Neetel Inside 文芸新都
表紙

自らの性癖を暴露するアンソロジー
キノコ名だけに/岩倉

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 私の職業は生物学の教師だ。年齢は今年で27歳。
 故あってこの秋から今のド田舎高校へ赴任してきたのだが、毎日非常に楽しい。
 自然は豊かで空気は良いし村人も皆気さくだ。
 一クラスの生徒数こそ少ないが彼らは皆穢れなくのびのびとしている。
 彼らの顔を見ていると、なんだかこっちまで若さを貰える気がする。
 何より私の仕事は昨今充実で満開。忙しいといってもいいくらいだ。
 つまり言わずもがな私は前の学校で干されていたのだな。多分そうだろう。
 あまりパッとしないキャラだったしな。
 生物の課題はもう一人の教師が作っていた。テスト問題の出題権だってなかった。
 しかしここでは違う。
 すべて私の力で生徒たちを導く。
 全ての課題と問題は私が与え、その答えを私が生徒たちと考えていく。
 いや、なんとも幸せ。
 ここにいれば教師が私にとって天職だと思えるのだ。

 そういえば、今回の提出課題はキノコにしていたな。

「岩倉先生、しめじでやってきました」
「おおそうか。喜多は亜次良と組んでたな。どれ、見せてみろ」
「はい。でも亜次良君全然してくれなかった。あそこ、あんなに生えてるのに」
「まあな。味がいいからきっとモテるんだよあいつ。他にも……」
「やだ! 他にもなんて絶対許さない。先生のバカ」
「おいおい困ったな。俺はいつも喜多の見方だぞ」
「本当?」
「ああ。だから寂しい時はいつでも俺の床にコイ」
「先生大好き!」 
 喜多、さっきの怒ったプンスカ顔、かわいいぞ。

「岩倉先生、私、しいたけでした」
「ふむ杉田、ご苦労。硬平とは上手くできたか」
「……」
「どうした。何かあったか」
「やったけど、できなかった」
「うん、あいつはありふれた形だけど納得させるのは難しいだろう」
「はい」
「まあ、そんな顔せず次もがんばれ。白いのが出たら合格だ」
「……はい」
 杉田、なんだったら俺と一緒に今晩ヤルか。

「遅くなりました岩倉先生。私、えのきでした」
「一之瀬、おまえが大介とやってくれて本当に助かったぞ。ありがとな」
「先生、あたしの、いっぱい裂けました」
「――! 本当か? あの細さで」
「はい。あたし、もうあんなのイヤ。あんなに沢山……、大介君怖い」
「そっか……。けど、慣れるしかないぞ」
 一ノ瀬、何も言わず今晩俺ん床コイ。 

「あれ、竹林、おまえどうした。何もやってこなかったのか」
「もう男子いないです」
「そうか、うちのクラスは女子が一人多かったな。じゃあ今ここで先生とするか」
「え、あ、……はい」
「ではまず、最初に剥いてくれ」
 ビクつきながら手を伸ばす竹林は初々しくてよい。
「下まで、下まで全部だぞ。そしたら中に入れる」
「――ああ! 先生、下、すご……ふ、と」
「当たり前だ。先生のはたけのこだぞ」
「キノコじゃ…な、い」
 木の子だからいいんだ別に。そんなことより続きだ続き。
 ゆっくり動かすぞ……。
 どうだいいか、いいだろう。ふふふふふ、ははははは。

 教師とは実に良い職業だ。
 こうして毎日可愛い生徒たちで遊べるんだからな。
 
 あくまで頭の中でだけど。
 


 スイマセンでした! 
 

       

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