Neetel Inside 文芸新都
表紙

Please me it.
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――嬉しい


寂しい、楽しい、辛い、憎い、怖い…


沢山ある感情のなかで、僕は一つだけ知らないものがある。

僕は、



悲しみを知らない。


******


“悲しい”
それは、どういうもの?
ほぼ毎日のように考えているけれど、中二になった今でも答えは見つからない。

“悲しい”という感情の存在を知ったのは小二のとき。

クラスで飼っていた亀が死んだ。
僕は生き物係だったから、毎日世話をしていた。

その日、係の相方の女の子が動かない亀に大泣きしていた。

先生がクラスの皆に報告したときも、泣いている人が数人いたのを覚えている。


僕は意味が分からなかった。
何で皆が泣いているのか。

『亀が死んでどこか痛いの?
怪我して痛いから泣くんだよね?』

確か僕は皆の前でそう言ったはずだ。
そしたら皆、一斉に僕を見たんだ。

戸惑うような顔をして僕を見た。
係の相方の女の子も皆と同じ表情で、恐る恐る聞いてきた。

『冬夜くんは、悲しくないの…?』


この出来事が、僕に“悲しい”という感情が存在していることを教えた。

       

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