文芸作家カタログ
まとめて読む
アルファベット5段階評価
A:高い ~ E:低い
※同じアルファベット評価でも当然幅があります。ご了承を。
<PA>
作品:マックで!
文章力:C
ストーリー:C
キャラクター:B
勢い:D
雰囲気:B
オリジナリティ:C
完結経験:不明
女の子4人がマックで駄弁る4コママンガチックな作品。
……と書いてしまうと読まず嫌いする人もいるかもしれないが、リズム良く読まされるのは4コマテイストなノリとキャラクターの魅力があってのことだろう。会話と地の文を改行で空ける読みやすさへの配慮もうかがえる。短い文章で時間の経過を表現するところは秀逸だと思った。
作者自身が挿絵を描いていて、普段小説を読まない人にも敷居が低い。ただ話の起伏が見られないので、その部分では選り好みされるかもしれない。
<コガッツオ>
作品:ディラック量子数学式占い師猫田次郎
文章力:D
ストーリー:C
キャラクター:C
勢い:D
雰囲気:B
オリジナリティ:B
完結経験:不明
占い師を中心に話が広がっていく……という内容。
一人称を通して占い師とのやりとりが面白おかしく書かれていて読みやすい。が、少々文章作法が行き届いていないところがあり、その部分で読みにくいと感じてしまうことがある。ちょっともったいない(これで文章力をDとしている)。
途中でシーンやキャラクターを切り替えて時間の交錯などの展開もあるようだが、さすがに急すぎてわかりにくい。一人称での説明があってもいいように思った。
文章作法をもう少し意識すれば、間違いない読みやすくなっておもしろくなる。期待しながら追いかけていきたい。
<近松九九>
作品:ペパーミント・ストレンジ・ストーリー
文章力:C
ストーリー:B
キャラクター:B
勢い:D
雰囲気:A
オリジナリティ:B
完結経験:不明
女の子4人が旅(イメージ的にはおでかけ)するお話。
地の文も会話もすごく詩的。読んでいて雲の上をふわふわと歩いている気分になった。特徴的な空気感を出す文章なので、人によって好き嫌いが分かれるかもしれない
コメントにもあったように、キャラクターな名前がとても個性的。ちょっと個性的すぎて読んでて「いつ電車に乗ったっけ?」なんて思ってしまうぐらい。もちろん良い意味で。
ややコメントしづらい作品かもしれないが、読者数は多いと思う。
<ひょうたん>
作品:塔から脱出するゲーム など
文章力:C
ストーリー:B
キャラクター:B
勢い:C
雰囲気:B
オリジナリティ:A
完結経験:あり
エロ作家その1
中編クラスの作品を多数完結させている作家。作品を重ねるごとにコメント数を増やせているのは、コンスタントな更新と改行などの読みやすさへの配慮やキャラクターの魅力によるものだと思われる。
特筆すべきは非常にユニークなアイディア。女性のブログ形式や劇中劇などかなり特徴的。
しかし読みやすさを重視しすぎているのか、作中で訴えかけるもの、考えさせられることが伝わってこなくて、悪く言えばうすっぺらい印象がある。多少読みにくくてもテーマが伝わってくるような内容を読んでみたい。
それとエロ以外のジャンルに一貫性がなく、作者像が見えてこない。
<ところてん>
作品:この身体はキモチイイ……!
文章力:B
ストーリー:B
キャラクター:B
勢い:C
雰囲気:B
オリジナリティ:B
完結経験:不明
エロ作家その2
百合+調教+政治。この3つが作品の内容……と言うと意味が伝わってこないが、ずばりそのまま。なかなかエロティックな百合のシーンもあれば、政治的策略(学生の生徒会ではあるが)もあり、それぞれがしっかりと構成されているのでなんとも贅沢な作品に感じられる。
キャラクターが出揃ってきたあたりからが面白いが、序盤は文章に安定感が見られず、読者を遠ざける原因になるのかもしれない。
あと作者に問いつめたい。いくら政治とはいえ、なぜあんなキャラクター名なのかと。
<橘圭郎>
作品:安田清美の優雅でひそやかな生活 など
文章力:A
ストーリー:B
キャラクター:B
勢い:B
雰囲気:A
オリジナリティ:B
完結経験:あり
人妻系ライトノベルテイスト。
やはり……と言ってしまうと固定観念で話してしまうように聞こえてしまうかもしれないが、文章の読みやすさ、雰囲気、流れる空気感。キャラクターの立ち具合や個性、どれもすばらしい。一定の更新速度でクオリティを保てるのは言葉を失う。
前作の夜伽話と比べるとかなりライトノベルぽく書かれているように感じるが、これは意図したものなのだろうか。かなり感じが変わっているので、そのギャップに驚いた読者もいるかもしれない。
アルファベット5段階評価
A:高い ~ E:低い
※同じアルファベット評価でも当然幅があります。ご了承を。
今さらだけどこんな感じで評価つけてます
文章力:
→読みやすい、世界観に入りやすい、豊かな表現な文章の書き方など。
文章作法は少し加味している。
ストーリー:
→筋が通っているかどうか。展開に無理がないか、起承転結はあるかどうか、など。
奇抜な内容やアイディアなどは下のオリジナリティで評価している
キャラクター:
→立ち振る舞いの自然さや個性、魅力など。
ありがちなキャラ設定を評価しない、なんてバカげたことはしない。
その作品の表舞台に立ち、裏方にもなれるようなキャラクターかどうかを評価する
勢い:
→更新後につくコメント数や、コメントがつく頻度。更新速度も少し評価対象。
総コメント数、マイリスや編集部での話題は対象外
……としたいところだが、ネームバリューとかはどうしても意識してしまう。
雰囲気:
→作品の空気感。読んでいてその世界に溶け込めるかどうか。
読者にその作品の世界観を味合わせることができるかどうか。
……この項目は説明にしくい。
オリジナリティ:
→商業などではあまり見ない、新都社並びにネット小説ならでは、という点の有無。
また、作品外の企画めいたアイディア等もあれば加味する。
あと、紹介する作家の優先順位は、
1.新人作家(連載を初めて間もない人。別名義でも俺が気づかなかればココ)
2.並~中堅作家(作家歴が長い人。完結作がある人。定期的に更新している人など)
3.有名作家、人気作家(普段小説を読まないマンガ読者にも知られている人)
こんな感じ。このカタログを機に、新人作家に注目してくれると嬉しい。
作品を読んで評価してちょっとしたレビューを書くというのは思っていた以上に大変で、どうしても書きやすい作家、普段読んでいる作家の順番になりやすい。そこは許してほしい。
鈍足になっても、多くの作家を載せていきたい。
<TAK☆ITA>
作品:折草野球道
文章力:D
ストーリー:C
キャラクター:D
勢い:D
雰囲気:C
オリジナリティ:C
完結経験:不明
学園モノで野球部のお話……で思いつくイメージそのまま。
良く言えばライトノベルだが、言ってしまうと文章がやや難あり。作者はあまり本を読まない人なのかもしれない。
なんでもいいので文庫本(ライトノベルならすぐ読める)を1冊読んで、段落のこと、三点リーダのこと、その他文章作法や作品の雰囲気作り、キャラクターの魅力の出し方とかがわかればかなり変わってくると思う。
文章をブロック単位に分けたりするのは場面がわかりやすくて良い工夫。キャラクターはこれからの動き次第か。
<パ>
作品:時をかける処女
文章力:C
ストーリー:C
キャラクター:C
勢い:C
雰囲気:C
オリジナリティ:C
完結経験:不明
ジャンルがSFとのことなので、登場人物の女性がタイムリープするんだろうか。タイトル的に。
まだ始まったばかりで、登場人物の紹介や周囲の環境などが一人称で語られ、これから物語は動いていくんだろうと思われる。
少し一人称が説明調で冗長に語りすぎている感があり、やや読み辛く感じた。これで読者に引き返されるのも勿体無いので、クドクドと説明するよりも行動で示すようにすればキャラクターの動きも見えていいんじゃないだろうか。
しかし一人称視点での描写はうまい。文章力はまだまだ見えていないところもありそうなので、今後に期待したい。
<池戸葉若>
作品:フルーツ・イン・ザ・ルーム
文章力:B
ストーリー:B
キャラクター:B
勢い:C
雰囲気:B
オリジナリティ:C
完結経験:あり
もっと評価されるべき、と勝手に思っている作家の1人。
キャラクターは奇抜さはないがしっかりと創られていて、ちゃんと個性がある。物語も丁寧に作りこまれている。文章は上質、まるで絹を撫でているような感覚である。
あまり話題にならないのは、全体的に武器となるような持ち味がないところだろうか。この作者だからこそ楽しめるもの、それがないように感じる。極端に言えば第1話の始まりの数行、そこのインパクトの有無でかなり読者される。なにか一工夫がほしい。
<ピヨヒコ>
作品:稲沢アイラブユー
文章力:A
ストーリー:B
キャラクター:B
勢い:C
雰囲気:A
オリジナリティ:B
完結経験:あり
「ネジレとヒズミ」は、ぶち切れおじいちゃんに女子高生が色んな事される青春物、というあらすじ。だがそんな軽い感じじゃなかった。
読み始めて、いつの間にかその世界観に浸り、じわじわと染みこんできた。登場人物を突き落とし、救いのない展開を進め、読者をどん底の気分にさせてしまう技量は圧巻。読了後言いようのない鬱々感がやって来やがりました。
ただところどころ長い地の文が多く、画面上で読むのはややつらく感じることがあった。進行に問題がなければ、途中1つ改行があるだけで読みやすくなると思う。
<猫瀬>
作品:無愛想な結婚 など
文章力:B
ストーリー:B
キャラクター:C
勢い:C
雰囲気:B
オリジナリティ:B
完結経験:あり
「高校生6人を密室に閉じ込めてみた」で堂々のデビューを果たした高校生作家(2011年現在)。
「高校生~」は設定にやや既視感のある作品ではあったが、「無愛想な結婚」では作品の軸となるシステムの斬新さには脱帽。文章や話しの造りは丁寧で非常に読みやすい。綺麗な水を飲み、それが身体の隅々まで行き届くようだ。
ただキャラクター、特に会話に現実味が感じにくく、脳内で声をつけたときに棒読みで再生されるのは俺だけだろうか。かなり感覚的なことを言ってしまうと、キャラクターの息づかいや意志が見えにくい。
地の文と会話の温度差がないからか……推測でものを言ってる、申し訳ない。
しかし文芸作家の中でもトップクラスの成長株ではないだろうか。期待したい。
<青谷ハスカ>
作品:不幸。 など
文章力:B
ストーリー:A
キャラクター:B
勢い:B
雰囲気:B
オリジナリティ:A
完結経験:不明
作者の感性の高さがうかがえるようなアイディアやストーリーは間違いなくトップクラスだろう。文章力は騒がれるほど高いとは思わないが、ソツがなく非常に読みやすい。その作品に応じた雰囲気作りもうまく、小説を初めて読む人やそこそこ読んでいる人でも楽しめるだろう。
原作としてマンガ作家と合作する(している)ことも多く、活動は幅広い。ある意味、理想的な活動をしているとも思える。
が、どうしても「また投げるのでは?」という意識がちらついてしまう。読者によっては「完結したら読む」と思っている人もいるかもしれない。
作品外で読者の信用を落としてしまうのは非常に勿体無い。1作品でもいい、数話程度の短編でもいい、1作品でも完結すればもっと評価されるはずだ。