Neetel Inside ニートノベル
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凛としてアナルファックピストルズ
ボーイズ・ビー・シドヴィシャス

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「世界で最初にエレキギターを発明したのは誰だと思う?」

答えは「分からない」

アコースティックギター自体はずっと前からあった。
しかしドラムやサックス、ベースなどに比べギターはあまりにも音が小さすぎた。
だからピックアップという…まあマイクだ、
マイクを取り付けてアンプに繋げて音を出したものだ。
これはいつ誰が思いついたかなんてのは記録に残っていない。
…と云われている。真実は分からない。


「では世界で最初にエレキギターを販売したのは誰か?」

ピックアップを搭載したギターを初めて販売したのは
1932年、アメリカのリッケンバッカー社。
1931年、ジョージ・ビーチャムらによって設立されたブランドだ。
…といってもこれはどちらかというとエレクトリック・ハワイアンギターだった。
『フライングパン』なんて呼ばれて、確かにフライパンに似ている。
今でいうエレキギターとはちょっと違うところだな。



「世界初のエレキ・アコースティックギター、Gibson ES-150」

これは現在のエレキギターのイメージにだいぶ近づいたものじゃないかな。
ギブソン社のESシリーズで「エレキギター」としては最初に認知されたギターは実はこれだ。中が空洞(ホロウ・ボディ)で、どっちかっつうとジャズとかに使われるイメージかな。



「そして、世界初のエレキ・ソリッドボディギターの製作者だが…」

知ってたかい?
世界初のエレキ・ソリッドボディギターは1947年アメリカ、ポール・ビグスビーという、
なんとオートバイマシンショップのクラフトマンだった男によって作られたんだぜ。
ビグスビーってのはほら、トレモロアーム・ユニットで有名な…



 ・ ・ ・ ・ ・



「へぇ…」


ベースを抱えた少女がこっちを見ないでため息をつく。


「まあ結局、翌1948年フェンダー社の「ブロード・キャスター」が市販され、これが世間で一番最初に大量生産されたエレキのソリッド・ギターということいなったんだけどね」

「うん」

「彼らの歴史があるから、今の僕らがあると思わないか。僕はそう思う、このエレキギターという無機質な死んだ木は、僕に弾かれ、僕の魂を表現するために生まれてきたんだよ」

「ねぇ…」

「なんだい?」


彼女はベーシスト。16歳。
演奏力:並み
容姿:黒髪パンク


「薀蓄(うんちく)ばかり垂れてないで、練習してよ」


少年はギタリスト。17歳。
演奏力:素人
基本的に頭でっかち


「君、下手なんだから」


気だるそうに言ってくれる。


「シド・ヴィシャスはレコーディングに参加できないくらい下手だったんだよ、俺は彼をリスペクトしてるからな」

「シド・ビシャスはベーシストだし、セックスピストルズだって他のメンバーはまともに音楽やってたわ」

「・・・マジ?」

「馬鹿」


呆れた彼女は煙草に火を点ける。
ピースライトなんて渋い煙草吸いやがる。


「ねぇ…」

「なに」


少々トゲのある声で応える。


「いつになったらメンバー集まるの」


「・・・・・・」


僕たちはアナルファックピストルズ。
世界に旅立つ、パンクバンド。

僕たちは。

アナルファックピストルズ。

凛と咲いて。



       

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