誰の声も無の向こう
ゲルベリウス・オンライン!
「ここはどこだ・・・・?」
俺は目を覚ました。ごしごしと目をこする。
俺は眠っていたはずだたのに・・・
草原から身を起こして辺りを見回す
風が吹いていて。
俺は鎧を身に着けていて。
あたりにはチラホラとモンスターの影。
「あーやばい敵だ」
俺は剣を振ってモンスターたちから距離を取って森へ逃げ込んだ
「あぶない目にあうところだった」
まだ十七の身空で死ぬわけにはいかない。
俺はゲルベリウスの剣(攻撃力800)を抜いてあたりを警戒した。
「むう、このあたりには死神モンスターがおおいらしいな」
というよりも、どのモンスターも俺がやっているオンラインゲーム『ゲルベリウス・オンライン』に出てくるキャラクターではないか!?
俺はどうやらゲームの中にいるらしい。
「負けるわけにはいかないだ。えいえい」
俺のスキル『一刀流』が火を噴いた。
「くっ、眠気が・・・スリープの魔法か」
「苦戦しているようね」
「おまえは最強ギルドのラーリィ」
「私もこのゲームに閉じ込められてしまったの」
「それはタイヘンだ。がんばって脱出しよう」
「そうね。ひとまずはギルドにいきましょう。ここから南西の方角よ」
「ギルドメンバーは?」
「全滅したわ。急に赤い竜に襲われて・・・!? みて、あれよ!」
見上げると赤い竜がカギ爪をおったてて急降下爆撃を仕掛けてくるところだった
「あぶない、ラーリイ!」
「いやーっ! こないでーっ! しにたくなああああいいいいいいい」
「くっそお、これがオンラインゲームの弊害なのかああああああああ」
俺はスキル『鉄砲』で竜の羽を撃った。竜が不時着してgrrrrrと俺らを睨んだ
「あのやろう、やるきだぜ」
「どうするの」
「逃げるしかないな」
だが結界が張られていて逃げられそうになかった。
「なんてこった。こんなんじゃ困っちゃうぜ」
「眠気がひどくなってきたわ」
「ああ。まあでも大丈夫だろう。あと数秒もすれば回復する」
そのとおりになった
竜が俺たちを攻撃した。俺の剣が折れた
絶体絶命のピンチ
だが俺は負けなかった。折れた剣を投げてがんばった
「くそー」
「負けないで、勇者さん」
「わかったああああ」
俺の頑張りによって竜のダメージがタイヘンなことになってきた
「よしもうひといきだ」
俺が折れた剣を掲げるとそこで何かいやなことがあったらしくて剣が進まなかった。
「なんだろう」
結界のようだ。
「負けてられるかああああああ」
俺は結界をぶち破った
だが今度は竜の鋼鉄の肌に足止めを食ってしまった
「もうだめだ。おしまいだあ」
「諦めたらだめだ」
「その声は」
「俺たちはギルド『インデリックアビスティ』のメンバだ」
「そうか助けてくれるんだな」
「お安い誤用さ」
「やったああああああ」
俺たちは一生懸命闘った。
そのうちに仲間が増えてきたので地盤が沈下してみんな落ちてしまった
「うわあああああ」
「人数の多さがあだになったか」
「見ろ、地下にはたくさんの竜がいるぞ」
「巣だ」
「うわあああああたすけてえええ」
中級魔法があちこちでドンパチしていたが俺は逃げることにした。味方を盾にして脱出路を探す
「逃げるの!? 最低!!!」
「うるせーばか」
俺はラーリィを殴って黙らせた。
「ほらいけよ盾になりな」
「きゃーっ」
ラーリィは竜の一撃を喰らってパリンと割れてしまった。さらばラーリィ。
「デスゲームの鉄則は自分を大事にすることだぜ!」
俺は脱出して洞窟を埋めた。
「これで安心だ」
「それはどうかな」
「なに!? おまえだれだ!!!!!」
「俺はラーリィの兄貴、ランバ! 妹のかたきいいいいいい」
ランバの一撃が俺を打った。
「くそいてええええええええええ」
「妹の痛みを思い知れ」
「いやです」
「いやか・・・」
ランバはちょっとくじけかけたが気を取り直していた。
「ええい、喰らえ俺の一撃!」
「そこまでして妹のかたきがとりたいか。復習はよくないぞ」
「うるさい、あいつは義妹だったんだ」
「義妹じゃしょうがねえな」
俺たちは烈しく打ち合った。
「プリズム・レイ・ソード・アタァーック!」
俺の虹色の剣の一撃がランバを痛めつけた。
「くそ、攻撃力3000の武器を持ち出すなんて」
「武器じゃない、呪文さ」
「そうか、そういうことか。最近流行だものな、そういうの・・・」
「実装されたのは二ヶ月前だ」
「オンラインゲームはむずかしいぜ」
「そうだな」
ランバは粉々になった。
俺はランバが落としていったアイテム『欠けた聖杯』を使ってゲームシステムにアクセスした。
ゲームマスターがたってる。俺はそいつをぶん殴った。
「ここから出せ」
「うひーゆるしてください」
「金もよこせ」
「わかりました、このゲームで荒稼ぎしたお金はすべてあなたの口座へお振込みします。もう一生遊んで暮らせますよ。ざっと50億ほどです」
俺はそのときのお金で島をかった。とてものんびりとした暮らしをした。本土ではまだ人間たちがごちょごちょやっていたようだが、俺にはもう関係ない。ネットもやめた。もうやらおんだのニュー速だのに踊らされる暮らしはまっぴらだ。あいつらは影も形もない存在なのだ。意見、という怪物だ。そんなものに踊らされてはいけないんだ。
俺はいま、島の豊かな土壌をいかして果物を育てている。それだけ食べていても生きていけるというすぐれものだ。50億はほとんど使ってないので、美少女を何人か買って島へ呼んだ。買うといっても口座証明を見せて「結婚しようぜ、一夫多妻で」と言っただけだ。彼女らはここでの暮らしを気に入り、対価として俺の世話をする。俺も彼女らにお金を払う。よきかなよきかな。これぞ平穏。これぞ結婚生活の究極形態。
女は顔か、金にしか頭を下げない。そうでない女は女ではないかって? そう、女じゃない。
人間だ。
ある意味で、もっとも苦しい道を選んだ、人間。
「完」