Neetel Inside 文芸新都
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Cleaner
第1話

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『殺し屋』。またの名を『掃除屋』。それは、私が生きる世界で最も効率の良い生き方。
 仕事の内容はシンプルで、覚悟さえあればどんな人にも出来る事。
 その名の通り。『殺す』事だ。
 周に一度送られてくる依頼に記載された人物を殺す。ただそれだけの仕事。しかしながら、報酬は莫大で、時には一軒家を建てられる程の報酬を貰える依頼もあったりする。
 そういった依頼は大抵危険な依頼だ。この間も高い報酬の依頼を受けたが、その時は殺す相手がヤクザの組長だった。
 いつもは後ろから首筋を刃物で切断なんて事で終わるが、その依頼では激しい銃撃戦になった程。結果を言えば何とか遂行できたのだが。
 大抵の場合ターゲットは殺す事なんて訳ない『表』の世界の住人達だが、稀に凶器を所持した『裏』の住人の掃除の依頼が入る事もある。
 命なんかいくつあっても足りやしない、そんな危険な業界。それでも、私は『掃除屋』の仕事を辞めようとは思わない。
 だってそれが、私たち『掃除屋』の生き方だからだ。

     

 今日も仕事が入った。内容は大手会社の社長の暗殺。
 その会社を敵視している他の会社からの依頼だと予想される。大方、他社のトップを消す事により、自分の会社の利益を上げようと目論んでいるのだろうか。
 いつもの事だが、依頼主の考えは腐っている。理解するだけで反吐が出そうな程にだ。
 自分の都合上邪魔な存在だから、消してもらう。そんな考え方しかできないのだろうか。
 今回暗殺する社長にだって家族はいるだろう。ひょっとしたら孫だっているかもしれない。当然、殺されれば皆悲しむだろう。
 他人の人生と幸せを奪ってまで自分の利益を上げようだなんて、外道な事極まりない。
 私の両親も、そういった考えを持つ外道に殺された。理由は、邪魔だったから。ふざけるなだ。
 しかし、私たち掃除屋に拒否権は無い。与えられた依頼は、どんなに時間がかかっても必ず遂行しなければならない。しなければ、自分が消されるだけだ。
 殺す相手が可哀想だとか、そんな事は言っていられない。心を鬼にしてターゲットを消す。それしか方法が無いのだ。
 この世界では、それが全てなのだから。

       

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