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表紙

オタクな俺とお嬢様
1

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オタクな俺とお嬢様 

1

突然だが、皆はご存知だろうかオタクを・・・。まぁ、知ってますよね。俺はオタクと呼ばれています。
呼ばれているというのは、簡単に言うと自分がオタクという自覚がないんですね。
オタク、オタクと言われると中学の頃から、俺は「あ、そうですね。」とか「オタクですよー」なんて、適当にあしらっていました。
なので、はれて俺は自分がオタクである。と、認めようと思ったけどこれって認める必要あんのかってことで保留中。
さて、長話もそうそうに俺は今日から通うこの学園で・・・まぁ、特に何もなしに、ちょっとドキドキする高校生活が始まる。

俺は今自分の部屋というか布団に寝包まっている。今は午前七時をさしている。起きなければ・・・、そう思った俺は二度寝を開始した。
ケータイのアラームの音で目が覚める。午前七時十五分。十五分間の二度寝だった。ちょっと眠気が覚めた俺は、洗面所にいき顔を洗い、歯を磨き、制服を着た。
俺は今日から高校生だ。東京の受験に頑張って勉強して受かった俺は、親の許可のもと、東京に上京し一人暮らしをはじめていた。
一人暮らしをはじめて、一週間と3日、そろそろ慣れてきた・・・。相変わらず料理はド下手だか、本を見ながら勉強して頑張っている。
味も今では少しだけましになった。
さて、俺は学校へ行く準備も終わり、電車の時間に余裕のある俺はPSPをしている。初音ミクだ。
俺は、巡音ルカが好きなのでルカをいつも使っている。PSPのもう一つのメモカには音楽だけ入れてあり、その半分がボカロとアニソンだ。
ゲームをして満足していた俺、気づくと時間が午前七時四十分をまわっていた。
完全に遅刻だ・・・。PSPの電源を切り、靴を履き、鍵をかけダッシュで駅に向かった。
入学式のそれも、登校初日に大遅刻は免れたいとダッシュで走った。予鈴とともに校門をくぐりぬけ、対区間に滑り込みセーフ、とまでは行かなかったものの
なんとか、入学式には間にあった。はー、よかったしかし暑い、暑すぎる。
走ってたためにものすごく暑い。校長の話はやたら無駄に長い。適当に聞き流そうと努力をしようとしても暑さがそれを上回ってしまう。
なので、俺は校長の話をまじめに聞いた。
話が終わる頃には、暑さもけしとびなぜだかすがすがしい気持ちになった。
今だけは、礼を言おう、校長。貴様の無駄に長い話に集中したら暑さが消し飛んだよ。足が痺れているが・・・。
発表された自分の教室へとむかった。無論、田舎から上京してきたばかりの俺には友達などいない。
だが、気にしない。当たり前だからだ。
俺の席は廊下から二列目五番目という微妙な席だった。
席に着き俺は、寝た・・・いや、寝ようとした。担任が教室に入ってきたのだ。なんて、タイミングが悪いんだ、クソが。
担任が自己紹介を提案してきやがった。まぁ、普通だな。一人ひとり順番に教卓に立ち自己紹介していくものだった。
正直俺には内容が一切入ってこなかった。名前すらも。寝る体制をとっていたために地味に眠い。
ん、何か言われているな。担任が俺に向かって何か言っている。
「おい、――――、前に来い」
は、前に来い?そうか、自己紹介か。
「は、はいっ!!」
あわててしまった俺は急に立ち裏声で軽く叫んでしまった。
なんか、死にたい。その、恥ずかしいとかじゃなく・・・なんか、死にたい。
自己紹介は、名前とよろしくとなんかそんな感じで終わらせた。よく、思い出せん。眠たかったから、適当に終わらせたような感じだ。
気づいたら、放課後になっていた。教室で一人、南にたかく上がった太陽を眺めていた。
今日は入学式だから、午前中だけのようだ。
すこし、時間が経ったところで鞄をもち、教室を後にした。
昇降口でふいに声をかけられた。
「おい、あんたも今帰り?」
振り向くと、えらいイケメンがいた。
「え、俺?」
急に声をかけられてちょいと動揺してしまった。
「そう、今帰りだろ?」
「あ、あーそうだよ」
「なんで、この時間まで残ってたんだ?」
「え、えーと・・・ボーッとしてたら時間が過ぎてた」
「ハハッ、面白いな」
「そうか?それより、お前はなんでこんな時間まで残ってたんだ?」
「俺は、トイレだ」
「トイレ?腹でも壊したか」
「いや、まぁそうだな」
「ふーん、まぁいいや俺帰るわ」
「あ、まってよ」
呼び止められてしまった。いったい、なんなんだ?
「なに?」
「あぁ、やっぱなんでもない」
「そうか、じゃぁな」
「おう、じゃな」
俺は、そのまま校門をでてまっすぐに帰宅した。
その後は、家でだらだらすごした。
ゲームやって飯食って、テレビ見て漫画読んでゲームやって。
俺って、すげー暇なんだな。
しかし、あのイケメンはいったいなんだったんだ?
まぁ、気にすることでもないな。


大好きなアニソンのアラームで起きる今日。登校二日目の朝だ。
時間は、七時ピッタリ。昨日の二度寝なども考慮し大好きなアニソンにアラームを変えすっきり目覚めるようにかえた。
案の定、成功だ。
昨日と違って今日は少し早めに出た。無論、軽くゲームもやった。
学校には余裕で間に合った。
教室について席についても話す相手など俺にはいないのだ。理由は、わかるな?
さて、孤独というのはこういうことか・・・。など、色々考えて気を紛らわせているとまた、後ろから声をかけられた。
「なぁ、お前どっから来たの?」
「え?」
後ろの席の桐谷、桐谷 悠(きりたに ゆう)とかいうやつだ。
「おれ?」
「そうだよ」
そうか、おれは自分がどっから来たのかもいってなかったけ。まぁ、いいか。
「田舎から」
「いなか?」
「そうだよ、この高校に入るためにはるばる遠い田舎から上京してきました」
「まじか、まさか一人暮らし?」
「そうだ」
「おぉ、すげー」
なにが凄いんだとツッコミたくなる衝動を抑えた。なぜならば、俺はツッコミ役にまわりたくないからだ。
些細な、ツッコミでもツッコんでしまったらツッコミ役に為らざるおえないからだ。
桐谷と話しているとまたも、後ろから声をかけられた。
俺って、後ろとられすぎじゃね?など、思って振り返ると昨日と同じイケメンが立っていた。
「あ、お前」
「やぁ、同じクラスだったんだね」
「同じクラス?桐谷知ってる?つーか、本当?」
俺はふいに桐谷に確認をしてしまった。
「なに、いってんだ。こいつ結構有名だぜ」
「有名?まだ、学校始まって二日だぜ?」
「噂ってのはな時間の問題じゃねぇ、」
「あそう」
俺は、桐谷が何か言おうとしているのを無理やりとめた。長くなりそうだからな。
「そういえば、名前きいてなかったよね?」
「名前、そうだったな。」
俺は、自己紹介で自分の名前を正確に答えた記憶がない。たぶん、正確に答えただろう・・・、たぶん。
「俺は、赤城 龍刀(あかぎ りゅうと)」
「そう、龍刀か。僕は、鈴木 洋一(すずき よういち)よろしくね」
爽やかな、それでいて人懐っこい笑顔で握手を求められた。
まぶしい、俺にはその笑顔がまぶしすぎた。
「あぁ、よろしく」
握手を交わして、すぐに担任が教室に入ってきた。
もしかしたら、担任のやつ計ってる?など思ってしまった自分が恥ずかしい。

昼休み、俺は桐谷と鈴木と一緒に昼食を食べていた。
「なぁ、一人暮らしなんだろ?」
「そうだけど」
「なぁ、部屋広い?」
「普通じゃね?」
俺の部屋は、普通のアパート一室だ。
1LDKだったと思う。
「普通ってどれくらい?」
今度は、鈴木だ。
「1LDKだったと思う。」
「1ldk!広っ」
「広いか?」
「一人には広いだろなぁ、鈴木」
「んー、そうだね」
またも、鈴木の野郎はまぶしすぎる笑顔を向けてきた。
くっ、こいつは強敵だ。などと心でバカに思っている俺ってバカ?
なんて、思ってしまう俺はバカだろう。
と、ひとり心の中でなんかしてると、鈴木が急に変なことを言い出しやがった。
「なぁ、ボカロしってる?」
ボカロだってーーー、心の中で叫んだ。
リアルの方では、パンがのどに詰まってしまいコーヒー牛乳をあわてて飲み干すという惨事だった。
「ボカロ?なにそれ?」
「しらないの、桐谷くん」
「あぁ、知らないな」
桐谷は、ボカロのことは知らないようだ。
しかし、俺は知っている。今日の朝もそのゲームをやっていたのだから。
「ねぇ、赤城くんはボカロ知ってる?」
俺に聞くか、鈴木!
俺は、脳内シュミレーションで試行錯誤を繰り返す。
だした、結果が
「一応、」
自分の中で、何かが崩れるようなそうでないような音が聞こえたような気がした。
「あ、知ってるんだ」
「まぁ、な」
「キャラわかる?」
「わかるよ」
「って、ちょい待て。俺のわからん話をするなよ」
桐谷が、会話をとめる。
「ごめんね、」
「まぁ、いいけどよ・・・それより・・・」
その後は、オタクみたいな会話はおきずに時は過ぎっていった。
鈴木のやつ、ボカロしってんだな。それに、かなり詳しそうだった。

     

あれから一週間がたった。
今では、普通に桐谷と鈴木と普通に遊ぶ友人となった。
しかし、鈴木と桐田に以外の友人は一切いない。
アドレス帳には高校の友達のアドレスはこの二人だけだ。
あとは、家族と中学の友達のみ。まぁ、まだ一週間だからな友達はまだまだ作れると俺は心の中で思い続けている。

今日は週明けの月曜、こういう日はものすごく憂鬱な気分になる。
今は、駅から校門に向かっている途中に馬鹿でかいっていったら変だが、あの、金持ちみたいなのがよく乗ってるようなながーい車が前をよぎっていった。
「あんなのが、本当にあるとは」
俺は、驚きのあまりすこし立ち止まってしまった。
まぁ、気にはしないが。
校門の前で桐谷がひとりだるそうに歩いてるのを発見した。
声でもかけてやるかと思った俺は、ふざけた勢いで気合を入れてやろうと桐谷の背中をめいいっぱい引っ叩いた。
「ようっ、きりた・・・うわっ」
力みすぎた。空ぶって転んでしまった。
周りの目が一斉に俺に注がれた。
死にたい。恥ずかしい。
「なに、やってんだ。リュウ」
「え、あ・・・なんでも」
恥ずかしさのあまり桐谷の目すら見れなかった。
俺って・・・・。
「まぁ、いいや。教室行こうぜ」
「だな、」
桐谷と一緒に教室に向かった。
ホームルームが終わると、俺は桐谷に今日の朝の車の話をした。
「なぁ、桐谷」
「なんだ?」
「あのー、なんかアニメとかでさあるじゃん、長い車?」
「はっ?なんのこと?」
「ほら、黒い長い車だよ」
「あぁ、あれか。 それがどした?」
「いや、朝に見たんだよ」
「おぉー、すげー」
「なんだよ、その反応」
「いや、俺だって見たことあるし」
「まじかよ!そうそう見れねーもんだろあんなの」
「やぁ、何の話をしてるの?」
後ろから、声をかけた。振り返ると鈴木が立っていた。
「あれだよ。金持ちがアニメとかなんかでよく乗ってる黒い長い車」
「あれね。それがどうかしたの?」
「あぁ、俺朝に見てさ」
「僕も見たことあるよ、最近だけど」
「本当かよ!?そう簡単に見れるもんなのかよ・・・」
「ちげーよばか」
「なんだよ桐谷」
「その車な、学校にいれば朝と放課後に必ず見れる」
「はぁ?なにいってんだよ、ありえねーだろ」
「あのな・・・」
予鈴がなった。1時間目は数学だ。予鈴とともに数学教師が入ってきた。
正直俺は、数学はちょい苦手だ。だが、寝るわけにもいかず淡々とノートに書き写していった。
昼休み、桐谷と鈴木と飯を食っていた。桐谷が朝の話の続きを話し出した。
「そうだ、朝の話だけどよ。リュウ」
「なに?」
「あの車だよ」
「あ、朝と放課後は絶対に見れるってやつだっけ?」
「そう、」
「でも、どうしてだよ?」
「その理由な、あいつなんだよ」
「あいつ?」
そう言われ指差した方向には、金髪で緑色の目をした美少女がいた。
「あいつ・・・だれ?」
しかし、俺はあの美少女をしらない。
「は!?知らないって、お前・・ほんと・・」
「な、なんだよ」
桐谷が頭を抑えて呆れた感じで俺を見てくる。イライラする。ぶっ飛ばしてやろうか。
「知らないんだ、リュウってあまり周りを見ないよね」
「はっ?鈴木までなに言ってんだよ」
「なにって、彼女凄く有名だよ」
「有名?」
「あのなー、お前自己紹介ちゃんと聞いてた?」
桐谷が聞いてくる。
自己紹介、それは睡魔との闘いだった。正直、まったく聞いてなかった。
「えーと、まったく聞いてなかったな;」
「はぁー、ならあいつのこと教えてやろうか?」
「なに、知り合いなの?」
「ちげーよ、ばか」
「じゃ、なんなんだよ」
「なんでもねーよ、つーか知りたくないの?」
「別に知りたくはねーよ」
「な、なんだと。おい、教えてやるよ」
「いや、いいって」
「うるせー、教えてやるよ」
「わ、わかったよ」
桐谷が軽くムキになってる。なんで、そんなに教えたがるのかわからん。
「あいつは、笹野 里沙(ささの りさ)。笹野って聞いたことあるだろ?」
「笹野?聞いたことねーよ、自己紹介聞いてねーから当たり前だろ」
「なっ、ありえねー。なぁ、鈴木」
「そうだね、僕でも知ってるのに」
「はっ?鈴木までなにいってんだ?」
桐谷と鈴木はなんだか呆れている。なぜだ?
「本当にしらねーの、リュウ」
「あたりまえだろ」
「はぁー、なら教えてやる。あいつは笹野グループのお嬢様だ」
「笹野グループ?」
「なにっ、笹野グループも知らないの!?」
「な、なんだよ。つーか、静かにしろ!目立ってる」
「あぁ、まさかな。笹野グループすら知らないってお前どうなってんだ」
「ど、どうって・・・・こう?」
俺は自分の顔を指差した。
「もぉ~、どうでもいいや」
「な、なんだよ、ったく」
「まぁ、でな。笹野グループっていうのは世界クラスの長大会社でな、まぁ超超大金持ちでな」
「で、それがどうした?」
「だから、つまりはあいつはその会社のお嬢様で超大金持ちなわけ」
「うんうん」
「わかった?」
「えーと、あいつが大会社のお嬢様で金持ちなんだろ」
「そう。で、お前が朝見た車の所有者ってことだよ」
「へー、ってなに!?」
「驚いたか?」
「いや、全然まったく」
「なっ、なっ、なんだよ!つまんねーな」
「はー、あいつがあのながーい車の所有者ね」
「だから、そういってんだろ」
「そう。あ、俺さいいこと思いついた」
「はっ!?」

放課後、俺は一人座りながら夕日を眺めていた。
しかし、一人といったが一人ではない。
笹野 里沙、あいつが残っている。
窓際のせきでひとり本を読んでいる。
俺は、席を立ち笹野の近くにいった。
「なぁ、」
笹野に声をかけた。
正直、しゃべりたいと思った。昼は誰ともしゃべらず本を読みながら昼食も食べずにずーと座っていた。
あとの、休み時間もそうだ。俺はこいつたぶん友達いないと思った。
まぁ、それは声をかける理由でもないし、きっかけでもない。
ただ、本が気になったから声をかけた。ただ、それだけだ。
だが、笹野からは予想もしてなかった言葉をいわれる。
「なに、あなた?私によう?」
「えっ、えーと」
「ないならあっちいってくれないかしら?忙しいの」
ありえん、つーかこんなやつなのか。
それに、忙しい?ただ本読んでるだけじゃね。
「えー、っと。本なによんでんだ」
「本?なんでもいいでしょ、あなたには関係ないわ」
「えー、いやほんのタイトルぐらい教えてくれてもよくね」
「まぁ、いいわ。明治開化 安吾捕物帖っていうの。推理モノよ」
「明治開化 安吾捕物帖ねー、おもしろい?」
「まぁまぁね」
「まぁまぁか・・・。」
俺は、明治開化 安吾捕物帖を知っているのだ。
さて、これでネタは確保した。あっ、ネタっつーのはいわゆる話題ってやつだ。
俺は、話題のことをネタと呼んでいる。
「あ、来たわね。さよなら」
「あ、あぁ」
笹野は鞄を持って教室をあとにした。
俺は、ながいあの車の
所有者が笹野だというのを思い出した。すぐさま、窓の外を見てみる
「あっ」
そこには、あの長い車とそれい乗り込もうとしていた笹野がいた。
「まじかよ」
俺は、すこし驚きながら家に帰宅した。



     

朝、俺はいつもよりも二時間早く起き朝食を食べ、制服に着替え鞄をもちいつもよりも1時間半はやくに家を出た。
目的はただ一つ。それは、あの笹野の車を見るためだ。
いや、正確にはあの車を追いかけるのが目的だ。
なので、家から昨日車を見かけたところまでは自転車で来ていた。
目的の場所には三十分でついた。
早くきすぎてきてしまった。
俺は、1時間ずーっと自転車に乗ったまま昨日のあの場所で待ち続けた。
一時間後、とうとうあの車がやってきた。
一個手前の信号で止まっている。
俺は、自転車をこぐ準備をしてまった。
「きた」
車が目の前を過ぎると同時に俺は自転車を走らせた。
二ついった信号で左に曲がった。俺も追いかけて左に曲がる。
すぐさま次の信号が赤で止まる。俺は車の横に自転車をつけた。
車を見てみると、笹野がいた。その奥に・・・、もう一人、人がいたが顔がはっきり見えなかった。
他にもう二人向かい合うように座っていた。
どうなってるんだろうな、この車。
そんなことを思っていると、信号が青になった。
車をまた追いかける。
少し進んだところで、あることにきずいた。
車は、学校には向かっておらず他のところに向かっているようだ。
どこかは、わからないがこのまま追いかけてみよう。
少し進んだところで、車が停止した。
止まった場所を見てみると、そこは中学校だった。
俺は、車から少し距離を置き隠れるように覗いた。
車からは、金髪の男子と黒髪の女子が降りて正門をくぐりぬけていった。
車はすぐさま発進し、俺も追いかけることにした。
すこし、さっきの金髪と黒髪が気になるが、いまはほうっておいた。
「ぜぇ・・はー・・ぜぇ・・・はー」
さすがに疲れた。
車は少し速度を上げ頑張ってこいでも追いつかないぐらいになっていた。
何気に今日は車のとうりが少ない。
「な、・・なん・・で・・今日に限って・・はー・・車のとうりが・・ぜぇ・・はー・・すくないんだよ!」
俺は、今日に限って車がぜんぜんとうらないことを恨んだ。
結局、車は見えなくなるし、道には迷い・・・つーか、東京にきて一ヶ月もたたないのに道なんてわかるはずもなく、学校にも遅刻してしまった。

昼休み、俺は昨日と同じく鈴木と桐谷と昼飯を食っていた。
「きょうは、どっと疲れた」
「疲れたって、今日遅れてきたことと関係あんのか?」
「あぁ、聞くか?」
「あたりまえだろ」
「僕も聞きたいよ」
鈴木も乗っかってくる。
「実はな・・・・・・・・」
俺は、朝早く起きて車を追っかけたことを話した。
「お前、バカだろ」
「うるせーな、別にいいだろ」
「あのな、何で追いかけたんだよ」
「えーと、何かやりたかったから?」
「ま。理由ねーのかよ・・・本当にバカだろ」
「あぁ、そうですよ。バカデース」
「なんで、最後カタコトなんだよ」
「そうだよ、」
そんなことを言いながら、あとはたわいもない話で盛り上がる。

放課後、俺はまたも一人教室に残って・・・いや、笹野と二人教室に残っていた。
俺は、何を思ったのかまたもや笹野に声をかけていた。
「なぁ、また読んでんのか安吾捕物帖」
「なに?」
「いや、だから今日も一日中読んでんなーと」
「あなたには、関係ないでしょ。もう帰ったら」
「なんだよ、つめてーな」
「ふんっ」
笹野は、そっぽをむいてしまった。
俺は、そのまま笹野を見続ける。
「なに!?」
「いや、なんでも」
「用があるならさっさと言ったら」
「いや、安吾捕物帖おもしろいかなーと」
「そんなこと?えぇ、面白いわ」
「だよなー」
「もう、用は済んだんでしょ!帰ったら」
「なんだよ、少しぐらい話そうぜ」
「うるさいわね、あなたとなんか話さないわよ」
「はぁー、お前友達いる?」
「な、なによ!あなたには、関係ないでしょ」
「お前、いつも一人だけど学校楽しい?」
「楽しい?そんあの関係ないでしょ」
こいつは、なんなんだろうな。まぁ、俺もだけどな。
「はぁー、まぁ何でもいいや。お前さあの長い黒い車に乗ってきたろ、今日」
「は、長い車?なんのこと」
「いや、だから、・・・んー、昨日帰っときに乗った車で今日も学校にきたろ?」
「えぇ、そうよ。それがどうしたの?」
「いや、中が気になってな」
「別に気になることでもないでしょう」
「お前はそうだけどよ。一般庶民の俺は気になるわけよ」
「ふーん、まぁでも見せたりはしないけどね」
「いや、見せなくていいよ。どんな感じが聞かせてくれよ」
「あのねー、わかったわ。中は結句広いわね。それに私がいつも乗るところは向かうように席が並んでるわ」
「ほうほう」
「小型の冷蔵庫と、座席にパソコンが装着されてていつでもインターネットが使えるわ。それに・・・・」
「もう、十分です。ありがとうございます」
「なによ、もうちょっとあるわよ」
「いえ、もう十分。想像を超えすぎていて理解不能。もういい」
「はぁー、さよなら。もう帰るわね」
「あぁ、じゃあな」
そのまま笹野は教室を後にした。
「俺もそろそろ帰るとしますか」
俺も帰ることにした。しかし、俺は思い出してしまった。
今日は自転車で来ているということを
「ははっ、もうーなんでこうなるかな」
俺は、自転車でひとりさびしく帰宅した。
結局、あの金髪と黒髪はいったい誰なんだろーな。
家に着いたのは、夜の九時を回っていた。
行きは、ケータイで地図を見ながらで簡単だったがあいにくケータイの電源が切れてしまっていてまた道に迷いかえるのに二時間もかかってしまった。
「最悪だ」
俺は風呂にも入らずに寝た。

     

俺は昨日笹野と話した後、自転車で道に迷いながら家へ帰っていった。
まだ、肌寒い中二時間半も外にいたので風邪を引いてしまった。
「あぁ~、なんで風引くかな~・・・ヘックシ!うぅ~、」
今の時刻は午前5時、まだ太陽が昇っていない。
二度寝使用とこころみたものの、鼻水は止まらず、咳も止まらず寝ようにも寝れずに悪戦苦闘していた。
俺は、今日もいつもより早くに家を出た。
教室に入ると、まだ誰もいなかった。
学校があくとほぼ同時に教室に入ったから、やはり誰もいない。
俺は、一人自分の机でねた。
「おーい、リュウさん~起きてる?」
「ん、ん~・・・うわぁ~~」
「おう、起きたか」
「桐谷、どうした」
「いや、お前が教室に入るとさ一人で机で寝てたからさ」
桐谷は俺が一人机で寝て宝気になって声をかけてくれたようだ。
「あ、・・・そう・・は、はっくし・・うぅ~」
「どうしたよ」
「かぜだよ」
「かぜ?今の時期に?なんで」
「いや、色々あってな」
俺は、昨日笹野と話して、自転車で帰って、挙句の果てには迷って風邪をひいてしまって、
朝早く来たことの理由も説明した。
「お、おまえって・・・本当に、バカだな」
「うるせぇよ・・・はっくし」
「うわ、きたねー」
「な、なに」
それからは、少し世間話などをしていた。
八時ちょっと前に鈴木と笹野が来た。
鈴木も会話に加わり会話はいっそう盛り上がった。
その一方で笹野はまたも、一人で本を読んでいた。
あいつって、友達いないよなー、など重いながら一日を過ごした。
放課後、今日も俺は笹野と二人教室に残っていた。
今日も笹野と話そうと思ったが鈴木と帰りに遊ぶ約束していたことを思い出し、急いで昇降口に急いだ。
「わりぃ、遅れた」
「いいよ、僕も部活あったし」
「部下つって軽音部だっけ?」
「うん、ギターやってるんだ」
「へー、で、そのギターは?」
「今日は置いてある、遊ぶためにね」
「そうか、」
俺達は電車に乗り秋葉原に向かった。
「しかし、まさか遊ぶ場所がアキバだったとはな」
「そう?」
「そうだぜ、なんか以外」
「よく言われるよ、でもここには遊びだけが目的じゃないんだ」
「へー、他の目的って?」
「新作ゲームの予約をここのお店で予約をしてね」
「まじかよー、俺もゲームここで予約してんだよな。ところで、何のゲーム?」
「テイ○ズの新作なんだけどね」
「な、なにー!!!」
どういうことだ?テイルズだって、俺も今日予約してるゲームじゃねぇかよ・・・でも、テイルズはRPGだから普通か・・・。
「あ、そうそう。もう一つ予約してるのもあるんだ。今日のためにお金貯めていたんだよ」
「もう一つ?」
「うん、恋姫夢想っていうんだけど・・・」
「まじかよーーー!!!」
もう一つのゲームも俺が今日予約してるゲームとまったく一緒だった。
ま、まさか・・・鈴木と同じ店で予約をしていたりとかは・・・さすがにないか、そんな偶然。
だけど、一応確認だ。
「なぁ、どこの店で予約してんだ?」
「もうちょっとで・・・あ、あそこだよ」
まったく一緒の店での予約だった。ありえねー、こんな偶然があっていいのだろうか。
もう一つ聞きたいことがあるが・・・聞いてみよう。
「なぁ、お前ってオタクって呼ばれたことある?」
「え、呼ばれる?呼ばれるってのはあまりないけど、僕オタクだよ!」
「オ、オタクなの?」
「うん、部活の軽音部もけいおん!ってアニメを見て入ろうって思ったんだ」
「はは・・けいおん!ねぇ」
俺は、けいおん!を知っている。まぁ、好きってほどでもなかったが一応は見た作品だ。
「そうだ、リュウは何のゲーム予約してるの?」
「え、俺はお前と同じだよ」
「えぇ!本当、てことはリュウもオタク!?」
「いや、自分じゃよくわからんが、よく言われるな」
「本当!やったー、僕学校でオタク友達ほしくてさ、うれしいよ」
「オタ友ねー、まぁいいか。鈴木、買いに行こうぜ」
「だな、よし!買いに行こう!」
そのごはゲームも一緒に買って、メイド喫茶にいった。
正直なところメイド喫茶には始めていった。
鈴木は行きなれているようだった。
末恐ろしいな、鈴木。
家に帰ったら、かぜが悪化した。
「うぅ~、はっくし・・最悪だぜ」

     

かぜが悪化してしまった俺。結局、学校を一日休んで・・・と行きたかったが入学早々休むのもなー、と思いながら嫌々学校に行った。
普通に休めばいいのにもかかわらずにだ。
俺は、馬鹿なんだろう。
中学というよりは、小さい頃から風邪がよくわからなかった。
いや、病気、怪我すべてだ。
骨折したにもかかわらず、ねんざだと思い放置、その結果一年後休み時間にサッカーをしたら折ってしまった。
保健の先生に、骨折といわれ病院にいった。そこで、知った。おまけに2回骨折していることを。
俺は、そういうやつだ。病気にかかっても、まじめに学校にいった。
逆に、学校を休むときは大抵、というかすべて仮病・・・。
本当に俺は、バカなんだろう。
自分で、自分をバカ呼ばわりしている俺はバカ?とか考えている俺はバカ?なーんて学校の通学途中考えていたけど・・・学校につくとすぐ忘れた。
桐谷、鈴木といつものように話す。
いつものように昼飯を食べる。
でも、風邪。
話しているときも、飯食うときも、鼻水が止まらない。
そんな感じで一日を過ごした。
放課後、俺はいつものように笹野と話そうと思った。
話になっているかはわからないが。
笹野は今日も一人放課後の教室で本を読んでいる。
俺は、何も思わずにいつもどうり話しかける。
「よう、笹野。また、安吾捕物帖?」
「・・・」
返答がない。
俺って、なにかしたか。
何もしてないと思う。普通に話しかけてただけだと思うが。
「笹野さーん」
「・・・」
またも、返答なし。
こうなったら・・・・・話しかけ続けるしか方法がない。
「笹野ー、」
「・・・」
「笹野嬢」
「・・・」
「笹野姫ー、笹野やまー」
「・・・」
「ささ・・」
「うるさいわね!」
「おぉ、」
「なに?用でもあるの!?毎回話しかけてきて」
「いや、用はないけど・・・毎回話しかけてるのは」
「なに!?理由あるならいいなさい」
「では、僭越ながら言わせていただきます」
「前置きはいいから、さっさといいなさい」
「えー、っと。んじゃ。理由は簡単で、話したいなーみたいな感じ」
「はっ!?なにそれ?ふざけてるんじゃないわよね?」
「え、えー。これじゃ駄目なわけ?」
「だめね!もっと、ちゃんとした理由がないなら二度と話しかけないで」
「な、なんだよそれ。理由なきゃ話しかけちゃ駄目なん?」
「あたりまえでしょ」
「そうかー、・・・それじゃあ」
「なに?」
「お前が毎日一人で机に座りながら本を寂しく読んでいたから、かわいそうだなーなんて思ったんで声をかけました。これで、どうだ!?」
「かわいそう?あのね、私は別に寂しくもなんともないわよ」
「寂しくないねー」
笹野は、寂しくないといった。本当だろうか?そこらへんは本人しかわからないよなー。
「なんでもないなら、話しかけないでね」
「なんだよ、そんなツンケンすんなよ」
「あなたには、関係ないでしょ」
「いや、関係はないけどさー。話すぐらいならいいじゃん?」
「あなた、そんなに私と話したいの?」
「そうだな、・・・話したいかもな」
「なっ、・・・・・まぁ、そう思っているなら少しくらい話す程度ならいいわよ」
「おぉー、・・・」
以外だった。話すぐらいならいいといわれてしまった。
てっきり、『はなしなんて、あなたとしても何にもならないでしょ』みたいな、反対意見が言われると思っていた。
意外すぎて、言葉が出ない・・・ってこともなかった。
「で、今回読んでる本はなんなんだ?」
「この前の続き」
「前っていうと、安吾捕物帖だな。下巻?」
「えぇ、そうよ。あなた、読んだことあるの?」
「あるよ、上巻下巻両方読んだよ」
「へー、どうおもう?」
「どう、か・・・結構面白かった」
「そうね、上巻までしか読んでないけど面白いわね」
「あぁ、面白かった」
それからは、少しだけ安吾捕物帖の話で盛り上がった。
時間が来た。笹野のお迎えが来たのだ。
「あら、来たようね。それじゃ、さよなら」
「おう、さよなら。また、明日~」
少しだけ、笹野とまともな話ができただけでもかなりの進歩だ。
俺は、話している間ずっと鼻水がとまらなかったが、気力と根性で耐えた。
鼻はもう大洪水状態。
「ティッシュ」
鼻をかむ。ティッシュを箱ごと持ってきていてよかった。
中学の頃から、ずっと箱もって来ていてよかった。
しかし、箱丸々一つ使ってしまった。
「そういえば、これ最後だったっけ」
俺は、箱とかんだティッシュを捨て、帰りに薬局によって薬とティッシュを購入して帰った。
風邪は、とうぶん治りそうにない。
「はっくし、・・・いつごろ治るかね?」
俺は、鼻が大洪水のまま眠りについた。

     

俺は、あれから放課後に笹野の車を待つ間の少ない時間の間で笹野と話すのが日課になっていた。
それに、風邪も治ったしいい感じだ。
今日も、放課後笹野と話をしていた。
「なぁ、笹野ってゲームとかやる?」
「ゲーム?やらないわよ、そんなの」
「やんねーのか・・・ゲーセン行ったことは?」
「ゲーセン?」
「ゲームセンター、ゲームをやるところ」
「へー」
笹野は、ゲーセンすら知らないようだ。
全世界のお嬢様は皆こうなのかね。
まぁ、ゲーセンがないところは仕方ないか・・・。って俺は、何を考えているんだろうな。
「へー、興味なさそうだな」
「そうでもないわよ」
「興味あんのか?」
「少しね」
「なら、今度行ってみるか?放課後に」
「放課後?別にかまわないわよ」
「おぉ、わかった。それで、いつにする?」
「明日でいいわ」
「わかった。絶対楽しいと思うぜ」
「そんなのは、わからないわよ」
「そうか・・・なるべくでかいゲーセン選んどく」
「そうしてちょうだい。そしたら、明日は迎えはいらないわね」
「ん、迎えか。そうだな、ゲーセンよったら俺が家まで送るよ」
「いらないわ」
「あ、そう」
「お、迎えきたみたいだぞ」
「そうみたいね、それじゃ」
「じゃなー」
俺は、ふと思ってしまった。
笹野を遊びに誘うってそれに、一緒に放課後ゲーセンか・・・。
俺、結構すごいことしたな・・・。
明日が心配だ。
「ははっ」
家に帰るなり、すぐに俺は寝た。

朝、俺は少し速めに起き財布を見た。
「まだ・・・大丈夫だな、うん」
正直、金欠に近かった。
鈴木と秋葉に行ったときに金は結構使ってしまったからだ。
しかし、上京して家賃、生活費、小遣い等は、まとめて銀行に来るようになっている。
家賃は、そこから引き落としだが。
俺は、生活費を少しづつ貯金している。
て、いってもまだ2週間しか東京に来て経ってないけど。
俺は、上京してきてまず考えたのが金の確保だ。
生活は今のところギリギリだ。
生活費の三分の一は小遣いに当てているからだ。
財布には、二千円・・・、しかも貴重な二千円札だけ。
俺は、朝コンビニに行きATMで金を引き落としてから学校に向かった。
今月の残りは昼飯抜きとなってしまった。

放課後になり俺は笹野と一緒に駅に向かった。
「笹野、おまえって電車の乗り方わかるよな?」
「当たり前でしょ、それくらい常識よ」
「なら、いいけど」
駅に着いた。俺は、定期を持っているのですんなりいけるのだが・・・。
「おい、笹野。切符の買い方知らないだろ」
「知ってるわよ、それくらい」
「うそつけ。証拠に今かってみせろよ」
そういうと、笹野はまっすぐにホームを抜けようとした。
「おい、まて!お前どこ行くきだ」
「どこって、電車に乗るんでしょ?」
「電車に乗るには切符が必要だ」
「だから、切符って電車の中で買うんじゃないの?」
「ない、言ってんだよ!それは、ここで買うんだよ」
「そうなの。知らなかったわ」
「やっぱ、知らなかったか。見栄を張るから」
「うるさいわね、さっさと買ってきなさいよ」
「はぁ~、お前もこい。見せてやるよ」
俺は、笹野にチケットの買い方を教え、電車に乗り込んだ。
しかし、ゲーセンにつくなり更なる問題が発生した。
「よし、ついたか」
「ここが、ゲーセン」
「そうだ、入ろうぜ」
「えぇ、」
俺は、笹野を連れてゲーセンに入った。
「あ、そうだ笹野。お前、小銭持ってるよな?」
「小銭?」
「まさか、・・・なら、札は持ってるよな?」
「当たり前じゃない、」
「よかった。千円札持ってる?」
「千円札?」
「まさか!お前、札って全部一万円札じゃないよな?」
「えぇ、そうよ。みる?」
俺は、笹野の財布を見てかなり驚いた。いや、かなりどころの騒ぎではない。
なんと、笹野の財布には万札しか入ってなかった。
それに、軽く十万は超えている。
さらに、訳のわからんカードがいっぱいだった。
「もう、わかった。今日は俺のおごりでいいよ」
「おごり。いいわね、それ」
「この・・・はぁー」
俺は、財布から、何千か出し両替機で両替した。
「さて、何からやろうかね」
「何でもいいわよ」
「そうか・・・なら」
俺は、ガンジューティングを選んだ。
ゲーセン初心者には難しいだろうがまぁ、いいだろう。
これなら、多少は楽しめるかな。
「よし、やるぞ」
「えぇ、いいわよ」
俺は、笹野にやり方を説明した。
それから、プレイをはじめた。
「当たらないわね」
「まぁ、初めてだし少しづつ慣れようぜ」
俺は、笹野が死んだら金をいれ笹野を復活させてやった。
ステージ5くらいで俺が死んだのでここで一旦シューティングはやめた。
「んじゃ、つぎあれやるか」
俺は、太鼓の達人を選んだ。
これは、2回ほどプレイし次にレースゲーム。
色々やった。
そして、やるたびに俺の財布が軽くなっていく。
「ねぇ、あれはなに?」
「あれ?」
笹野は、クレーンゲームを指差した。
「クレーンか、やってみるか?」
「そうね、やりましょう」
「これで、いいか」
俺は、ちょっと大きめの人形が入ったクレーンを選んだ。
「かわいい」
「えっ?」
「な、なんでもないわよ。さ、やるわよ。やり方を教えなさい」
俺は、笹野がかわいい、といったことに多少驚いた。
「笹野って案外可愛いとこあるな」
「な・・・な、・・・」
スネを思い切り蹴られた。ものすごく痛い。
「つっ~~~~」
「さっさと、やるわよ」
「あ、あぁ」
俺は、笹野にやり方を教え見本を見せた。
「わかったか?」
「えぇ、大体は」
俺は、わざと人形を取りにいかなかった。
簡単に取ってしまっては面白みがないからだ。
「いくわよ」
笹野は、1回目は失敗した。
「お金」
俺は、五百円をいれ三回できるようにした。
笹野は、三回とも失敗。
「お金」
「はいはい」
笹野はその後も失敗を繰り返し、そのたびに金といってどんどんクレーンに金をつぎ込んでいく。
あぁ、俺の財布がどんどん軽く・・・。
しまいには。
「お金」
「すまん」
「なに?」
「もう、お金がありません」
「はっ!?なによ、それ」
「いや、だから」
「両替してくればいいじゃない」
「だから、金がもうないの」
「役に立たないわね」
「ははっ、」
役に立たないとか・・・なんか、最悪。
「笹野、この人形ほしいの?」
「別にほしくないわよ」
そういいながら、笹野は人形をじっと見つめる。
「ははっ、そうか。俺が取ってやるよ」
「だから、いらないって」
「まぁまぁ、いいじゃないか」
「でも、あなたお金がないって」
「一回分だけ実は残してあったりして」
俺は、ポケットから一回分の小銭を取り出し、難なく人形を手に入れた。
「ほい、これ」
「いらないわよ、別に」
「そうか、なら俺が貰おうっと」
「あ、・・・やっぱり、私が貰うわ。あなた、私のためにとったんでしょ」
そういいながら、笹野は強引に俺から人形を奪い取った。
俺達は、金もなくなり家に帰ることにした。
「笹野、送ってくぜ」
俺、ゲーセンを出てすぐのところで笹野に話しかけた。
「いらないわよ」
「でも、暗いしよ」
今は、七時を回ったところだ。
「でもよ」
「いらないわ、ほら」
笹野の目の前にあの黒いながい車が止まった。
「迎えをよんだの、それじゃ」
「あぁ、じゃあな」
「えぇ、すこし楽しかったわ」
「お、・・・おう」
笹野が素直に感想を述べたことにびっくりした。
車が行ったところで俺も帰ることにした。
「あいつ、結構いいやつだな」
そんなことを思い家に帰って財布を取り出す。
「あ、空じゃん・・・とほほほ。これから、五日間節約だな」
もうすこしで、五月になろうとしていた。

     

「みぎ・・・うあっ!」
転んじまった。
俺は今猛ダッシュで学校に向かっている。
学校に遅刻してしまいそうだからだ。
なぜ、そうなったか・・・それは昨日の夜にさかのぼる。

「はぁー、笹野とゲーセンに行ったのが二日前、あと三日は節約。いや、飯全部抜きの断食か・・・・とほほほ」
俺は、笹野とゲーセンに行ったその日から昼飯を抜こうと考えたが。やっぱり夕飯を抜こうと考えた。
しかし、昼飯を今までどうりに食べていたらたったの二日で金が財布から消えた。
財布の中にはたったの三百円。
「俺・・・生きていけるか?」
餓死してしまうのか・・・その可能性は薄いな、うん。
「気にせずに明日考えよう」
しかし深夜三時くらいまで目が見開かれたまま眠れずそのあと寝た。
起きたのが五時。
それから約二時間半起きたまま動かなかった。
その結果が、遅刻。
そんなことは今はどうでもいい。
とにかく間に合わなければ・・・。
「くそっ!あともうちょいなのに・・・運動しとくんだった」
俺は、小学校野球、中学校サッカーの技術部と以外にもスポーツ少年だった。途中、文科系だが。
しかし、運動しなくなってからどんどん太っていって血液検査の中性脂肪にひっかかった。
それ以降、痩せようと思っていたから運動し始め今の、腹・・痩せているって言ったら変だが普通くらいまで痩せた。
あのときは、がんばった。
そう、頑張った。だから今回も!
「あぶない!」
「へっ?・・・うおっ」
また、転ぶ。誰かとぶつかってしまった。
周りが見えてなかったんだろう。曲がろうと勢いつけたものの真正面から来た人も同じ方向に曲がり、さらに足がつっかかりそのまま衝突。
最近ついていないのかもしれない。
「いってーっと・・・大丈夫か?」
ぶつかったのは俺と同じ高校の制服を着た女子だった。
「いったーい。もう、気をつけてよ!」
「わ、わりぃ」
俺は、手を差し伸べた。
その手をとって立ち上がった少女はびっくりした顔で悲鳴を上げる。
「時間がー!!!!」
「な、なんだよ」
「ま、ま、ま、間に合わない」
「はぁ?まにあわ・・・はっ」
俺は携帯の時計を見る。
時間は八時十分を回っている。
学校は、八時十五分まで・・・。
ここから頑張って走っても十分くらい。
ぶつかって、倒れて注意されて手を差し伸べ携帯を見るの二、三分。
「もう、無理か」
「諦めないわ」
「はっ!?」
「ダッシュ!」
「あ、おい」
ぶつかってしまった少女は走り去っていってしまった。
「もう、間に合わないし・・・そうだな。運動ついでに軽く流しながら走ろう」
走ろうとすると何かを踏んでしまいそうになる。
「なんだ、これ」
落としていたものを取ってみるとそれは、携帯だった。
「おとしたのか・・・でもどうして落としたんだ?」
俺は、携帯は右前のポケットに入れ、財布は右後ろのポケットにいれ、鍵は左前のポケットだ。
ぶちかっても俺は携帯は落とさなかった。
なら、どうして・・・考えるのをやめた。
結果は見えている。
女子はよくバックに入れるから、バックの横のポケット。
「あそこに入れてたパターンだな」
名前ぐらいは知ってれば探すの簡単そうだけど、人のを見るのはだめだし。
さっきの少女のものじゃない可能性は薄い。
したがって、これをもったままダッシュし学校にいって鈴木、桐谷らと一緒に探せば早い。
「いまは、いそごう」
ダッシュで学校に向かった。

「校門は当然閉まってるか」
時間は八時二十分を待っている。あの少女は間に合ったようだ。
俺は、五分遅刻。
運良く教師がいない。今がチャンス。
すばやく校門を飛び越える。
「スタッなんつってな。さて、行くか」
昇降口に向かった。
HRが終わった頃に教室に入り、席につく。
「おまえ、どうして遅れたわけ?」
「あ、あぁ。女の子とぶつかってあとはゆっくりきたから」
「意味がわかんねーよ」
そこに、いつものように鈴木が混じる。
そこで、俺は携帯の持ち主を一緒に探そうと考えていたので拾った携帯をだす。
「あのさ、これなんだけ・・」
「あぁぁぁぁあああぁぁぁあぁぁぁ!!!」
叫び声が教室中に響く。
「うるさっ!」
「なんで私の携帯持ってるの?」
「えっ、覚えてらっしゃらない?」
「覚えてる?あ、あのときの人」
「そう、まさか同じクラスだとは」
「そうだね」
「なんだ、知り合い?」
「あ、あぁ実は・・・・」
俺は、事情をおおざっぱに二人に説明した。
「なるほど」
「大変だね」
「だろ」
「ねぇねぇ、それより私の携帯返してよ」
「わりぃ」
俺は、手元にあった携帯を少女に渡した。
「それより、自己紹介してないよね。私は、原口 泰子(はらぐち たいこ)よろしく」
「俺は、赤城 龍刀よろしく」
それに続いて、二人も自己紹介する。
「へー、鈴木くんって有名だよね」
「そう?」
そこからは、他愛もない話で少し盛り上がり
「そういえば、原口って・・・」
「赤城くん、苗字で呼ばないでくれる」
「あぁ、・・・なら泰子か」
「うん、私も龍刀くんでいい?」
「あぁ、好きに呼べばいいさ」
「リュウってやっぱ少し抜けてるよな、鈴木」
「そうだなー、確かに」
「なんだよっ」
「リュウか、リュウくんって呼ぶね」
「あ、あぁ」
それからは、他愛もない話で盛り上がった。
原口 泰子、泰子は元気な女の子だ。
そして、俺はお金がピンチ過ぎて断食をする元気のない男の子・・・。
ま逆だ・・・俺ってアホだろう。多分とかじゃなくて絶対。
だって、こんなこと考えてるから・・・。
つーか、こんなくだらないことを考えないと腹が減って死にそう。
やべー。

昼、飯のない昼。鈴木、桐谷は目の前で食べ物を食べている。
「おまえ、食わないの?」
「えっ・・・だ、ダイエットしてんだ」
「うそつけ」
「ちっ、」
「ちっってな」
「それより、何で食わないの?」
「実は今金がピンチなんだ」
「親に弁当作ってもらえばいいじゃん」
「いや、ほら。俺一人暮らしだし」
「そういえば、そうだったな」
「だろ・・・とほほ」
「ま、しかたないさ」
「だな・・・」
それからは、何度も腹がなりそうだったがこらえた。
授業はあまり頭に入ってこなかった。

放課後は、いつものように笹野と適当にしゃべって終わる。
たった、一日が長く感じた。
辛い・・そういえば、相対性理論?とかいうので辛いことは長く感じ、楽しいことは短く感じるとかあったな。
まさに、そうだな。
今までがものすごく楽しかったってわけでもないが、今よりはましな生活だ。
夜、結局眠れなかった。


     

「やふーーーーー」
俺は、部屋の中で歓声をあげた。
いつもより相当早く起きたわけでもないが結構早く起きた。
なぜか、理由はただ一つだ。
腹が減っているから、それ以外に何があるのか。
いや、今の俺には何もない。
さて、今日はとうとう四月も終わり・・・天国の月というべき五月。
簡単に言うと金がくる。
なので、朝一にATMに向かおうと思い早く起きたということだ。
「いざ、出陣!」
俺は、制服に着替えた後勢い良く家を飛び出したが、鍵をかけ忘れて一旦戻った。
「さいさき悪くね?嫌な予感が」
俺は、ATMに・・・楽園への扉に向かった。

「とうとう、三日ぶりの飯だ・・・ふふふふ」
さてと、まずはカード投入。そしてパスをうって、金はたぶん数十万くらい入ってるはずだ・・・。
「あれ、・・・・・」
言葉が出ない。
「前回と金額変わってないじゃん・・・・おかしいな・・おかしいーなー」
俺はそこに倒れる。腕を突き土下座一歩手前の状態になる。
「なん・・で・・・・。はっ、そうか。俺の生活費が入ってくるのは親の給料日。つまり、毎月五日・・・ということは、あと五日は断食生活・・ぐはっ」
俺は打ちのめされた。あと、五日の断食という名の魔王に。
「学校、いこ」
俺は、お腹がなりつづけても無視して歩いた。

学校到着。そして、いきなりの席替え。
HRの時間教師がいきなり席替えをしようといってきた。
席替えには軽く俺は賛成だ。絶対年に一回はあるものだしな。
やり方はいたって簡単。ドカンに紙が入っており数字を席と照らし合わせるだけの単純さだ。
ていうか、席替えに単純とかあるのか・・・とか、考えながら空腹を紛らわせるしかない俺はバカだ。
さて、肝心の席だが・・・窓際後方二番目というなかなかのポジションを獲得した。
あれ、これハルヒ的な感じになってね?とか、考えてしまう。腹が減ってるからか。
ちがうな、いつものことだ。
ハルヒな感じぃになったー
なんと、俺の後ろは笹野だった。
「よう、笹野。こんどは席近いな・・・」
「・・・」
無視ですか。別にいいけど。さて次は前か。
「やほー、リュウくん。席近いねー」
「おう、泰子だったか。よろしくな」
「こっちこそ、よろしく」
それから、泰子と少ししゃべり次に右隣を確認した。窓際だから右側しかいないが。
さてと、誰かな。
「はじめましてだね」
「ん、おう」
「私は、南条 茜(なんじょう あかね)よろしくね」
「俺は、赤城 龍刀。よろしくな」
なんと、俺の隣はものっそすごい美少女でした。
ながーいロングの黒髪にあのー、ほらクラナドの杏のようなひもを付けた感じの髪型に小顔。
それに、整った顔。まさに日本の大和撫子?見たいな感じですっごく日本人らしい可愛い女の子だ。
あれ、まてよ。よくよく考えたら俺の周り女子だけじゃね?しかも、美少女だけ・・・。
はっ、これって結構すごいことじゃ・・・。
俺は、女子に囲まれている。嬉しく思うべきか、はたまた男がいないことに悲しむか。
あ、いっとくけど男の趣味は当然ないからな。
鈴木と桐谷はどこにいるか探してみることにした。
「おう、鈴木は案外近いな」
鈴木は、笹野の隣だった。俺の右斜め後ろだな。
「だなー、桐谷は?」
「探してみる」
桐谷はちょうど真ん中あたりで少し離れている。
ま、別に桐谷と離れてもどうということはないが・・・美少女三人に囲まれるのは、関係ないか。
それよりも、今の俺にとってもっとも大事な課題が一つある。
それは、この五日間どうやって生き延びるかだ。
「なんとかなるかな」
なんない気の方が強いが。
窓を眺めながら昼休みまでやり過ごした。
とうの授業はというと、まったく内容が入ってこなかった。

昼、俺の地獄の時間が始まる。
いつもどうり鈴木と桐谷、それに今回は泰子が混じって飯を食べた。
とうぜん、俺は飯などないわけで俺の話題なるわけで。
「どうした、リュウ。飯は?金はいるんじゃなかったっけ」
「あぁ、実は・・・金は五月五日にはいんだよ」
俺は、手っ取り早く大雑把に金が五月五日に入ることを告げた。
「五月五日ってたしか、日曜日か」
「に・・・日曜日。ふはっ、死んだ」
「大丈夫、リュウくん。どうしたの?」
「日曜日ってことは銀行あっちじゃ動いてないから月曜の六日になったわけだ。六日の断食生活」
「た、大変だね。リュウくんも」
大変とかいいながらも誰も俺に飯をくれなかった。
友達思いじゃねーな、このやろう。怒ることでもないがなくこともできなかった。
空腹で、死にそう。

今度の試練は放課後にやってきた。
俺は、いつものように笹野と話そうとは思わなかったが学校には残った。
理由は家に一人しかも空腹だと気がどうかなりそうだからだ。
俺は机に顔をつけたまま夕日を眺める。
あいかわらず、笹野は一人本を読んでいる。
「ちょっと、いいかしら」
「へっ!?」
「そんなに、驚かなくてもいいじゃない」
笹野のほうから声をかけてきた。正直ものすごく驚いた。
ありえん。その一言だけが俺の頭を支配した。
「私の話聞いてるのかしら、聞いてないのかしら?」
「聞いてますとも」
「そう。それなら、なんて言ったか答えてみなさいよ」
「えー、えー、えーと・・・あっ、鳥の糞ってうざいわよねって言ってた」
「ふざけてるのかしら。」
「え、ふざけました・・・うっ」
机の下からスネを蹴られた。
なんて、器用な蹴りだ。ジャストミートだぜ。
「いてーね、何すんだよ」
「なに?ですって」
「なんでもないです・・・すいません」
「わかればいいのよ」
「で、結局なんだったんだ?」
「もう、いいわ」
「はっ?」
「それじゃ」
「あ、おい!いっちまった」
笹野は、迎えが着たんだろう。鞄を持って教室を出て行ってしまった。
ふいに腹がなる。
「そうとうやばいな」
俺は、空腹の腹を抑えながら飯のまたない家に一人さびしく向かった。
「つらいよー、源さん。なんてなっ」

     

五月五日、とうとうこの日が来た。
俺は、五月二日の夜に最後の非常食カップ麺をみつけた。
そのカップ麺はアキバに行く前に買ったやつでなくしていたはずだが奇跡的に見つかったものである。
で、俺はそのカップ麺を五月三日に食べた。
今までのどんな料理よりもうまく感じた。
さて、いま俺はATMの前にいる。
残金をみる。
金が入っていた。
さすがは我が父と母、ここはちゃんとしているな。
さて、金も取ったし急がなければ学校に間に合わない。
俺は、ここ最近徹夜続きなのだ。
腹が減ると本当に眠れない。実感したな。
眠れないから起きているのだが最終的に寝てしまう。午前四時か五時くらいに。
「つーか、本当に間に合わないかも」
余裕で間に合った。

昼、俺は少し多めにどころの話ではないほどの飯をかった。
フードファイター目指すつもりかって言われそうなほどの量を。
「おまえ、フードファイター目指すのかよ」
そこに、見事に予想どおりに桐谷が相槌を入れた。
「そんなわけないだろ」
「本当かよ・・・」
「あたりまえだ。今まで食わずにきたからすげー腹が減ってんの」
「お前、そんな勢いで買って食ってくと金もなくなるし、それに太るぞ」
「ふん、その程度で太ったりはせんよ、桐谷氏よ」
「あほっ」
桐谷に軽く頭をはたかれた。こいつ、磨けば最高のツッコミしになるのでは。
あほな事を考える。そこで、ある事を思い出す。
「そうだ、鈴木に桐谷。一つ聞いていいか?」
「なに?」
「なんだよ」
「お前らってバイトしてる?」
「俺は一応してるよ」
「僕はしてないな」
「そうか、なぁ桐谷。なんかいいアルバイト紹介してくれよ」
「いいアルバイトたって、どんなのがいいんだ?」
「手っ取り早く金が稼げるとこ」
「あのな・・・・いや、まてよ。一箇所だけあるぞとっておきの場所が」
「まじか!?」
「あぁ、確か火、木、土にくるだけで一日五万くらいのいいアルバイトがな」
「それは、すげーな」
「だろ!場所も今書いてやるよ」
「ちょっと、待て。おまえ何か隠してるだろ」
「なんのことだよ」
「とぼけんなよ。一日五万とかありえねーだろ。わけありだろそのバイト」
「まぁ、いってみれば分かるからさ」
「たくよ、まぁいいや。それより早く地図書けよ」
「分かってるっつーの」
「場所はちなみにどこ?」
「アキバ」

秋葉原の裏通り。今は夕方なのにここだけ真っ暗。
しかし、俺様は勇気はとても持っているのだ。しかも暗闇にはものすごく慣れている。
理由は、小学校のころから深夜に家を抜け出し真っ暗の中散歩とか色々したからな。
都会と違い、田舎は本当に暗い。だから、暗闇には慣れっこ。
「さて、いざ突入!おぉー」
さて、いきなりの階段だ。
ちょっと大き目のビルだと思うが正面には入り口がなく裏道にこっそりと階段がある。
「さて、メモに何か書いてあるな・・・なになに、階段があるからとにかく昇れ」
適当だ。とても、適当だ。
「桐谷の野郎・・・気にせず進むしかないな」
階段を一歩一歩慎重にけれどもすばやく昇る。
昇り終えると目の前に扉。
ちょっと大きい。
「さてと、ここだな。絶対にここだな。桐谷メモの絵にこれと同じ感じの扉がある。つーか、あいつ絵下手だなー」
ノックをする。
「はーい、誰かしら?用は何?」
中から女の人の声が聞こえる。
「あーえーと、ここでアルバイトがしたくて紹介してもらってきたんですが」
「え、アルバイト希望の子?入って入って」
俺は、ちょっと大きめの扉を開け中に入る。
「ゴホッ、ゴホッ・・・汚なー」
中に入ると目の前にはごみ屋敷が広がっていた。
「ごめんね、ちょっと散らかってるのよ」
「いやいや、ちょっとどころではないですよ」
さっきと同じ女の人の声が聞こえる。
姿が現れる。目の前にはものすごい美人がいた。
何条よりはちょっと短い青い綺麗な髪に、唇の下にほくろがありほどよい小顔。
でるところはものすごくでており、締まるところはものすごく締まっている。
大人の魅力のある女性だ。
「あなたが、バイト希望さん?」
「はい、赤城 龍刀です」
「そう。よろしくね赤城さん。私は、古大 秋(こだい あき)秋って呼んでちょうだい」
「秋さんよろしくおねがいします」
軽いあいさつと握手をした。
これから、どんなアルバイトをするのかものすごく気になる。
まぁ、予想はついてるけど。

     

さて、このバイト。面接とか一切ないらしい。
バイトに来る人は居るが、バイトが始まって数時間で逃げるらしい。
逃げるってどんなバイトだよ・・・。
この部屋、ゴミだらけだから掃除だと俺は思うが・・・。
「さっそく、はじめてもらうわよ」
「はい。で、どんなバイトですか?」
「簡単よ、部屋の掃除」
「わかりました。でも、道具無いですね・・・」
「安心してちょうだい。あそこにあるから」
「あそこ・・・・・・」
指を指された方向を見てみても、道具なんて一切見つからない。
ただ、ゴミが続くだけ・・・ゴミの山、どうする。
「それじゃ、わたしそこのソファでやることがあるからよろしくね」
「わかりました」
行った。秋さんがソファに向かっていった。
「探しますか」
指差されたところをゴミを掻き分け道具を探す。
「みつからねー」
十分後
「いったいどこにあるんだ」
三十分後
「くそー、・・ゲホォ・・ゲホッ、ゲホゲホッ・・・くそー、みつかんねーよ」
五十分後
「あった、・・・この箱の中だな」
やっとの思いで掃除道具入れを見つける。
その中には、ゴミ袋が百袋ぐらい。多い。
マスクに、手袋。
基本的な道具が盛りだくさんだ。
「まずは、ゴミ処理からか・・・最初はここらいったいだな」
なにげに部屋全体がやけに広い。
逃げ出す理由は今のところ見つからない。
一日ゴミ掃除で五万なら少しぐらいの労働軽いな。
一時間後、時刻は午後六時を回った。
ゴミ袋三十袋くらい片付けたが・・・一応に減らない。
「逆に増えてね?」
さて、俺の後ろにはゴミ袋の山・・・これの処分が先だな。
「秋さん、ゴミ捨てたいんすけど・・・どこらへんですかね?」
って、これでわかるのか?
「えーと、どこら辺って・・・ビルの下の向かい側にあるわよ」
「はーい、ありがとうございます」
さて、中身が今にもはちきれんばかりのゴミ袋が三十袋。
ゴミ置き場はビルの向かい側。
このビルに入るのに階段下りて狭い路地をすこし通らねばいけない。
三袋づつもって行こう。

「くそぅ、つっかかりやがる・・・ぬけろー」
ぬけた、あとはゴミ置き場にっと・・・これで六袋。
このペースであと五回。いける。
「よいっしょっと・・・おわったー」
後の四回は楽に終わった。
「このペースで残り三回くらいで今日は帰らせてもらおう」
二回目が終了。
さらにラストの一回も終了。
「秋さん・・・今日はこのへんで帰ります・・・・って反応なし?」
俺は秋さんのほうに向かってみることにした。

「・・・・・・」
「寝てる・・?」
秋さんに近づきほっぺを軽くつつく。
「起きない・・反応なし、寝てるな・・・それなら・・・・・・・・・・よしっと、じゃお疲れ様でした秋さん」
紙に、軽く掃除をしておいたことと金は一ヶ月まとめて振り込んでもらうようにしておいてと書いておいた。
「これで一応大丈夫か・・・弁当もおいといたし」
俺は紙と一緒にコンビ二弁当を置いといた。
食べてくれれば幸いかな・・・なんて。
「しかし・・・あのゴミ屋敷はどうにかしなければいけないな、本当に至難の業だ」

     

バイトをして帰ったら晩飯がないことに気づく俺。
今から作るのも面倒だし何より、買ったほうが安いしな。
コンビニに直行だぜ。

「な・・・な・・なぜ?弁当が一つもない・・・それにおにぎりにパンまでもが・・・まだ九時だぞ!くそっ」
どうする?こんなことがあっていいのかコンビニに弁当が一つもなくて・・・それにパンにおにぎりまで・・・。
「とほほほ・・・どうしたもんかな・・・探すしかないか・・・はぁー」
コンビニを出てもう一つ最寄のコンビニに。
「なぜだ・・・なぜない・・・おぉー神よ、これは一体何なのですか・・・教えてくださいませ」
しかし、神は非情だ。弁当の補給すらこない。
「もう一つ行くか」
そうして何件も回った。
余談だが、ここでスーパーでも行けばいいのにコンビニ周りをした俺はバカだと後で気づく。
今は関係ないが。
どんどん都心に近づいていく。
そんなところで秋さんに出会った。
しかもバイトであったときとはまるで雰囲気が違った。
バイトのときとは違いまさにできる女。キャリアウーマン?みたいな感じ。
格好も黒スーツにコートだ。
声でも一応かけておこう。書置きだけでは失礼だしな。
雇われてる身だし。
「あのー、秋さん?」
「ん?はいどなたかしら・・・あら龍刀君」
「どうも、あと龍刀じゃなくてリュウって呼んで下さい」
「そう、どうしたのリュウ君?」
「はい、実は・・・・・」
俺は事情を説明した。
つーか状況説明とか書くのめんどくせーとかは決死って思ってはいない。
「そうだったの・・・・」
「はい、」
腹の音がなる。
「あら」
「はははははは・・・はぁー」
「これから一緒にご飯でも食べにいかないかしら?」
「ご飯ですか・・・でも金が・・・」
「お金の心配はしなくてもいいわよ、奢りでいいわ」
「そんな・・・いいですよ」
「ふふっ、子供が遠慮しないのよ・・・さぁいきましょう」
「あ、秋さん」
秋さんに無理やり腕を引っ張られれる。

着いた場所はというと・・・・・ここはどこ?
めちゃくちゃ豪華な内装。そしてどこかは分からないビルの上。
俺以外の客は全員、秋さんもちゃんとした高そうな感じの服を着てしっかりときまっている。
「なんですか、ここ」
「ここはたまに食べに来るお店なのよ」
「たまにこんな高そうな店に来るんですか?」
「高い?そんなことはないわよ、ふふっ」
秋さんって一体何者ーーーーー?
なに、この店どう見ても高いでしょ。
こんなところ俺なんて一回もきたことないよってことはないけど絶対高いよー・・・。
「いらっしゃいませ、古代様。どうぞこちらへ・・・夜景の見えるお部屋をご用意しました」
「ありがとう・・・さ、いきましょうリュウ君」
「あ、はい。秋さん」

なんか、個室に来た・・・綺麗な都会の夜景つき。
いったい全体どういうこと・・・秋さん何者ですかーーー。
心の叫び、一旦終了。
「何食べる?」
「え、えーと・・・どれ食べればいいんでしょうか?」
「それなら、私と同じの食べる?」
「あ、・・・はい、そうしてくれれば」
「わかったわ、ちょっといいかしら」
秋さんが呼ぶとすぐに誰かが入ってきた。
「はい、ご注文おきまりでしょうか?」
「料理はいつもどうりコックのおすすめでお願い、飲み物は彼にはジュースを。私はワインでお願い」
「かしこまりました。少々お待ちください」
コースって何ー・・・コースって・・・フル?みたいなやつですかっ。
あぁ、だんだん混乱してきたぞ。秋さんって何の仕事してるんだー。
そうか、聞けばいいのか。
「あの、秋さんってどんな仕事をしているんですか?」
「あら、突然どうしたのかしら?」
「いえ、気になったもので」
「そうね・・・な・い・しょって事でどうかしら?」
「内緒ですか・・・内緒・・」
「納得できないかしら?」
「いえ、別にかまいませんよ。」
「ふふっ、そう」
ドアがノックされた。
料理が運び込まれてきた。
テーブルに順番に並べられる。
見たこともない料理ばっかり。
しいていうならテレビの高級料理店の料理にこんなのあったかなーみたいなのばっかり。
「さ、食べましょう」
「・・・・・!は、はい」
一つ一つ食べていく・・・。
庶民には分からぬ味だが、とにかくうまい。
いつもならパパッと食べてしまうが・・・ここではそんなまねできない。
お行儀良く食べなければ。
「おいしいいですね、秋さん」
「そうね、これも食べてみてちょうだい・・はい、あーん」
「いいんですか?・・・それでは、あーん・・・・おぉ、うまい」
「ふふっ、そうね。前にもこれは食べたの。おいしかったからあなたにもね」
「ありがとうございます」
しかし、見たこともない料理ばっかり。
何がなんだかわからん。
これは一体何?見たいな料理ばっかり。
ばっかり、言ってばっかり。
自分で言っていてさむい。
そこからは、他愛もない世間話なんだけどちょくちょく意味の分からない話が秋さんから聞こえてくる。
そこは流す。とにかく流す。
「きょうはおいしい料理ありがとうございます。それに奢ってもらって」
「いいのよ。そうだ、バイトは明後日にまた来て頂戴」
「わかりました。それじゃ、ありがとうございました。さよなら」
「さようなら」
俺は手を振って家に帰る。
「とにかく秋さんって何者?そこだけが無性に気になる」
家に着くとシャワーあびて後は寝るだけ。
俺は必ずいつも同じ時間に寝る。0時ピッタリに。
テレビではいつも同じ時間に起きるのがいいらしいが。

それから一週間はとくには変わったことはなくバイトをして学校いってそれだけだった。
あいかわらず、ゴミは減らないが。
笹野が学校で急に話かけてきた。
「ねぇ、ちょっといいかしら」
後ろから突然の声。後ろ・・・ってまさか。
「笹野?どうした?」
「この前の続きよ」
「このまえ?」
はて、この前とは一体何なのか・・・思いだせん。
「まさか、覚えてないなんてことはないわよね?」
「覚えてねーわ」
「・・・・・」
「怒ってらっしゃる?」
「もう、いいわ。覚えてないならこの話はなしね」
「あー、ちょっと待って・・・今、思い出すから」
話?いつ話した。いつだ・・・いつのことだ。
思い出せー、俺。
はっ、そうか・・・あの時話そうとしていたことか?
「あのー、五月始まってすぐの放課後の続きだよな?ほら、俺が笹野にスネを蹴られたときの」
「そのとうりよ。よく、覚えてたわね」
「まぁな、」
いやー、よかった。首の皮一枚ってところか。
いや、三枚か。
「で、続きってなんだよ」
「放課後でいいわ」
「って、なんだよ・・・まったく」

「放課後になったぞ。話ってなに?」
「偉そうね、」
「え、偉そうではないです。はい」
「行くわよ、」
「は、行く?」
笹野に連れられどこかに行くことになってしまった。
道中見覚えのある場所を通り・・・ついた場所が。
「ここか」
「えぇ、ここよ」
ゲーセンだ。一ヶ月前くらいに行ったゲーセンだ。
「でも、なぜまたここに?」
「負けっぱなしは許せないからよ」
「あぁ、そうですか」
「さ、やるわよ」
最初は前と同じシューティングだ。
ここは俺があっさりと勝利。
「なんでよ、練習したのに」
「練習したんだ。俺、結構これ苦手なんだよ。ゲーセンのシューティング」
「苦手ですって・・・。ふんっ、もう一回よ」
それからもう一回やった。俺の圧勝。
もう一度と笹野が言い出しやがった。
それから何度やっても俺が勝ち。
最後にもう一回と言ってきたから最後だからばれない様にわざと負けようと思ったけどやっぱり圧勝。
「イラつくわね、次よ」
「次って・・・」
次はレースゲームのようだ。
俺の一応得意としているゲームだ。ゲーセン限定だけど。
一応得意って事だから圧勝。
距離をあけての圧勝。
俺が住んでたところはゲーセンなんて一つか二つしかない。
モールの中にあるやつだ。
種類もないし金もない。ゲーセンなってほとんど行ったことないんだよね、実は。
これ言ったら、殺されるな。
「次、いくわよ」
「って、おい。待てっつーの」
それ以降あいつの奢りでどんどんゲームをしていった。
百円をでっかい袋から一枚一枚取り出していた。
何円持ってきてんだ。
「おい、金は大丈夫なのかよ」
「心配無用よ。頼んでこの袋に百円玉作ってきたから」
「そうか・・・」
最終的にクレーンゲームで最後の勝負になった。
「で、どうやって勝敗を決めるわけ?」
「簡単よ、何回目でこれを取れるかよ」
「あー、そゆこと」
一回目、笹野の挑戦
人形を掴む・・上に持ち上げる・・・移動。
落ちる、入る、出る。
「やったわね、一回で人形をとったわ。次は龍刀、あなたよ」
な、なにーーー。
一発だと・・・おれはこの前はカッコつけてまぐれで取っただけなのに。
終わりか・・・どうにでもなれ。
「んじゃ、いきます」
百円投入。結果は取れず、負け。
当たり前。
クレーンゲームは一番苦手だからさ。
「負けだよ」
「本気だしたの?」
「だしましたとも」
「嘘じゃないわよね?この前のはなんなのかしら?」
「この前のはまぐれだよ、見栄張ってカッコつけただけ」
「まぁ、いいわ。それじゃそろそろ帰りましょう」
「へいへい、帰ります帰ります」
結構ゲーセンにいたな・・・二時間くらいか、?
ゲーセンを出たところで笹野が待っていた。
「あれ、車まち?」
「なんのことを言ってるの?行くわよ」
「行くってどこに!?」
笹野が駅に向かって歩き出す。
どこに行くのやら、ついて行くしかないか。


       

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Neetsha