何処へ行くんですか?」と尋ねた。秋目さんはサラっと、「寮です。」とだけ言った。
山岡は、「それって遠いんですか?」と尋ねると、秋目さんは、「バスで20分です。」と言った。そっけない返事で、会話もまともに続かなかった。

しばらくした後、山岡が「秋目さんも寮に住んでいるんですか?」と聞いた。秋目さんは、「そうです。」とだけ言った。
山岡は、会話を終わらせまいと、「どれくらい長い間ですか?」と言うと、秋目さんは、彼女の薄い唇を開け、「2年です。」とだけ言った。
山岡の努力を泡とさせないためにも、俺は、「他にどれくらいの人が住んでるんですか?」と聞くと、「知りません。」と言った。
「だいたいでいいですから。」と言うと、秋目さんは、「十人くらいじゃないですか。」と言った。彼女の綺麗に並んだ歯が、少しだけ見えた。

     

幼稚園児同士のキャッチボールのような会話の終わりを告げたのは、バスであった。ついにバスが来たのだ。
俺は、バスが来ればこの静寂も何とかなると、何の根拠も無しに考えていた。後で聞いた話だが、山岡もそう考えていたらしい。
が、それは間違いであった。バスの乗客は、運転手と、俺達三人の、計四人であった。しかも、到着するまでの間。

俺と山岡は、奥の二人ずつ座れる座席の所に、一人で二人分の席をとるようにして座った。そのすぐ後ろに、秋目さんが座った。
山岡が、「秋目さん、寮ってどのへんにあるんですか?」と聞いた。もちろん、静寂をかき消すために。
秋目さんは、「20kmくらい先ですね。」と言った、ここぞとばかりに俺は、「僕のチンコ一万本分くらいですね、ハハハ。」と言うと、山岡が思いっきり噴き出した。そして、大声で笑っていた。
そして俺は、秋目さんの表情を見ようと後ろを振り向くと、今までに感じたことの無い冷たい視線を感じた。ドライアイスで出来た茨のような、異常に冷たく、鋭い視線であった。
それを知らずに、山岡は三分くらいは笑っていた。ツボに入ったらしい。笑いすぎで声が出ていなかった。それを横目に、俺は寝ることにした。
初めての都会ということもあって、少し疲れていたからだ。少し薄く目を開けると、笑い終わった山岡が涎を垂らしながら俺の方を唖然として見つめていた。
まるで、助けを求める小動物のような、そんな印象を与える顔だった。



     

起きたのだが、目を開けるのは嫌だった。何故なら、俺はバスが停車しているのを知っていたからだ。
バスの音、揺れは止み、音は落ち葉の落ちる音のみとなっていた。イスの感触で、まだバスにいるのだと、判断することができた。
とりあえず、寝ているふりをしようと思ったが、やはり起こされるだろうと思い、薄っすらと目を開けた。

薄っすらと目を開けると、そこには一人の手を胸元に添えてソワソワとしているスーツ姿の人物が居た。

そう、運転手である。おそらく終点に辿り着いたのに、起きない俺と山岡を起こすかどうか迷っていたのだろう。
俺はゆっくりと目を開けると、運転手と目が合った。初老の運転手は、満面の笑みを浮かべ、後はまかせたと言わんばかりに運転席へと戻った。

ゆっくりと立ち上がると、向かいの座席で涎を垂らして寝ている山岡が居た。馬鹿面と言うか、世界で一番平和な場所にあるべき顔だろうと思った。
そして、横を見ると、頭を窓に傾かせ眠っている女性が居た。秋目さんだった。

秋目さんの長く黒い髪が、いつの間にか出てきていた夕日に照らされてオレンジ色に染まっていた。彼女の白い肌も、オレンジ色に染まっていた。
この時、俺は、彼女が美人であるということに気がついた。背の低い鼻に、薄い唇、薄っすらと膨らんだ頬、折れそうな首、大きいとは言えないが、程よく膨らんだ胸。
この世に平和があるとするならば、秋目さんが作るんだろうと、そう思った。

そして俺は、秋目さんの肩を、ニ回か三回指で叩き、目を覚まさせた。秋目さんが、「キャッ」と声を出した時、俺は秋目さんに惚れてしまっていた。

     

秋目さんが目を覚まし、「おはようございます。」と言った。「今は夕方ですよ。」というと、秋目さんは、「あっ・・・」と言って、黙ってしまった。その可愛さにあやうく勃起しそうになったが、気合で乗り越えることが出来た。
が、次に秋目さんが、「あの、ありがとうございました。」と言って頭を下げた時、俺は勃起してしまった。俺は、「スイマセン、朝勃ちが!」と情けないセリフを吐き、バスの外へと走り出した。
バスから出ると、田舎道だった。木々しか無い道だった。俺は林へ飛び込み、ベルトを外し、ズボンのホックを外し、チャックとトランクスを降ろし、陰茎を露出させた。
2m50cmの大きさともなると、もはやズボンの裾から出すとかどうとか以前の問題だった。これが、人生初の野外露出となった。

とりあえず切り株に座り、縮むのを待った。風が吹くにつれ、俺の陰茎も寒さにやられ、元のサイズの80cmへと縮小してしまった。縮小が終わり、トランクスを上げ、ズボンを履きなおして、バスへと向かった。
バスに戻ると、運転手が、「兄ちゃん、凄いのもってるな。」と言った。俺は、まさかとは思ったが、「え?」としか声が出なかった。
「兄ちゃん、気をつけな、バスから丸みえだったから。」 俺は振り返り、林の中を見ると、明らかに俺の座った切り株が、見えていた。
俺は、ひんやりとした汗をかきながら席に戻った。林のほうを見ると、やはり切り株は、丸見えだった。

「今後は、もうすこし考えて行動してください。」秋目さんがそう言ったとき、俺は死を考えた。そして、その感情を込めて、山岡の肩を強めに叩き、無理やり起こした。
「山岡!着いたぞ!起きろ!」と言って、無理やり山岡を起こした。山岡はが目を覚ました時、俺に向けられていた冷たい視線が山岡に移動したためか、山岡は軍の兵隊のような速さで立ち上がり、「スイマセン秋目さん!」と叫んだ。

「いきましょう。ここから歩いて3分程度です。」機械的な声だった。しかし、惚れてみると、また少し違った声に聞こえた。

       

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