Neetel Inside ニートノベル
表紙

M.A.D
まとめて読む

見開き   最大化      

 可愛い女の子ってどういう子のことを言うのだろうか?
 笑った顔、ふとしたしぐさ、性格、容姿、など様々だと思う。
 僕の友人は、ちょっとくらい普通の人とは違う子も可愛いと言っていたことを思い出した。

 ――彼女の手が大きく振り下ろされた後、僕の目に鮮血が映る。
「な、何を‥‥‥」
 木下 学(きのしたまなぶ)は目の前で起こったありえない出来事に恐怖を感じていた。
「えへへ、大丈夫ですよ」
 彼女の手に握られている血まみれのカッターがチキチキ、と音を立てる。彼女はこの状況で明るい笑顔をこちらに向けている。
「は、早く手当てをしないと」
「あはは、これくらいじゃ死なないですよ。それに――」
 僕は驚くほど冷静に言葉を発した。だが、彼女が遮る。いまだに腕から溢れ、滴り落ちる血を見つめ無邪気な顔を浮かべる。ちろっと可愛らしく舌を出しゆっくりと傷口を舐める。
「それに、私、このくらいのことじゃ死ねませんから」
 血を舐めとって見せた腕にはカッターの鋭い傷跡がない。赤い血で染まった腕、指先から流れ床へと落ちる血は紛れもない本物の血。彼女の血だったはず。
「さて」
 彼女は、ちょっと普通の人と違うのではなく、
「これを見てしまった木下くんには」
 かなり‥‥‥ばかげてしまう(MADな)ほどに普通の人とは違うのだ。
「明日からあたしの手伝いをしてもらいましょう」
 そう言った彼女の満面の笑みは、心音を上げてしまうほど可愛かった。

       

表紙

オルカ 先生に励ましのお便りを送ろう!!

〒みんなの感想を読む

Tweet

Neetsha