Neetel Inside ニートノベル
表紙

人の生き方
まとめて読む

見開き   最大化      

――2011年3月28日
ガタンゴトン……ガタンゴトン……ガタンゴトン……
普段は気持ち良く感じるこの一定のリズムは今日のおれにとっては不快でしかなかった。
「うっ……yばい……」
ゆっさ、ゆっさ、ゆっさああああああああああ!!!
なんなの!? このリズム喧嘩売ってんの!!??
吐くよ!? 吐いちゃうよ!!??
などと脳内で電車と闘いながら過ごしていたけど流石に限界なので安静にしておこう……
熱39,1度、めまい、吐き気……最悪な体調だ……
やはり外出は控えた方が良かっただろうか?
でも薬もない状態で回復するとも限らない。
そんな状態で寝ていられなかった。
今にして思えば寝ていればよかったけど熱で思考がやられたのだろう、あぁ熱で。
そんな自己嫌悪で思考ループしているうちに病院に着いていた、助かった。

――○○大学病院
病院に入ると人が溢れていた。
老男女と言ったところか、見事に老人ばかりだった。
老いると免疫力が落ちるから仕方ないけどこいつら井戸端会議しにきてるんだろうなぁ……
早く薬貰って帰って寝たいのに……まぁさっさと受付を済ませよう……
「すみません、初めて受診するのですが……」
「こんにちは、ではこちらの用紙に必要事項を書いてくださいね」
「はい、わかりました」
森山達也(もりやまたつや)、19歳、熱39,1度、めまい、吐き気……etc
早く診察してほしい、眩暈が酷い。
ついにおれの番がきて診察室に入り数分後、意識が朦朧となった。
それと同時に医者や看護婦が慌ただしくn……

「あ……」
見慣れない天井だ。
学校の天井のような小さな穴が空いている白い天井……
いやこれは病院か。
いつの間にか病院のベットで寝ていたようだった。
おれはどうしてこんな所で寝ていたんだっけ……?
「おはようございます。起きたんですね、体調はどうですか?」
看護婦さんが話しかけてきた。
けどすぐに対応することができない……
「おはようございます」
とりあえず挨拶だけ返しておく。
「まだ体調が優れないですか? 先生を呼んできますのでゆっくりしていてくださいね」
「はい、わかりました」
今は体調が悪いというわけではないけど何だろうおかしな感じだ……
しばらく窓の外を眺めていた。
「おはようございます、中村という君の担当医の者だけど大丈夫かい?」
中年の優しそうな男性だ、そういえばこの人が診察したんだっけ……
「君の身体についてご家族の人と一緒にご説明したいんだけど連絡取れるかな?」
「すみませんが両親は亡くなっているんです、兄弟も居ないので……」
「あぁ…そうだったのかい、それは悪かったね……」
本当は両親も兄弟もいる、だけど連絡を取りたくはなかった。
昔おれは色々あって生きることを諦めた。
それは両親が原因でもあったけどあいつらは何も助けてはくれなかった。
毎日ただ死にたいと嘆き……
涙を流して……
疲れ果てて……
寝るだけの生活……
そんな生活を過ごしていたけど高校を卒業してなんとか働きだし一人暮らしを始めた。
以来、家族とはもう連絡をとっていない。
「あ、いえ……もうだいぶ前の事なので大丈夫です」
平気で嘘をつく、もう慣れたものだけど我ながら心底思うクズっぷりだ。
「……そうか、ならこれから本当は君には言うつもりはなかったことまで話すけどいいかい?」
「はい、どうぞ」

――それから一時間ほど医者からおれの身体について話があった。
「じゃあ話しはこれで一旦終わるけど安静に寝ていてね、何かあったら呼んで下さいね」
難しいことばかりでよくわからなかったが命に関わる状態で今にも危ういらしい。
そして無期限で入院が決定した。
ドラマなんかでは患者に隠したりするものだけど普通に言われた、こんなもんか。
最近は生きることに楽しみを見出して……
もう少し頑張ってみようかなって……
思っていた矢先にこれだよ……
はは、笑ってしまうぜ……
本当は笑い方もよくわからなかったりするんだけど……
昔あれほど死にたいと口癖のように思い、呟いてきたけど
実際死ぬことになると複雑なものだった。
でも楽に死ねるならいいのかなぁ……
しばらくぼーっとしていたけど気分転換に散歩でもしよう。
こういう時は何か行動するのが一番良いんだ。
そう思うとおれはベットから飛び降り部屋を出た。

       

表紙

kesuke 先生に励ましのお便りを送ろう!!

〒みんなの感想を読む

Tweet

Neetsha