Neetel Inside 文芸新都
表紙

異能者
プロローグ

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「本当に親が旅行」…2.2%
「親が何らかの原因で死亡」…0.6%
「親が宇宙人だったのでもう住めない」…0.2%
「拉致」…6.8%
「捨てられた」…90.2%


「……」
自分を乗せた車森を進む。テレビで見たことのある白い車は、森のボコボコした道を進んでも音一つしない。


車の椅子はフカフカで、朝日を浴びて輝いている森の草木はとても美しい。外から入ってくる空気がおだやかに頬をなで、その風から流れるように鳥のさえずりが聞こえてくる。だが今はその全てが自分を冷めた目で見ているように思えた。


かれこれ4時間以上車に乗っているが運転席の黒い背広を着た男は一言もしゃべらないので僕もこうして4時間一言もしゃべってない。


いや、もし話しかけられても僕は答えを返さないだろう。


頭がぼ~っとする。気分が悪かった。夢であってほしいという想いが胸を締め付ける。


ありえないこと、ありえないとこだ。分かってはいるが、期待を捨てきれずにいる自分に気づき、むなしくなる。


昨日生まれて初めて親が帰ってこなかった。


僕はそれを不思議に思わなかったし、次の日の朝黒い背広の人が入ってきても驚かなかった。男は僕の両親が長い旅行に行ったからしばらくの間ある施設で暮らしてもらうとだけ言って僕を車に乗せた。最初は多かった民家も進むにつれて数を減らし、ついには森の中を進んでいる。緑に包まれた空間はそれはそれは絶景だったが、僕にとってはどうでもいいことだった。すべて灰色に見えた。


それえからさらに時がたち日が沈み始めたころ、白い建物が視界に移った。


車は白い建物に入っていく。そこについていた「孤児保護施設」というプレートを見てあきらめていたはずの期待に押しつぶされそうになった。


終わりと始まりを告げる風が、しずかに吹いていた

     


       

表紙

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