Neetel Inside ニートノベル
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魔法使いは子作りの夢を見るか?
【5月5日 午前11時02分】

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【5月5日 午前11時02分】


 拓真は玄関のドアの前で泣いていた。彼が朝起きて新聞を取りに玄関へ向かうと、ポストには新聞の他に魔法使い証明書が届いていた。これは運転免許証と似たようなもので、魔法使いはこれを肌身離さず持ち歩いていなければならない。拓真は静かにそれを財布にしまって、小刻みに震えながら廊下にうずくまって泣いていた。



 ―魔法使いは、差別の対象である。成人した時点で、まだその人間が童貞であると判断されると、国が問答無用に魔法使いの称号を与えてくれる。魔法使いにはまともな就職先もなく、世間の風当たりが強い。その為、成人が近い未だ童貞の男性がこぞって童貞を捨てようと、この東京では毎日のようにとんでもない数の強姦事件が発生している。調べによると、都内では夜、女性が一人で出歩くと強姦事件遭遇率90%を超えるらしい。
 しかも魔法使いとは名ばかりで基本的にはまともな魔法が使えない。魔法使いは主に体内の「童貞力」を体の外へ発生させる事で魔法を使うのだが「童貞力」という名称から想像が容易にできるように、基本的な魔法のひとつに「神風を吹かせて女の子のスカートをめくれあがらせる魔法」がある。微風なので他の用途には使えない。童貞力が高い魔法使いは「女の子を吸い寄せる磁石のようなものを発現させ、その磁石に吸い寄せられる女の子を見て楽しむ魔法」など、すこし周りに自慢できるような魔法が使えるが、加えてこちらの魔法も磁力が微弱なので漫画のようにはいかない。非モテを極めし者、それが魔法使いである。

       

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