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千夜読房
2012/06/06 二夜:天使の囀り/貴志 祐介

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2012・6・6 読了

天使の囀り (角川ホラー文庫) [文庫]

作者 貴志 祐介(きし ゆうすけ、男性、1959年 - )

文庫: 526ページ

出版社: 角川書店 (2000/12/10)

内容(「BOOK」データベースより)
北島早苗は、ホスピスで終末期医療に携わる精神科医。恋人で作家の高梨は、病的な死恐怖症だったが、新聞社主催のアマゾン調査隊に参加してからは、人格が異様な変容を見せ、あれほど怖れていた『死』に魅せられたように、自殺してしまう。さらに、調査隊の他のメンバーも、次々と異常な方法で自殺を遂げていることがわかる。アマゾンで、いったい何が起きたのか?高梨が死の直前に残した「天使の囀りが聞こえる」という言葉は、何を意味するのか?前人未到の恐怖が、あなたを襲う。

ISBN-10: 4041979056


・ピックアップ!

330P

「あがり症で、すぐ舞い上がって前後不覚の状態に陥ってしまう。過度の緊張に耐え切れず、そこから逃走するために無意識に負けを選んでしまう。不必要に悲観的になり、悪い予想ばかりが頭にちらついて、マイナスの自己暗示をかけてしまう。自分に完璧を求めすぎるため、わずかな失敗を犯しただけで嫌気がさしてしまう。こうした性格は特に日本人に多いと言われているものだが、一方ではうつ病や拒食症などにもなりやすい特徴だった。」




・かんそう と こうさつ

いま、まさに時代の要請を受ける男、貴志祐介。
いままで本当によく本を読んでこなかったなーって思ったので、アマゾンで物色した挙句、一昔前の話題作「天使の囀り」をてにとりました。
貴志祐介についてですが、だいぶん前に読んだ「新世界より」と、もっとだいぶんに読んだ「青の炎」ぐらいしか記憶のござらんので、「ん? 結構手広に展開してるけど、どういう作家なの?」という複雑な気持ちの中、読み進めた。そして話半ばで気づいた、ホラーだってことに。。
作者のバックボーンにあたるのか、三国志に寄った歴史観を下地に、現代科学・動物学・宗教・現代社会・コンピュータなど、莫大な読書と取材を下地にして作られた感がパネェよな! 難解な言い回しがその最も足るところだ。
内容について言及すると、条件反射的に体の産毛が逆立つような、生理的嫌悪を与える部分をちゃんと抑えていて素晴らしいよ。そして、物語のリアリティを高めるために上手に上手にロジックを積み重ねていく集中力に感嘆を漏らしたよ!
オタク少年に対しての嫌悪感さえ貴志の意図するところなのかはわからないけど、ゲームをプレイしている場面は、一見して冗長すぎる部分かもしれない。
個人的な感想として、「青の炎」の終盤コンビニ強盗の場面にしても、「天使の囀り」の依田との同衾の場面にしても、「この部分は必要かい? 話がうまく締まらないぜ」と思わせるのが残念なところだ。
新世界より(下)の終盤、地下での悪鬼との対峙でも感じたことだが、己の理解力が乏しいのは十分承知ではあるが、ブラジル線虫に犯された人々の表現が、どうにも解りづらい。文章の上ではこれが限界なのだろうか。
終盤においてホラー映画のようなスプラッタもなく、事務的に終わった感じもするが、世の中に問うメッセージ性を尊重したというのなら、合点もいく。


拙者は、今はおいといて、またぞろ話題作の「クリムゾンの迷宮」と「黒い家」も読まんとな。



おすすめど:不可
おもしろさ:可
ためになる:秀

       

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