Neetel Inside 文芸新都
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新都社作家の後ろで爆発が起こった企画
ある戦闘員の嘆き/嶋田祥介

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 壁向こうから爆発音が響き渡る。
 今度は、誰が爆風に巻き込まれて命を落としたのだろうか…だが、そんな事をのんびり考えている余裕はない。油断すると次は自分が餌食になる番だ。
 如何に相手に悟られずに攻撃を与えられるか、如何に相手の攻撃を避け次に備えるか。
 至極単純な話だろうが、実際に戦場に立つと“狩る興奮”より“狩られる恐怖”が先走って思う様に物事を進められなくなってしまう。
 前回の戦闘だってそうだ。
 生存率を高める為に、南西の方角に構えていた敵対者に思い切って共闘作戦を申し込んだ。彼は散々悩んだ挙句、自分の申し出に応じてくれた。とはいえ、元は敵対者だ。いつ寝首を掻かれるか気が気ではなかった。それは彼も同じだったのだろう、互いがなるべく相手の背後を取ろうと必死になって戦闘どころではなかった。
 もしかしたら、一番厄介な敵はこの男なのか…?
 そんな恐怖に体を支配されかかった時、自分の背後で彼は他の敵対者と相打ちで命を落とすという、何とも皮肉めいた結果となった。
 あれから二十分、新たな戦場で孤独に戦う不安と安心感の矛盾に踊らされている自分がいる。
 十字路を横切る際は大袈裟な程注意を払うが、背後の恐怖がない分まだ楽だ。
 敵対者は三人。
 爆音がそこかしこから響き渡るせいで、何人生存して何人が命を落としているのか検討もつかない。それでも、自分が最後迄生き残る為に敵が襲撃しそうな場所を予想して爆弾を設置する。
 この通路は、恐らく敵が素早く進軍してくるポイントとしてはうってつけの場所だろう。だったら、一歩下がって目立たない場所に設置をすれば通り過ぎる頃合にドカン! だ。
 一つ目の爆弾は、気付かれてもいい様にあえて囮として設置しよう。ただ、もうひとつを時間差爆破用に設置しておけば、最初の爆風を回避して油断した所を仕留められる。
…よし、これで設置は完了だ。後は、このまま下がってやり過ごせば──何て事だ! この先は行き止まりじゃないか!
 何と言う失態。
 設置した爆弾の規模が大きすぎて、通り抜ける事は不可能だ。しかし、背後は壁に遮られて身動きが取れない…油断したのは、他ならぬ自分じゃないか!
 余りの悔しさに、思わず天を見上げてしまう。はるか上空に掲げられたカメラから、自分を指示する男は同じ様に悔しさで声を上げているに違いない。
 だが、これだけは言わせてもらうぞ。

「お前の操作ミスが原因で自爆死だバーカ!」

       

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