Neetel Inside 文芸新都
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ポンチ短編集
女流武者 御剣桜華 第十三幕 怒れ竜五郎!!

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 竜五郎の活躍により、囚われていた村人を救い出した桜華たちは新たな仲間である雅沙羅と紅零を味方につけ、山奥の砦の上層へと進んでいた。
「伸朗がいる部屋はもうすぐそこだ!!皆のもの、気をつけるのだぞっ!」
桜華が仲間たちにそう言うと、全員は刀を構え伸朗の待つ部屋に突入する準備を始める。武器を構えた桜華たちは、一気に伸朗のいる部屋の前へと進む。
「どうやらここが奴のいる場所です。桜華殿、突入しますよ・・。」
竜五郎が小声で桜華にそう言うと、桜華が竜五郎に答える。
「ちょっと待て・・。これから私が扉に耳を当てて奴がいるか確かめてくる。確かめた後で突入したほうがよさそうだ。」
桜華がそう言った後、伸朗がいる部屋の扉に耳を当て、部屋の内部の様子を聞きはじめた。すると、数人の男の会話が聞こえてきた。
 「むむ・・。さきほど捕らえた村人を利用して、この砦を立派な城に立てるという計画はどうだ。村人を奴隷としてこきつかってやろうぞ。」
武士のような男が、伸朗らしき人物に話しかけている様子が桜華の耳に聞こえてきた。
「よし・・。今すぐにでも改築準備を始める。お前たちは地下牢に行き村人を外に出させ、働かせるのだ!!がははっ!この砦がどのような城になるのかが楽しみだ・・。」
伸朗らしきものが高笑いを浮かべながら武士にそう言うと、武士に地下牢に行ってくるように命じた。そのことを聞いていた桜華は、仲間たちにそう言う。
「いかん!!武士たちがこっちに来るぞ・・。この場は一旦隠れるのだ・・。」
桜華たちはひとまず部屋の影に隠れることにし、武士が部屋の外に出るのを待つ。すると部屋の中から3人の武士が地下牢に向かって歩いていくのが見えた。
 「伸朗様の命令だ。この砦を立派な城にするためにも、村人を奴隷として働かせなければならん。まずはこの辺の木を切り倒す作業に移ってもらおう。この辺の木はいい木材になるぞ・・。」
武士たちの会話を聞いていた桜華は、静かな声で仲間たちにそう言う。
「あの野郎・・。村人を捕らえた上にこの山奥の木々を切り倒すつもりだな・・。伸朗はなんとしても倒さなければならないな・・。」
武士たちが去ったのを見計らうと、桜華たちは一気に部屋の前へと戻り、再び突入の準備を始めた。

 刀を構え、突入の準備をすませた桜華たちは、部屋の扉を蹴破り、伸朗がいる部屋へと突入する。竜五郎は伸朗に刀を向け、威嚇する。
「伸朗よ、遅かったなっ!!お前らの武士が行く前に地下牢の村人は解放したぞ。伸朗、お前だけは許さないぞっ!」
竜五郎に刀を突きつけられている伸朗は、臆することなく刀を構え竜五郎に答える。
「ぐははっ!!あの村にはもう刀を振るう者はいないと思われたが、まさか隠れていたとはなぁ・・。お前らにはここで死んでもらうしかないな。」
伸朗は刀を鞘から抜き、桜華たちにそれを向ける。その行動に怒りを感じたのか、桜華が伸朗にそう言う。
 「悪いが、私はもう怒っているのだ。お前のやることは度が過ぎている・・。扉越しから聞いていたのだが、砦を立派な城にするために村人を捕らえて奴隷として働かせるとは・・許さん!!」
怒りの表情で見つめてくる桜華に、伸朗がこう答えた。
「なぜそのことを知っているのだ!?まさかお前・・盗み聞きしていたな。よくも私の秘密を・・もう許さぬ、ここでお前らを倒してくれる!!」
伸朗は大きな刀を手に持ち、一気に攻撃の態勢に入る。桜華たちも攻撃の態勢に入り、伸朗を迎え撃つ体制は万全だ。
「悪いが、囚われていた村人は全員解放した・・だから武士たちが行ったって誰もいやしないさ・・。伸朗よ・・成敗してくれるっ!!」
桜華たちが伸朗に向かっていった瞬間、物陰からいきなり武士が現れた。
 「ふははっ!!いざという時のために物陰に武士を隠しておいた。わが家臣たちよ、この者をうちたおせっ!!」
いきなり現れた4人の武士が、桜華たちに襲い掛かってきた。桜華たちは仕方なく4人の武士と戦うことになった。
「侵入者よ・・ここで死ねっ!!」
武士の一人が桜華に斬りかかると、桜華は素早い速さで斬撃を交わし、武士の鳩尾に蹴りを入れた。
「喰らえっ!!」
――ドガッ!!桜華の具足で固められた蹴りの一撃が、武士の鳩尾に入った。蹴りの一撃を受けた武士は痛その場に倒れた瞬間、立ち上がる暇さえ与えないかのように、桜華の刀が武士の胸を貫いた。
「ぐわあああああっ!!む・・・無念だ・・!!」
伸朗の武士がそう最後の言葉を残すと、動かなくなった。桜華が辺りを見回すと、他の仲間たちはすでに襲ってきた武士を倒していた。
「おっ・・もう終わりか。わたしたちの力をなめてもらっては困る。」
桜華がそう言った後、東雅が桜華の元に駆け寄り、桜華にそう言った。
 「桜華殿!!竜五郎殿が伸朗と戦っているでござる!私たちも手をかしたほうがよろしいか!?」
東雅の言葉に、桜華が全員にそう言う。
「そうだな。しかし地下牢に行った奴がいつ戻ってくるかわからない。東雅殿よ、紅零殿と雅沙羅殿と共にここで見張ってくれぬか。私は竜五郎の助太刀に行ってくる!!」
桜華は伸朗と戦っている竜五郎の助太刀をするべく、伸朗の元へと急ぐのであった。

 一方竜五郎は、村を襲ったすべての元凶である伸朗と戦っていた。緊迫した表情の中、二人は長い鍔迫り合いを続けていた。
「お前ごときに、この俺が倒されるわけが無いのだっ!!そんな刀で、俺に立ち向かえると思ったかっ!!」
伸朗がそう言うと、竜五郎が怒りの表情で答える。
「うるさいっ!!お前は俺が倒すっ!ここで倒さなければいけないんだっ!!」
竜五郎の体のそこからこみ上げる怒りの力で、伸朗の刀を受け流す。
「な・・何だと!?」
伸朗は竜五郎の力に驚いていたが、またすぐに態勢を立て直す。
「どうだ伸朗よ、これが私の怒りの力だっ!!本当の戦いは・・これからだっ!!」
竜五郎は怒気を高め、再び伸朗に向かっていくのであった。

村人を解放した桜華たちはついに伸朗の部屋へとたどり着いた。
伸朗を倒すため、竜五郎が立ち向かう!!

       

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