Neetel Inside ニートノベル
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もみてぃっく
S05-1 見てみぬ振りをして

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「ナギサと言います。バイトをすること自体が始めてなので、何かと迷惑をかけると思いますが、みなさん、よろしくお願いします!」
 休日ということもあり、開店前に店に入って今日入っているスタッフの皆さんに軽く挨拶をし、俺のバイト生活は始まった。
 ネコミミメイドカフェということもあってか、俺以外のスタッフ全員が女性で、男一人の俺は何とも言えない疎外感を感じつつも、初めてのハーレム的環境に両手がウズウズする……我慢だ、俺!
「っていうことで、新人のナギサくんです。男の子です! さすがにメイド服を着てもらうわけにはいかないので、裏方として頑張ってもらいます」
 とサヤさんが俺の補足をしてくれた。
「よろしくー」
「よろしくねー!」
 と軽く挨拶をしてくれるネコミミメイドさん達。
 なんだろうこれ、お店だと「お帰りなさいませご主人様」とか言ってるはずなのに、裏に入るとやっぱり普通の女の子達なんだなあ。
 そんな優しい視線の中、一人だけ、殺意を込めた視線を俺に送りつけてくるネコミミメイドちゃんが一人。
「よろしく……」
 とふてぶてしく言う、ネコミミメイド服を着たミカン。
 今日から俺に胸を揉まれることになっている、この同級生はどういう気持ちなんだろうか。
「……こちらこそ、よろしく頼む」

 裏方と言ってもやることは意外と簡単だった。
 下準備ができている食材を簡単に炒めるだけ、またはレシピに書いてある盛り付け通りに盛り付けるだけ。
 正直言って、かなり楽な仕事だった。表に出て客のゴキゲンを取るわけでもないし。
 キッチンには俺ともう一人、ネコミミメイド服じゃなく、普通のコックの服を着た女の人が居た。
 サヤさん曰く、あの人は無口だから、相手から喋りかけられるまで待ったほうがいいよ。と言われたので、俺から喋りかけることもなく、ただ重苦しいキッチンで二人で作業をこなした。
「ナギサくん!」
 と物陰に隠れて、右手でおいでおいでをするサヤさん。
「あ、はい?」
「ちょっとちょっと」
 呼ばれるがまま、俺は、サヤさんの方に行く。
「後五分ほどしたら休憩室に来てくれる?」
「え、さっき休憩したばっかりなんですけど?」
「いいからーいいからー。分かった?」
「んでも……さっき休憩したばっかりですし……もう一人のキッチンさんにも悪いですし」
「あー、大丈夫よ。彼女は」
「え?」
「あなたが来るまで休憩なしで一人でキッチンやってた人だし、あ、そうだ!」
 サヤさんは両手をポンと叩き合わせ。
「そんなに遠慮するなら、店長命令ってことで。まぁ、待ってるからねー」
 とさわやかな笑顔のまま、ホールへ戻るサヤさん。
 店長命令なら仕方がないな。と自分に言い聞かせ、ある程度仕事をし、時間が来たので。
「店長に休憩室に来いって言われるので……」
 と申し訳なさそうにキッチンさんに言い残し、俺は休憩室へと向かった。

 ドアノックをし、休憩室にドアを開けると、そこにはブラジャー姿のミカンが。
「え……えっ!?」
 と顔を真っ赤にして驚くミカンは新鮮だが、いつも見ているあのふてぶてしい顔が俺の脳裏うお?
「……な、なんで、あん、あんたが、え?」
「ごめん!」
 体の向きを百八十度回転させるが、時すでに遅し。俺の脳にはさっきのブラジャーが焼き付いちゃってるわけであってですね、あー、もうなにこの状況!
「サヤさん! どういうことですかこれ!」
 と休憩室に居ると思われるサヤさんに声をかけるが、帰ってきたのはミカンの罵声だけで、どうやらサヤさんはそこには居ない……ようだ。
「なんななん、なんであんたがああ? サヤさんが、が、あああー!」
「と、とりあえず服を着ないか?」
「あああああああああー見られたぁ……イケメンにも見られたこと無いのに……」
 あ、そういえばコイツ、イケメンの事が気になってたんだっけな……それでタカオカさんのこと虐めてたんだっけ……。
「……どうしよう……どうしよ……」
 と涙声のミカン。
 どうしようはこっちのセリフだっつーの。でも、不良不登校児っても、女の子だしな……。
 俺は振り向き、ブラジャー姿のまましゃがみ込むミカンのそばに近づいて。
「ごめんな……」
 と言いながら後ろに回り込み、乳を揉んだ。
 お世辞にも大きいとは言えないミカンの胸。断崖絶壁にちょこんと何かが膨れているような胸を揉むが、正直なところ、小さすぎて揉んでいる感覚がない。ブラジャーを揉んでいるという方が正しいのかもしれない。
「な、なにすんだよ!」
 と俺に胸を揉まれながら、俺のことを睨みつけるミカン。
「だって……この間……言ってたじゃないか。明後日まで待ってって。だから待ったわけですが、それでもってサヤさんにはあの時すでに揉んでいいって了承貰っててですね、しかも、そんなブラジャー的な姿で登場されちゃうと、もう俺の血が黙ってないわけでですね」
 ハッキリ言おう、俺は最低だ。男の性と俺の中に通う血に、俺という意識は負け、ミカンの乳を揉んでしまったのだからな。
 ミヤノは俺にこういった。
『強姦魔だよ』
 俺の心にコレほど突き刺さった言葉は、後にも先にも無いだろう。無自覚なる犯罪者、それが俺だ。
 その無自覚なる犯罪をしてまでも、俺は俺の嫁を探さなければならない。
 ――正直、もう分けがわからん、俺はなにをしたいのだ? 
「……ナギサくんやるねぇ!」
 声の方に顔をやると、ドアの前で、俺とミカンのアラレもない姿を見て口元を緩ませるサヤさんが立っていた。
「こ、これは!」
 と慌てて手をミカンの胸から離す。
「大丈夫だよ、ナギサくん」
 この雰囲気、あの時のサヤさんと同じだ。何かを潰すような、でも威圧的じゃなく恐怖的と言うべきなのだろうか。いつもの優しいサヤさんとは百八十度違う、怖いサヤさん。
「もっと揉んでも、ミカンはナギサくんのこと殴ったりしないし、脅したりもしないよ?」
 ドアを静かに閉め、ゆっくり俺の前まで歩いてくるサヤさん。
「だたねぇ、気持よくさせようって考えないとダメだよ、ナギサくん」
 グッと顔を俺の顔に近づかせて。
「分かった?」
「……わかりました」
「分かったならよろし!」
 といつものサヤさんに戻ったサヤさん。でも、違う、何かが違う。いつもの雰囲気を予想いながらも影にはあの太龍の雰囲気を漂わせている。
「ところで、ミカンー」
「……は、はい」
 と死んだ魚のような目で言うミカン。
「パットはちゃんと取ったの?」
「と、とりました……」
 なるほど、どうやら俺は、パットをパージ中のミカンに遭遇してしまったということか。
「よし、なら始めましょ!」
 サヤさんはポンと手を鳴らして。
「モミテクの修業を!」

       

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