ジョジョの奇妙なフランダースの犬
「パトラッシュ…ぼくなんだか恐くなってきちゃった………」
「………」
「なにが恐ろしいって空腹がしだいに快感に変わっているんだぜ――ッ!」
「………」
「う……う……うう…う…パトラッシュ………う……ううう…ああ~!パトラッシュ!」
ヒシッ
「こんなことになっちまって言うのはなんだけど…………おまえを連れて来て本当に良かったと思ってるよ……パトラッシュ…感謝してる……おまえといると勇気がわいてくる。審査員のカスどもが僕の絵を落としやがって……5日も胃袋がカラッポだってのに気がおかしくならないのはおまえがいるからだよ。…おまえは僕の親友だよパトラッシュ…」
「………」
「おまえと出会った時からずっとぼくの心のやすらぎだよ………本当さ…おまえとだったらこの状況をきりぬけていける気がするんだ…」
「………」
「おまえはどうなんだい?ぼくに拾われて幸せだったろ?いい人生を送ってきたかい?」
「………」
「ん?なんだって?パトラッシュ」
「『うん』『良かったよ』『ネロォ』」
「………」
「そーかそーか!か わ い い や つ だ な あ~ッよしよしよし」
「………」
「そうだ!さっき親方のサイフを届けにいった時…お礼の一割がもらえなかったんでさ………ちょっぴりイラついたもんで…気をまぎらわすために……アイツラの家に火をつけたあと、ちょっとしたものを描いたんだよ………おまえへのプレゼントだよ。もらってくれるかい?」
「………」
「そりゃあ食い物とかのほうが断然うれしいだろうけど、おまえためにできることといったらこんなことぐらいでさ…」
バーン!
そこには幼稚園児のラクガキのようなワニ(?)が!
「ん―――本当にそっくりだぞパトラッシュ!アイツラの家からくすねた紙に描いたんだ。見ればわかると思うけどおまえの肖像画さ!」
「!!………」
「ちょっとバカバカしいって思うかもしれないけど、こんな時こそ楽しいことが必要だと思うんだ!それに誰かがこの絵を見たら!みんな絶対、僕が天才だと思うぞッ!」
バシュ!
バリバリバリバリバリバリバリバリ
(プッ、プッ、プ!)
プツ―――ン!
「てめえッ!このクソ犬がっ!破いてんじゃねぇッ!!」
ガシャアァ――ン!
「その絵はオレが描いたんだッ!オレの人生で最高の出来だッ!おまえを拾って育ててやった恩を忘れやがってこのド畜生がッ!
『ドブ』に捨ててあった『ブチ犬』だから『パトラッシュ』って名前なんだよッ!てめーはッ!」
「(チラリ!)」
「計算してんのか?素早い自分が俺を出し抜いて逃げられるかどうかを…!」
ガァシィィッ!
「グアッ!!」
「ヒャアぁぁぁぁぁぁぁ―――っWRYYYYYYYHAAAAAAAAA~」
「Kyyyyyy!ハハハハハハァ――ッ!オレの勝ちだァァ――ッ!おめーの血は!オレのものだァァァァァァァァアア―――――ッ!」
ガブゥウッ!
ブシィェ――ッ
ドドドドドドドド
「そんなに……まで……オレを食いたいのなら……も っ と 食 わ し て や る ぜ ………」
「えっ…………」
ガボォオッ!
「うおごっ!!」
ズルッ!ズルッ!ガボォッ!ガボォッ!
「オゲゲッ!(い、いま……こい…つ…なにか…しゃべったか……い…いや、気…の…せい…だ…オレの頭は……はっきりしている………)」
ブツッ!ブツッブツッ!メコオォ!
ズババアッ!!
…ドサッ!
「(クソ……ルーベンスを越えて……そしてこの世の生物をブッちぎりで超越するって野望……『未』達成……努力も才能も…全部無駄になっちまった………)」
To Be Continued・・・