かつて様々な神族が覇を争った、古の時代・・・
天に君臨する神々の中で、一際力を持った神がいた・・・
その力、その威光により崇められ続けたその神は、
すっかり有頂天になってしまった。
腑抜けた神に、皆業を煮やしながらも、居なくなっては困るので、
その信仰は衰えず、増長していくのであった。
その神の名は・・・「ラー」と言った。
ある時、ラーは下界の統治を臣下に任せ、宇宙を遊覧した。
臣下は呆れつつも、機嫌を損ねては困るので、慎ましく働いた。
だが、これが悲劇の始まりであった。
何とラーは、宇宙に存在する黒い空間に飲み込まれてしまった。
ラーはこの空間を承知していたが、遭遇する事が極めて稀であり、
自身の力を過信していた。しかし、その空間は太陽の光ですら飲み込む、
ラーの力を超えた存在だったのだ・・・。
かくして、ラーが戻ってくることはなかった。
臣下の神々は悲しみに暮れたが、他の神族との戦いや下界の統治など、
立ち止まる暇はなかった。やがて、後続の神がラーの地位に収まり、
ラーは神々の中で伝説となった・・・。