Neetel Inside ニートノベル
表紙

ジュール(短編)
去来/後悔

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目を閉じているのに、瞼越しに光が当たって眩しい。
少しだけ瞼を開けてみると、カーテンの端からわずかに
光が入り込み、丁度目の上を跨いでいる事が分かった。

眩しさから逃れるため布団を頭から被って二度寝を始める。
今日も遅刻か……なんて思いながらの、この二度寝がクセになるわけだが、
そう何度も仕事に遅れるわけにもいかない……起きるか。

ノソノソと布団から這い出て、白衣に着替えようとするが、眠気のせいで
なかなかスムーズに着替えることができない。

どうにかこうにか白衣に袖を通すと、土埃を立てながら人の群れが
目の前を次々と走り去っていった。

その中で、私は必死になって彼女を探している。
だが、人の群れが私を端へ端へと追いやる。

何から逃げているのかも分かっていないのか、全員、その何かを確認しようと
後ろを時々振り向きながら走っている。

突然曲がり角から飛び出てきた男とぶつかり、衝撃で弾き飛ばされる。
乾いた砂が頬の表面を削り取って行くのが分かった。

だが、痛みを感じている暇などない。

すぐに地面に手をついて立ち上がろうとするが、今度は足がもつれて
うまく立ち上がれない……さっきから散々だ。

やっと立ち上がれたと思ったその瞬間、大地を揺らすような地鳴りがし、
空が黒く染まった。

そして、彼女の声が聞こえた。

「ごめんね」

彼女の顔を見ようとして目を凝らすが、辺りは既に闇に染まっていた。

何が起きているのか。
これから何が起きるのか。

分からない。

分からないが……ああ、これで終わりなのかと、漠然とした寂しさだけが
こみ上げてきた。

帰還 - カウント:B9A171EFF8

     

蒸発した生体部分が煙となって立ち上っていき、さっきまで式機だったものは、
指などの先端部分を除き全て灰となって床に広がった。

「随分とあっけなかったな……。」

交戦報告を行うため、端末を取り出し、会社へ連絡を取ろうと画面を操作した
時、デジャヴ……既知感に捕らわれた。

次いで、凄まじい眩暈が起こる。

初めての経験に戸惑いながらも、脳の生体部分に何か異常があるように感じた
俺は、太腿にある収納部から医療用キットを取り出し、検査用ナノマシンが
入ったタブレットを一粒、口から取り込んだ。

「まさかハッキングを受けているのか……?」

すぐに端末に情報が送られてきた。

”全身検知……異常なし
 情報系統……異常なし”

「そんな……バカな……。」

眩暈は今も続いている。
ということは何かしらの問題が発生していて、どこかがおかしくなっている
としか思えな……い……?

帰還命令 - 23312/4/41 12:43

ああ……なんだよ、今回はこれで終わりだったのか。

---おつかれさま

サンキュ。
今、戻るよ。

---ごめんね

いいさ。
でも、この次は、こんなのは勘弁しろよ。

帰還 - カウント:B9A161EFF9

       

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