誰の声も無の向こう
トゥルーバトラー
俺は宿屋で眠っていた
どうやら疲れていたらしい
車が通り過ぎていく音がする
俺は起き上がった
朝食を食べよう
食堂に出るともうすでに食事が用意されていた。
サンドイッチとコーヒーだ ジャムもついている
とてもおいしそう
俺はそれを食べた
宿屋のおかみさんにありがとうを言う
預けてあった剣を返してもらう
森へいってクエストをこなさないと
俺はC級ハンターだから
C級なりの仕事があるのだ
楽な仕事を求めて俺は外へ出た
剣を振るといい音がした
森へ入る
魔物がたくさん出てきた
ばすんばすん 俺の剣が唸った
宝石がころころと落ちる やったあ お金がゲットだー
俺はどうも毒状態になったらしい しびれきのこを食べたからだ
参ったな 寒くなってきた 俺は木の根元に腰かけて体力を回復させた
使い魔を使役して周囲から敵を打倒する
俺のレベルならこのあたりで生きていくのは余裕なのだ
俺は自慢の剣技を振り回して魔物を倒しまくった
どんどん経験値が貯まっていく
それは人から見たらささやかかもしれない けど
俺にとっては大切な経験値なのだ
小さな魔物を倒して小さな町を守る
それだって 勇者じゃないけど 英雄にはなれないけど
大切な 俺に出来る 仕事だって 思うから
こんなところで 死ねない
俺は立ち上がる 毒キノコが予想外に効いている
頑張らないと
ふらつきながら草を踏みふみ歩き、かすむ目も頼らずに剣を振り回した
とにかく脱出しないと
そんなときにばかり妙なタイミングが発生する
俺の前に勇者一行があらわれた
俺はもうやだになった
勇者一行は俺をゾンビかなにかと勘違いして襲い掛かってきた
稲妻魔法を使ってくる勇者たち 俺は必死にそれを避けた
ちくしょう
俺はただのC級ハンターなのに
小さな町の小さな依頼を果たしにきただけなのに
そんなに勇者が偉いのか 魔王を倒せる強さがあれば
何をしたっていいっていうのか
俺の気持ちはどうなる・・・
なんとか一人倒した 勇者が怒っている
俺なんて身を寄せていたキャラバンが全滅したことだってあるのに
お前はいいよ 勇者だから
俺は違うもの・・・
カブト割りに振り落とした俺の剣が砕け散った
だが怯むわけにはいかない そのまま殴りかかる
俺の拳が勇者のほほにヒット
お前のせいだ
お前が全部悪いんだ
魔王のほうがマシだお前みたいなやつなんかより
俺はいやなんだ
もういやなんだ
お前らみたいな勇者一行が偉そうに小さな町の花々を踏み越えて行脚していく光景が、いやでいやで仕方ない
だから、ここで、世界を救うお前らを全滅させて
俺が世界を滅ぼす。
そのほうがいいのだ こんな世界
みんなで死のう そうしよう そのほうがいいよ みんな平等にさ
死の?
俺の隠しナイフが勇者の胸に突き立った
もう眠れ なんだその顔 もう眠れ
お前なんかが頑張るから話がこじれるんだ
もういいんだ もう誰も苦しまなくてよくなる 魔王が全部終わらせてくれる あっけなく
そうしよ ね もう冒険なんてしたってしょうがないよ
いいことなんて全然ないし
苦しいことばっかりだよ
楽しいのなんてまぐれだよ
そうだろ
そうなんだよ
俺はふらふらと森を超えていく
町へ戻って倒れこんだ俺をみんなが優しく出迎えてくれる
みんな 俺勝ったよ
俺勝ったんだよ・・・・