【ニコ生漂流記】
【ファイル2:ニコ生放浪記】
【記録:翔平】
初めて、ニコ生というものを体験した私は
他の放送も気になり,見てみることにした。
ニコニコ生放送にはタグというものがあり、
リアルの顔を晒していれば”顔出し”
アニメや声優、芸人の真似をしていれば”声真似”
ゲームを実況しながらリスナーと会話するのは”ゲーム実況”
といった具合にカテゴリ別に好みの放送を探せるようになっていた。
私がまず見た放送は、私はネトゲ廃人をやっていたので、
同じネトゲをやっている、生主がいることを知り
その放送をみた。それが私がはじめてみた”ゲーム実況”である。
もちろんアラートをまだ知らなかったので、
ゲーム内のパーティ募集広告で
「○○ダンジョンパーティ募集(配信中)」
という募集を出しているのを確認して、
放送をのぞいていた。
しかしその放送は、同じネットゲームをやっている人が
身内で絡んでいる程度で、特に面白くは無かったので。
見ることは少なかったが、
放送中に狩りに没頭している生主をゲーム内で殺したりして
その反応を見て楽しんだ。
(私は廃人であったためレベル差により、一方的に殺すことができた)
そんなことをしていると待ちに待った、
恭一郎氏の放送2回目を見ることとなった。
そのカテゴリは”凸待ち(とつまち)”と呼ばれていた。
その凸待ちがどういった内容の放送であるのかというと、
放送中の生主がスカイプというメッセンジャーツールを使い、
IDを教えることにより、リスナーと呼ばれる放送を聴いている人が
スカイプの通話機能で、放送に突撃するという内容の放送カテゴリである。
数々のネタを繰り広げる凸者達。
その中に気になった人物がいた。
それは自らもビデオ映像を恭一郎氏へと送り込み
自慢の持ちネタを披露するリスナー権、生主。
そう、”NEWブサイカーズ”である。
ネット世界に没頭していたためTVで元ネタを知らなかった私は
彼が行う「右ひじ左ひじ交互に見て」という
とあるお笑い芸人のネタをはじめて見て感動をした。
恭一郎氏はNBのライブ映像を自分の映像の隣に配置して、
裸のデブと裸の男が、シンクロしながら、
音楽に合わせ、右ひじと左ひじを交互に振りかざす、
その映像はこれまた非常にシュールであった。
他にもさまざまな凸があったのだが、
私はそれぞれの凸者にインパクトを受けた。
そして、凸が終わった後、恭一郎氏に気に入られれば、
生主は己のもつ放送チャンネルである”コミュニティ”を宣伝する
権利が与えられ、宣伝されたコミュニティに私は、次々に加入していった。
恭一郎氏に凸した生主のレベルはこれまた高く、
ゲームをただ延々と狩りを見せ付けられるネトゲの配信と違い。
カメラを見つめながら「目と目が合う瞬間好きだと気づいた~♪」
というBGMを流して笑いを誘うネタや、
エコー等のボイスエフェクトやカメラのエフェクトを巧みに使ったネタ、
顔にわさびやからしを塗りたくるようなTVでは放送禁止となる
お子様は絶対にまねをしてはいけない体を張ったネタなど
さまざまなものであった。
まさに、おもしろ人間達の動物園である。
次に出合ったカテゴリは、”カラオケ凸待ち”であった。
これは音声と音楽を相手に流せるステレオミキサーという
パソコンの機能を使って、カラオケを生主に聞かせる。凸待ちの派生カテゴリで
歌がうまい人から下手な人まで様々な凸があった。
中には実際のアーティストの声真似・物まねをしながら歌う猛者もいた。
そして恭一郎氏もカラオケ凸放送を行っていた。
しかし、凸するには条件があり、
ニコニコ動画の歌ってみたタグの動画でマイリストが100以上ないと
歌ってはいけないという条件であった
タイトルは
”マイリスト100人以上を持つ者のカラオケ凸待ち”
であった。マイリストというのはニコニコ動画でアップしている動画で
気に入ったものがあったらら、それをお気に入り登録する。
いわばインターネットブラウザのブックマーク機能である。
それを100人以上いる、つまりは人気のある歌ってみた動画である、
いわば、歌のうまい者やファンの多い凸者しか歌わないので、
マイクパフォーマンスや声質やネタも全て一級品以上であった。
中には生演奏をしながら凸してくるガチの歌ってみた勢もいた。
歌がうまいのでいつまできいても飽きることは無く、
恭一郎氏はさらにまず服を脱ぎ、
ボイスエフェクトや笑いを誘う踊りを踊りながら
女性凸者へセクハラまがいの合いの手の入れたりするため、弾幕効果も加わり、
普通にきくと良い曲であってもかなりカオスな映像となっており面白かった。
もちろん元曲の大ファンの中には、
”元曲を汚す行為はするな”といったアンチと呼ばれる意見もあったが、
凸者さんも恭一郎氏もそれをわきまえており、
”私みたいなのがこんな神曲を歌っているのを聞いて頂き、
お耳を拝借いたしました”
といったようにかなり律儀に対応している方が多かった。
(もちろん”嫌なら聞くなよ!”とアンチに反発する凸者もいたのだが)
そして、その中に私が一目置く女性生主が現れる。
名を明かすと問題があるので明かせないが、
その曲を歌っている声優さんが歌っているようにしか聞こえない
アニメ声と高いビブラート、そして高度なアドリブでの替え歌ネタ
それを聞き、”声真似”カテゴリの本気を見た。
すぐさまその女性生主のコミュニティに加入したのだが、
その生主の放送は見ることが出来なかった。
なぜならタイムシフトが残されていなかったからだ。
タイムシフトというのはプレミアム会員限定の特権で、
見逃した生放送を、ある程度過去の放送まで視聴することができる。
いわばビデオ録画を視聴できるシステムである。
このシステムの良いところは見逃した放送を見ることが出来るので、
過去にその生主がどのような放送を行い、どんな絡みや会話を
したのかを後から確認できたり、忙しく生放送を見れない時に
いつでも視聴可能である点だ。
しかし、生主がみずから、タイムシフトを残さない
設定にするとそれは不可能である。
なので私はそうしてもその女生主の放送を視聴するべく、
色々調べ上げ1つのツールに行き当たった。
そう、ニコ生アラートである。
このツールは放送がはじまったら、”放送がはじまりましたよ!”
とデスクトップにポップアップが表示されるため、
パソコンで別作業をしていても放送を瞬時に開くことが出来るのだ。
そして、その女生主の放送を無事に聞くことができた。
放送カテゴリは”声真似”である。
私は若干アニメオタクであったため、
その女生主がやっているアニメキャラクターがなにか
瞬時に分かった。しかもその声で歌を歌ったりするものなので
いわば人気の声優さんのカラオケを、
生で聞いているようなものである。
よく、アーティストが別のアーティストの曲を歌う
カバー版と呼ばれるバージョンがあるが、まさにそれだ。
私はすぐにその”声真似”カテゴリの虜になってしまい。
私の知っているキャラクターの声真似をしている方の
コミュニティを漁りまくった。
男性や、女性様々な声の生主がいたが、
そこであるキーワードを知ることとなった。
”囲い”である。
次回予告
ニコ生の女声真似、女性顔出しタグは囲いの巣窟と化していた。
だが、囲い達の暗黙の了解の中、
一人アクションを起こす者がいた。そう、ネットストーカーである。
次回、「リアルアタック」