誰の声も無の向こう
エニシュティ
どすん! 俺は目を覚ました。なんて眠いんだ。ここはどこだ。
そうだ、ここは大陸の森のなかだ。俺は戦士で、冒険の途中なのだ。みんなどこにいったんだろう?
疲れ果てた俺は泉の水で深呼吸、これでいい、なにからなにまですかっとする感じ。これこそ旅の醍醐味だ。
魔物が出てきたからすぱっと倒した。これで路銀もゲットだ。問題はない。
俺は伝説の剣エニシュティを持ってる。それは護符にもなっていて、魔物を滅多に寄りつけない。近づかれたってこの切れ味ならばっちりだ。
そんな俺でも眠気には勝てない。参ったな。
「おいエルフ、金をくれ」
「いいよ」
小エルフから金をせびり、それを大事にしまう。他人の金でメシを喰うことほど美味いものはない。俺はとにかく町へいこうと思った。それが一番の不可欠だ。
のんびりと牧歌を聞きながら森を進む。
薄暗いダンジョンに風の音がする。今日は晴れだ。いい天気だ。木漏れ日がとても気持ちいい。
静かに暮らしたかった俺が冒険の旅だなんて。宿命とはいえ因果なものだ。
とりあえず町へ出たら宿で泊まる。それまで頑張ろう。