Neetel Inside ニートノベル
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 僕が初めて新都社の3文字を見たのは約半年前のことになる。

 暇つぶしに見ていたニュース速報VIPに新都社のスレッドがあっただけで、別に意図的な何かではない。

 それから漫画を描くこともなく、小説を書くこともなく今に至るわけである。



 ブレザーの埃を払い、ネクタイをキュッ、と締める。

 玄関に向かい、靴を履き、ドアを開け、学校へと1歩踏み出した。




 のは事実だが、そこまで爽やかな人生は送れていない。




 陰湿でやせ細り、メガネをかけているキモオタでしかないのだ。

 なぜだろうか、涙が止まらない。

 なぜだろうか、景色が鮮やかに見えてきた。

 なぜだろうか、自分だけ白黒な気がする。



 朝から意気消沈しつつも、ようやく我が皆星高校に辿り着く。

 「おはよー! 」

 誰彼構わず元気な挨拶と太陽のように輝かしい笑顔を降りまくのは、佐竹彩夏さん。

 僕のクラス、2Aの学級委員長。さらさらと長く伸びた黒髪はポニーテールにまとめられており、切りが無いので以下省略。

 そして、唯一と言っていいほどに少ない、僕に話しかけてくれる女子でもある。

 「雪長君おはよー!! 」

 「お、おはははようございます、佐竹さん。」

 噛んだ。完全に噛んだ。朝から噛んだ。噛んでしまった。いっそ舌を噛んで死にたかった。

 「雪長君ってやっぱりなんか面白いねー!! 」

 彼女はあっはっは、と笑う。

 「ど、どの辺りが面白いんですか? 」

 しばらく考えてから、

 「うーん、噛みまくったり、ヒキニートみたいな格好してたりしてるところとか? 」

 こいつ...ピンポイントで弱点を...

 じゃあまだ朝の当番残ってるからー! と言い残し、彼女は去って行った。

 

 全く、嵐のような人だ。

     

新都社・・・出版社を模倣しているWeb漫画・オンライン小説のリンクサイト。ただし登録の際には他のウェブコミックのリンクサイトやランキングサイトに参加していないことを条件にしており、新都社というコミュニティへの参加に近いと言える。掲載のための審査などは存在せず、誰でもかつどのような作品であっても容易に発表することができる。2ちゃんねる由来のサイトであるが、作品が2ちゃんねるに関係しなくとも登録は自由である。なお、新都という呼称はニートに由来する。

(wikipediaより引用)









昼休み。

食堂にて携帯で新都社にアクセス。



お気に入りの漫画をチェックしつつ昼食の菓子パンを口に運ぶ。



ところで、元からクラスに友人は数人しかいない上、彼らは現在交換留学ということでアメリカへ行っている。





つまり、









...。



マイナス思考を吹き飛ばす為にギャグ漫画を読む。

横から見れば、昼食を摂りながらニヤけるキモオタなのだろうが、全く気にすることなく読み進める。







「ゆーっきーなっがーくーん!! 」



!が2つも付くような話し方をする人物を僕は1人しか知らない。



「なんですかさt...けさん。」



なぜだろうか、この人相手だと異様に噛んでしまう。



「なーに読んでるのーさ!? 」



「な、なんでもないでしゅ。」









空気が凍った。

でしゅ。

でしゅ。

でしゅ。でしゅ。

でしゅ。でしゅ。でしゅ。

でしゅ。でしゅ。でしゅ。でしゅ。でしゅ。















「どどどうしたの!? 机に頭叩きつけて!? 」



大丈夫です、と言いかけて思い留まる。



でしゅ。でしゅ。でしゅ。







「だから頭叩きつけないで!? 」



ふぅ、ようやく「でしゅ。」の呪いから解放されたぜ。



「ところで雪長君!! 」



「なんでしょうか! 」



噛まなかった!噛まなかったよお母さん!!



「それって新都社だよね!! 」



「そうです!! 」



やった!2コンボだよ!



「好きな漫画は!? 」



「毎日の健康です!! 」



3コンボ!!



「連載はしてないの!? 」



「してません! 」



4連鎖!どんどん行こう!



「私はしてるよ!! 」



「そうなんですか!!すごいですね!! 」



そこまで話したところで、



「あのぅ...食堂ではお静かに...」



と横槍が入った所でようやく目が覚めた。!を付けると噛みにくいようだ。



















は?

今佐竹さんは。

新都社の話を。

していなかったか?

連載?

何の事だ?

       

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