Neetel Inside ニートノベル
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誰の声も無の向こう
ゾン魔太郎

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 なんだって!? ゾンビがゾンビでゾン魔太郎!?
 俺は飛び起きた。布団を蹴っ飛ばして枕もとのマシンガンを手に取り、窓から銃口を差して外に機銃掃射をぶちまけた。
 ドガガガガガガガガガガ!!
 俺の才能による素晴らしい加速を得た弾丸が町をうよついているゾンビどもを蜂の巣にした。俺は風のように走って一階に下りて、転びつつ、外へ走り出た。柔らかいゾンビたちの肉を殴って木っ端微塵にし、タックルで全てを解決し、気持ちの悪い世の中に絶叫の断末魔をくれてやった。
 地獄へいけ!
 俺はゾンビたちを踏みにじった。ゾンビは弱者の成れの果てだ。つまりこいつらは間違っていたのだ。俺は正しい。だからゾンビになってない。オーケイ? イェイヒアレッツゴォ!
 俺は火炎ビンをばらまきまくった。開催される大火災展覧会。燃え尽きていくゾンビたち。俺は悪くない。お前らが悪い。俺は頑張ってる。お前らは頑張ってない。だから死ぬ。それヨロシ。うおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!
 マシンガンだ! マシンガンを撃っていればすべてが解決する!
 これ以上おれにどうしろというんだ! いやミナまで言うな、俺にはわかる、おまえらが間違っているのだと! 哀れなクズめ! 死ね死ね死ね死ね!
 俺はゾンビにはならない!!
 サンダルのまま走り出す。真昼間のゾンビストリートを駆け抜ける。生存者はいないようだ。安心してマシンガンが撃てる! 俺は、俺は負けない!
 ばるるるるるる
 俺のマシンガン捌きは華麗だった。踊るようなスナイピング。最高だ。最高の気分だ。俺は著しい破壊を演出しながら一歩二歩と転がり落ちる。坂道だ。俺はゴロゴロ転がった。あ~~~~~~~~~~れ~~~~~~~~~
 どすん! 俺は着地した。そのまま俺にのしかかろうとしていたゾンビたちを蜂の巣にする。粉々になれ! 俺を倒そうなどとは百億万年早いんだ! 肉片と化していくゾンビたち。所詮はその程度か。恥を知れ恥を。
 俺はよろめきながらまた走り出した。体力がしんどい。
 どかん! 雑貨屋の扉をぶち破って中に潜伏することにした。これで一安心だ!
 すると中には人型ロボットがあった。
 アポカリプス! アポカリプスじゃないか! 俺の愛機がどうしてこんなところに。まあいいか。
 俺はそれに乗り込んだ。モニターが青い光を放ち始める。
 いっけええええええええええええ
 アポカリプスを突進させて雑貨屋をぶち壊した。外ではゾンビたちが喚き散らしている。ははははははは。俺は機銃掃射でゾンビたちを皆壊しにした。どうだ! 俺は絶対的な強さを持っている。お前らゾンビとは違うんだ!
 ゾンビなんて。
 ゾンビなんて何もできないんだから、壊れるしかないのだ。
 俺に壊されるのが落ちなんだ。
 わかってくれ。
 クソゾンビ。
 俺は、最後までやらなきゃならない。
 生き延びねばならない。
 お前たちにはそれができない。ゾンビだから。
 だから、滅べ。
 俺の代わりに。
 俺が精一杯、お前らの分まで生きてやる!!!!!

「バーニング・ストライキング・ドーン・スピアー!!!!!!!!!!!」

 俺のアポカリプスから放たれた巨神兵のごとき神の鉄槌が俺の住んでいる町を消し炭にした。燃え盛る獄炎の中で俺の哄笑が響き渡る。どうだ、見たか、クソゾンビども! 俺がどれほど強いのか! 俺がどれほど正しいか! 見ていろ! すぐに俺はすべての世界を支配してやる! わはははははははは。
 俺は天空に向かって両手を伸ばした。

「落ちろ、太陽ーっ!」

 俺におそれをなした太陽はそのとおりにした。
 世界は終わった。

       

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