Neetel Inside ニートノベル
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彼と彼女の黒歴史
始まりはHRにて

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    始まりはHRにて



 桜はすでにその美しい花を散らせている。
 ……なぜそんなに急ぐ? 俺の瞳は、学ランよりも深い藍色の問いを桜の巨木にする。
「……そうか、汝の持つ力、『秘なる刹那の開花』をつかうには、それ相応のエネルギーが必要、というわけか」
 桜は俺の心に、そう訴えてきた。俺の心は全てのものの意思、波導、その他諸々を感じることが可能なのだ。一般的な男子学生、いや、人間ならばできるまい。
 本来ならば、右手に住まう千里眼を持ちたる龍によってもできるのだが、あいにく「奴」は夜しか起きていないのだ。月光を命の糧とするのだから、仕方ない。
「ねえ、あいつ、何……? マジキモくね?」
「ああ、あれって厨二病とかってやつだろ。近寄らないようにしようぜ」
 ――愚劣な人間どもの声が、俺の鼓膜を震わせる。
 奴らはぜんぜん気付いていない。この国、世界を動かす闇の政府「ダーク・オブ・オゥガニゼイション」の存在を……
「そんなのいないわよ……ったく、初日くらいちゃんとしなさいよ。筆箱忘れてるし」
 俺の横で幼馴染――中井麻奈の声がする。
 なんということだ……この俺を叱るとは。神に対しての冒涜よりも愚かだ。
「あー、はいはい。今日も楽しそうですね、妄想話」
 黙れ! そうやって俺を疑うと、おまえも闇の政府「ダーク・オブ・オゥガニゼイション」に――
「なにそれ、国連にそんなのあったっけ? ついでに言っておくけど、政府は『gavement』。『organisation』は機関だから」
 ……そ、そうだったか。ハハハハハ……また『奴ら』に騙されたよ、情報屋だったら正確な情報がほしいもんだな。
「はぁ……今日も本調子ね」      
   

       

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